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第四拾参話
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「んー………」
紅雪さんが目を覚ますと、私は咄嗟に鶴さんの後ろに隠れてしまった。
「これ氷柱、そなたまだ慣れぬのかえ?」
「う、はい。」
やっぱり怖いんです。
「起きたかえ?」
「………………あ、おはよ。」
「おはようございます。」
やっぱりまだ怖いです。
「あぁ、知らぬ内に止んでおったな。」
「え?」
「あ、本当だ。」
晴れた、とまではいかないけれど、それでも雪は止んでいて帰れるくらいにはなっている。
「さて、帰るとするかのう。紅雪、そなたも送ってやろうかえ?」
「いや大丈夫だ。鶴に無理なんてさせないから。」
「男前じゃのう。じゃが子供が無理をするでない。」
「そうじゃない。僕の一族は鶴って鳥は大事にするって家訓なんだ。」
「…………………どう言う事かのう。」
「何代前か分かんないけど、罠に掛かった鶴を助けて幸せになった爺ちゃんがいるんだって。それから僕の家系では鶴は大切にするって家訓が出来たんだ。お姉さん鶴って名前だろ?だったら大切にしないと。」
お話しを聞いて私はすぐに鶴さんを見た。鶴さんは相当驚いた様子で紅雪さんを見ていた。
「そなた……………………」
「ん?」
「…………………………………いいや、何でも無い。ならば言葉に甘えるとするかのう。氷柱、帰るぞえ。」
鶴さんは私の手を引いて立ち上がった。
「それでは紅雪、そなたも気を付けて帰るのじゃぞ。」
「ん。」
鶴さんは外へ出て紅雪さんが私達の姿が見えない場所まで移動すると、私を負ぶって両腕だけを取りにして空へ飛んだ。
「鶴さん!!」
「何じゃ氷柱、背中で大声を出さないでくれるかのう。」
「鶴さん、紅雪さんって………………」
「あぁ、氷柱の予想しておる通りであろうな。」
じゃあやっぱり、紅雪さんは霰さんの子孫って事ですか。
「如何して言わないんですか?」
「言う必要がないであろう。家系に妖怪がいると知れたら、今までの人生が変わってしまうかもしれないではないか。それに、紅雪の七つの祝いに札を納めたからのう。それで十分であろう。」
やっぱり、そうやって我慢するんですか。鶴さんはもっと我が儘で良いと思うのに。
「さて、急いで帰るかのう。恐らく暁光が大騒ぎしておるぞ?」
そう言って鶴さんは更に早く飛んだ。
紅雪さんが目を覚ますと、私は咄嗟に鶴さんの後ろに隠れてしまった。
「これ氷柱、そなたまだ慣れぬのかえ?」
「う、はい。」
やっぱり怖いんです。
「起きたかえ?」
「………………あ、おはよ。」
「おはようございます。」
やっぱりまだ怖いです。
「あぁ、知らぬ内に止んでおったな。」
「え?」
「あ、本当だ。」
晴れた、とまではいかないけれど、それでも雪は止んでいて帰れるくらいにはなっている。
「さて、帰るとするかのう。紅雪、そなたも送ってやろうかえ?」
「いや大丈夫だ。鶴に無理なんてさせないから。」
「男前じゃのう。じゃが子供が無理をするでない。」
「そうじゃない。僕の一族は鶴って鳥は大事にするって家訓なんだ。」
「…………………どう言う事かのう。」
「何代前か分かんないけど、罠に掛かった鶴を助けて幸せになった爺ちゃんがいるんだって。それから僕の家系では鶴は大切にするって家訓が出来たんだ。お姉さん鶴って名前だろ?だったら大切にしないと。」
お話しを聞いて私はすぐに鶴さんを見た。鶴さんは相当驚いた様子で紅雪さんを見ていた。
「そなた……………………」
「ん?」
「…………………………………いいや、何でも無い。ならば言葉に甘えるとするかのう。氷柱、帰るぞえ。」
鶴さんは私の手を引いて立ち上がった。
「それでは紅雪、そなたも気を付けて帰るのじゃぞ。」
「ん。」
鶴さんは外へ出て紅雪さんが私達の姿が見えない場所まで移動すると、私を負ぶって両腕だけを取りにして空へ飛んだ。
「鶴さん!!」
「何じゃ氷柱、背中で大声を出さないでくれるかのう。」
「鶴さん、紅雪さんって………………」
「あぁ、氷柱の予想しておる通りであろうな。」
じゃあやっぱり、紅雪さんは霰さんの子孫って事ですか。
「如何して言わないんですか?」
「言う必要がないであろう。家系に妖怪がいると知れたら、今までの人生が変わってしまうかもしれないではないか。それに、紅雪の七つの祝いに札を納めたからのう。それで十分であろう。」
やっぱり、そうやって我慢するんですか。鶴さんはもっと我が儘で良いと思うのに。
「さて、急いで帰るかのう。恐らく暁光が大騒ぎしておるぞ?」
そう言って鶴さんは更に早く飛んだ。
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