黎明の天泣

琴里 美海

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第壱話

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 空を見上げて流れて行くのは、今日も今日とて白い雲。あまり多くはない雲をぼんやりと見つめながら、私はゆっくりとその場に寝転がった。
 外で涼しい風に吹かれながらその場に寝転がるのは、本当に気持ちが良い物で、ついつい眠くなってしまう。でも流石に外で寝ると風邪を引きそうだから、目は閉じずにいる。
 雲よりは近い上空を何羽かの鳥が飛んで行く。優雅に飛ぶその姿を、私は呆然と見つめ続けている。
 何処か遠くの方から鳥や虫の鳴き声が聞こえている。

「………………長閑だなぁ……………」

 そんな独り言を呟いた。いや、今は本当のその言葉がよく似合う状況だと思う。

 私の名前は氷柱。この名前は暁光さんと言う人に付けてもらった名前で、その前は住んでいた村で塵芥と呼ばれていた。ゴミと言う意味です。
 元々は災厄を了わせる為に村から捧げられた生贄であり、暁光さんに拾われた身です。
 本当は今よりも昔に暁光さんと出会っていて、それを忘れさせれてしまっていたのですが、つい最近また思い出しました。
 色々と問題が沢山起きましたが、それを暁光さん達が解決してくれました。
 今は一緒に暮らしていて、結構平穏な生活を送っています。

「氷柱、おい氷柱。」

 声を掛けられて起き上がると、赤色から橙色へと変わって行く夕焼けの空の様な色をした髪の男性、暁光さんが立っていた。
 暁光さんは元々は私の居た村の守り神様だった人ですが、訳あって今は神様ではありませんが、私の事を何時も守ってくれています。
 それから暁光さんの本当の姿はとても大きな火の鳥です。

「暁光さん、どうかしましたか?」
「いや、寝転がってるから寝てるのかと。寝てたら風邪引くなと思ってよ。」

 どうやら余計な心配を掛けてしまったらしいです。

「済みません。」
「何でお前が謝るんだよ。」
「余計な心配を掛けてしまったと思って。」
「良いって。それにお前になら心配でも迷惑でも掛けられたって良いぜ。」

 それはそれでどうなんでしょうか。と言うか、私はそんなに信用が無いのですか。と言うと暁光さんが色々と言ってきそうなので、今は黙っておく事にしました。
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