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第壱拾参話
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村に着いてすぐに炎陽は私の背から降りた。
(可笑しいわね。)
(あぁ、可笑しい。)
村の中に人間が一人も見当たらない。
さっき森の中で襲ってきた奴等で全員だったのかしら?いや、あの時は男しかいなかった。村に女が一人も居ないなんて事は無いでしょうね。だとしたら、他の戦力にならない人間達は、何処か別の場所に既に移動している。そう考えるのが妥当なのかしら。
(取り敢えず辺りを探りましょうか。)
(うん、それが良いと思う。)
周辺の家の中を探してみたけれど、特に何も見当たらない。本当に全員移動した後なのかしら。そう考えていたら突然足音が聞こえて、私と炎陽はすぐに振り返った。
「お、何だ、思ってたより随分と早いお出ましじゃねぇかよ。」
あぁ、嫌な人物と会ってしまった。私は運が無いのかしらね。今日一日の間に、二回も瑞光と言う名の人物と遭遇するのだから。
炎陽は槍を構えて威嚇していた。
「そんなに警戒すんなよ。ま、どっちにしてもそっちの餓鬼は怒り剥き出しになる様な事するつもりだけどよ。」
何をしてくるのかと警戒していると、気が付いた時には炎陽が飛び掛かっていた。
(待ちなさい!!!)
突き出した槍を、瑞光は自分の手に刺させて止めていた。
炎陽はすぐに槍を引き抜こうとすると、瑞光は槍を掴んで、その上炎陽の頭を掴んだ。
私はすぐに瑞光に飛び掛かると、炎陽を盾にしてきて攻撃が出来なかった。
「まぁまぁ落ち着けって、テメェが探してんのは主と恵風さんだろ?恵風さんは返せないにしても、主の方はもう用済みだから返してやるよ。」
瑞光は手から槍を引き抜くと、自分のすぐ横の地面に手を向けた。その瞬間地面から黒い炎が吹き出し、消えると紫蘭が倒れていた。
「しら………か………さ……………」
それはもう酷く傷だらけで、この短時間でよくもまぁここまで出来たわね。
「あんたが……………ったのか………………」
(炎陽?)
炎陽の様子が可笑しい。
「あぁ、そうだ………………何か足りないな、もう一押しか?」
瑞光は不適な笑みを浮かべると、炎陽の手から槍を取った。その槍は人間は攻撃出来ない筈、そうたかを括っていたら、瑞光は槍で私の頭を叩き付けた。
地面に倒れて意識が飛びそうになったのを堪えた。あぁ不覚、もう少し警戒の度合いを高めていたら、今のは防げた。そんな事を考えていた時だった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
炎陽が叫び声を上げた。
我に返って炎陽を見ると、あの子から目で見て分かる程の強い力が離れていた。
私は咄嗟に倒れている紫蘭を咥えて飛んで離れた。兎に角離れないといけない。この場に居続けたら大変な事になる。そう思っていた時だった。未だ炎陽を掴んでいる瑞光の不適な笑みが目に入った瞬間、近くの家から巨大な龍が空へ向かって勢い良く飛び出して行った。
(可笑しいわね。)
(あぁ、可笑しい。)
村の中に人間が一人も見当たらない。
さっき森の中で襲ってきた奴等で全員だったのかしら?いや、あの時は男しかいなかった。村に女が一人も居ないなんて事は無いでしょうね。だとしたら、他の戦力にならない人間達は、何処か別の場所に既に移動している。そう考えるのが妥当なのかしら。
(取り敢えず辺りを探りましょうか。)
(うん、それが良いと思う。)
周辺の家の中を探してみたけれど、特に何も見当たらない。本当に全員移動した後なのかしら。そう考えていたら突然足音が聞こえて、私と炎陽はすぐに振り返った。
「お、何だ、思ってたより随分と早いお出ましじゃねぇかよ。」
あぁ、嫌な人物と会ってしまった。私は運が無いのかしらね。今日一日の間に、二回も瑞光と言う名の人物と遭遇するのだから。
炎陽は槍を構えて威嚇していた。
「そんなに警戒すんなよ。ま、どっちにしてもそっちの餓鬼は怒り剥き出しになる様な事するつもりだけどよ。」
何をしてくるのかと警戒していると、気が付いた時には炎陽が飛び掛かっていた。
(待ちなさい!!!)
突き出した槍を、瑞光は自分の手に刺させて止めていた。
炎陽はすぐに槍を引き抜こうとすると、瑞光は槍を掴んで、その上炎陽の頭を掴んだ。
私はすぐに瑞光に飛び掛かると、炎陽を盾にしてきて攻撃が出来なかった。
「まぁまぁ落ち着けって、テメェが探してんのは主と恵風さんだろ?恵風さんは返せないにしても、主の方はもう用済みだから返してやるよ。」
瑞光は手から槍を引き抜くと、自分のすぐ横の地面に手を向けた。その瞬間地面から黒い炎が吹き出し、消えると紫蘭が倒れていた。
「しら………か………さ……………」
それはもう酷く傷だらけで、この短時間でよくもまぁここまで出来たわね。
「あんたが……………ったのか………………」
(炎陽?)
炎陽の様子が可笑しい。
「あぁ、そうだ………………何か足りないな、もう一押しか?」
瑞光は不適な笑みを浮かべると、炎陽の手から槍を取った。その槍は人間は攻撃出来ない筈、そうたかを括っていたら、瑞光は槍で私の頭を叩き付けた。
地面に倒れて意識が飛びそうになったのを堪えた。あぁ不覚、もう少し警戒の度合いを高めていたら、今のは防げた。そんな事を考えていた時だった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
炎陽が叫び声を上げた。
我に返って炎陽を見ると、あの子から目で見て分かる程の強い力が離れていた。
私は咄嗟に倒れている紫蘭を咥えて飛んで離れた。兎に角離れないといけない。この場に居続けたら大変な事になる。そう思っていた時だった。未だ炎陽を掴んでいる瑞光の不適な笑みが目に入った瞬間、近くの家から巨大な龍が空へ向かって勢い良く飛び出して行った。
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