攫われたあの日に僕は死んだ

レイティア

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電話

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気づいた時には透は男の家に誘拐されていた
そしてなぜかソファーの上、後ろから抱きしめられ、膝に乗せられる型で座っている

は、早く逃げないと!!

そう思った時に、ふと透は思った

死のうとしてたのに…逃げる意味、あるのかな…



「…上宮透君」
「?!」

突然名前を呼ばれた事に驚いた透は振り返る

「あ…」

透は体から力が抜けた
確かに両親は優しいし、明るく温かい人達だ
でも、こんなにも優しく、熱い瞳で見られたことはない

なんでだろう…初めて会ったはずなのに…なんだか…信じていい気がする…

「透君、ここでは自由に過ごしていいよ
でも、外に出たり、俺がいない間に誰かと連絡を取ったり…自分を傷つけるのはだめだ
そんなことしたら…ベッドに縛り付ける事になっちゃうからね?」
「っ?!」

訂正、危ない人だ…

「ふふ、そんなに怯えないで
俺との約束が守れるなら、そんな事しないよ」
「ほ、ほんと…?」
「もちろん」
「…でも…お母さんやお父さんには連絡を…」
「だから、俺の前でならいいって」
「…うん…」
「早速連絡入れる?」
「…」
「透君は俺がもらったから、もう返す気はないんだよね
心配しちゃうでしょ?」
「…うん」

『ごめん…しばらく帰れない』
『帰れないってどういう事?!』
『そのまま…少し…思うところがあるんだ
自分の気持ちとか…色々整理したくて』
『…透がそう思うなら、お母さんは仕方ないと思うよ
でも、それなら何処に止まるつもり??
いきなりだなんて、着替えとか、どうするつもりなの?!』
『…それは…ぁ…』
『お電話変わりました
初めまして、透君のお母さん』
『初めまして
あなたは?』
『私は霧灯 伸弥むとう しんやと申します
透君とは友人でして…随分と悩んでいらっしゃったようなので、うちで少しの間一人で整理してみては…と提案をさせていただきました
泊まる物等は、こちらにお客様用で置いてあるものがあるので、問題はありません』
『…そうですか…霧灯、さん?は、どちらにお住まいなのでしょうか?』
『透君の学校の近く、公園があるのですが、その少し先になります』
『そうですか…
透は?』
『もしもし』
『透』
『うん』
『霧灯さんがどんな人かわからないけど、透を思ってる事だけは伝わったわ
透が何を思ってるのかわからないけど、整理がついたら、お母さんにも教えてくれる?』
『…うん、もちろんだよ』
『そう、ならよかった
こっちの事は気にしないで
学校、休む?』
『ごめんね』
『いいのよ
その代わり、毎日夜には電話を頂戴
やっぱり心配だから』
『わかった』
『それじゃあ、失礼のないようにね
霧灯さんにかわってもらえる?』
『うん』
『お電話変わりました』
『霧灯さん、どうか息子をお願いします
ご挨拶は…息子が整理のついてからお伺いします
今行っては息子の意志を邪魔してしまいますから』
『わかりました
それでは、失礼致します』

「いいお母さんだね」
「!…うん」

透はどことなく嬉しそうに頷た
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