愛すべき不思議な家族

桐条京介

文字の大きさ
29 / 43

第29話 雨と回想

しおりを挟む
 どうしてこんなことになったのだろう。
 今にも雨が降りそうな空を見上げて、和葉はそんなことを考えていた。

 大切な愛娘の運動会に参加し、入浴と食事を済ませたあとで、運動会で活躍した葉月の自慢話をゆっくり聞いてあげようと思っていた。

 そんな矢先に鳴り響いた携帯電話の着信音。ディスプレイにはあまりお目にかかりたくない発信先が表示されていた。気は進まなかったものの、電話を取り内容を聞く。それがそもそもの間違いだったのかもしれない。

 ……いや、正解だったのだろうか。

 曇っているせいか、今日はやけに風が冷たく感じる。
 思わず和葉は両手で自分の身体を抱いた。

 そういえば葉月は元気にやってるだろうか。
 娘と離れてまだ丸一日も経過してないのに、とても寂しく思える。

 突然の出来事だったので、和葉は春道に娘を預けてきた。
 自分の気持ちどうこうよりも、そうする他に選択肢がなかったのである。

「和葉、こんなところにいたのか」

 庭でボーっとしていた和葉に、背後から声がかけられた。
 静かに振り向けば、実兄の戸高泰宏が立っている。
 和葉が父親から勘当されてしまったがゆえに別姓を名乗ってはいるが、間違いなく血の繋がった唯一の兄だった。

 昨夜、兄からの連絡を受けて、和葉は大急ぎで電車を乗り継ぎ、勘当される前までは実家だった戸高家へやってきた。

「……今日は冷えるな」

 隣にやってきた泰宏がボソリと呟く。
 和葉同様それほど厚着はしていない。夏も間近なこの季節を考えれば当たり前だが、今日に限っては上着が必要なくらいの天候だ。

「……そうね」

 幼い頃から周囲には「あまり似てない」と言われてきた。
 母親に似ている和葉に対して、兄の泰宏は父親似だった。もっとも性格にかんしてはその逆である。ずっとそれを煩わしいと思っていた。

「嫌な予感が当たってしまったな……」

 泰宏の声に、この前会った時のような元気さはなかった。
 無理もない。
 実の父親がこの世からいなくなったのだ。勘当されていた和葉でさえも、少なからずショックを受けている。

 病名は癌だった。
 頑固者の父親は、和葉はおろか一緒に暮らしている泰宏にも病名を告げていなかった。医者を説得して、最後の最後まで隠しきったのである。

 そんな父親も世間的には人望があったらしく、訃報を知った人間が次から次に戸高家を訪れていた。
 田舎町だけに、ほとんどの住民が噂で和葉が勘当された理由を知っている。そのためお悔やみを告げる相手は、泰宏ひとりだった。

 別に犯罪に手を染めたわけではない。
 ただ、親戚も含めて、どう接したらいいのかわからないのだ。
 もっとも、それはそれで和葉も気が楽だった。

 泰宏の手伝いをしているうちに、いつの間にか夜が明けて朝になっていた。
 まるで天まで悲しんでいるかのごとく、青空と太陽を隠している。

「……あれだけ元気だったのにな」

 とりとめのない会話を、二人だけの兄妹でなんとなしに続ける。
 別に目的はなかった。ただぼんやりと会話してるにすぎない。

 和葉はもちろん、泰宏が泣いている姿もまだ見ていなかった。もしかしたら兄妹揃って、まだ父親を亡くしたという実感がないのかもしれない。
 勘当された身とはいえ、娘だけに当然息を引き取った父親の姿も見ている。安らかな表情は寝顔と大差なく、朝になったらひょっこりと起きてきて、実家へ戻っている和葉を見て「何でお前がここにいるんだ」と怒鳴りそうだ。

 暇ができればそんなシーンが幾度も頭の中で再生された。そのたびに、何て言い返してやろうかなんて考えたりもする。

 ……けれど、朝がきても頭に描いていた映像は現実にならなかった。

 相変わらず瞼を閉じている父親は横たわったままで、誰の呼びかけにも応えない。

「……なあ」

 ボーっとしている和葉を正気に戻そうとするかのように、泰宏が少しだけ大きな声をだした。顔だけを兄へ向けて、次に紡がれる言葉を待つ。

「……実家に戻ってこないか。もちろん葉月ちゃんも、旦那さんも一緒にさ」

 よもやの提案に、驚いた和葉は目を大きく見開いた。
 家を継ぐのは長男の泰宏と、生まれた時点ですでに決定している。仮に和葉が勘当されてなかったとしても、それだけは絶対に覆らない。

 押し黙っている和葉を見て、自分が何を言ったかようやく気づいたらしく、慌てて泰宏は右手を顔の前で左右にパタパタと振った。

「あ、いや、違うんだ。家のことをお前に押しつけようとしてるんじゃなくて、俺も含めて皆で一緒に暮らさないかってことさ」

 多少口は軽いが、泰宏は決して悪い人間ではないし、身の回りのことを何ひとつできないほど自堕落な性格もしていない。兄妹ゆえの贔屓目ではなく、ひとりの人間として和葉は泰宏をそう評価していた。

 もしかしたらこれを機会に、二度と実家には戻ってこなくなるのではないか。もしくは戻ってきづらくなるのではないか。そんな心配をしたからこそ、先ほどの提案をしてきたに違いない。心配性なところも母親そっくりだ。

「あまり笑えない冗談ね」

「冗談なんかじゃないさ、俺は本気で言ってる。部屋は余ってるから、不自由さは覚えないはずだ」

「そういう問題ではないの。私がこの家に住むことを、あの人が快く思わないでしょう」

 あの人というのは、先日死去したばかりの父親のことである。
 それにいくら家主が変わったからといって、急に家に戻ったりすればご近所のいい噂になるのは間違いない。

「それはそうかもしれない。けど、俺はお前が間違ったことをしたとは思ってないぞ」

 泰宏にしては、珍しく強い口調でそう言いきった。
 和葉自身も同じように思っている。
 しかし父親は違った。

 和葉が父親から勘当される原因となった出来事。それは娘である葉月との出会いから始まる。

   *

 もう何年も前になる強い雨の日。
 早歩きで帰宅を急ぐ和葉は誰かに足を掴まれた。痴漢かと思い、もう片方の足で何者かの手を踏みつけようと――。

 ――したところでピタリと止めた。

 足を掴んでいたのはひとりの女性だった。豪雨の中で傘も差していないので全身びしょ濡れになっている。身に着けている衣服から察するに、女性はホームレスであるとすぐにわかった。

 こんな田舎町にも少なからず、住居を持たない人が存在している。むしろ土地が余っているぶんだけ、都会からやってくる人も多い。そうした人たちは、主に川原などで生活しており、よく役場の職員たちとぶつかったりしていた。

 この時、和葉は正直面倒くさい事態になったと内心で舌打ちをした。
 実家は古くから続く家柄のため、当主の父親はしきたりなどに厳しい。当然のごとく門限は決められており、その時刻は間近に迫っている。

 門限を破った理由が、ホームレスの相手をしていたからなんて知ったら、烈火のごとく怒るに決まっていた。父親は偏見の塊みたいな人物であり、自分の言うことは絶対だと思っている。これが当主だと言わんばかりの態度だが、年頃の和葉にしてみれば鬱陶しいだけだ。

 そんな理由があったので、早くこの場を立ち去りたかったが、ホームレスだからといって無下に見捨てていくわけにもいかない。自分はあの父親とは違うのだ。

 ホームレスの女性の顔は泥だらけだが、よく見れば整った顔立ちをしている。
 それに年齢も若そうで、まだ二十代後半ではないだろうか。きちんとした身なりをすれば、かなりの美人であるのは間違いない。

「……この子を……お願い……します……」

「え? な、何ですか」

 もぞもぞと女性が動き、懐から取り出したのはなんと赤ん坊だった。
 何がどうなっているのか、和葉にはますますわけがわからなくなる。もしかしたら、何かの事故に巻き込まれてしまったのだろうか。

 落ち着くように自分へ言い聞かせながらも、気が動転している和葉は思わずその赤ん坊を女性から受け取ってしまった。するとホームレスの女性はにこりと微笑んだ。

「……暗闇でも……明るく……輝く……月のように……どうか……生きて……」

 唖然とする和葉の足元で、渡した赤ん坊を見上げながら途切れ途切れに呟き、そしてガックリと顔を地面に伏せてしまった。

「――!? だ、大丈夫ですか!?」

 雨音に負けない大きな声で呼びかけても、相手からの反応はない。
 まるですべての体力を使い果たしたかのように、グッタリとしている。

「そ、そうだ……で、電話を……!」

 ゲームなどの類は一切買ってくれない親ではあったが、もしもの事態に備えて携帯電話だけは持たせてくれていた。
 バッグの中から慌てて取り出し、赤ん坊を落さないように気をつけながらボタンを押す。

「に、兄さん!? わ、私よ。和葉!」

   *

 人口もそれほど多くなければ、交通事情もあまりよろしくない田舎町。
 大きな病院など近所にあるわけもなく、救急車でホームレスの女性が病院へ到着したのは、和葉との遭遇から二時間は経過したあとだった。

 ――もう少し早く到着していれば……残念です。

 担当した医者の発した台詞が、和葉の心に深く突き刺さった。
 救急車を呼んだのは和葉ではなく、兄の泰宏だったのだ。

 パニックになっていた和葉は、救急車を呼ぶより先に家族――兄へ助けを求めてしまった。何をどうしたらいいかわからず、呆然と立ち尽くしてるところへ、連絡を受けた兄が自転車をこいでやってきてくれた。

 その後、状況を認識するやいなや、泰宏はすぐに和葉の携帯電話で救急車を要請した。急いで現場へ来たので、傘も差さずに着の身着のままだったのだ。

 そうして到着した救急車に和葉とともに乗り、現在へ至っているわけである。
 病院の看護婦さんから渡されたタオルでひととおり衣服を拭いたあと、泰宏はそれを羽織るように肩へかけている。

 びしょ濡れになっていたのは兄の泰宏だけではなかった。和葉もまた、途中から傘を差すのを忘れて全身を雨に打たれていたのである。
 兄と同じく看護婦さんから受け取ったタオルを肩にかけていた。

 看護婦さんが気を利かせて暖房を入れてくれたので、寒くはないし衣服も乾き始めていた。けれど身体の震えが一切止まらない。
 恐怖か後悔か。詳しい理由は不明だが、奥歯がガチガチと鳴っている。こんな経験は初めてだった。

「気にするな……っていうのは無理か……」

「……当たり前のことを言わないで」

 自らを抱きしめるみたいに、和葉は胸の前で交差させた両手をそれぞれ左右の肩へ置く。不意に指先へタオルが触れ、思わず強く握り締める。

「……そうだな。けれど、お前のせいじゃない」

 優しい口調で泰宏が声をかけてくる。
 どこから見ても傷心の和葉を、兄なりに励まそうとしてくれてるのだろう。

「……私のせいよ」

 黙っていても気は晴れない。
 それどころか、発狂してしまいそうだった。

「……私があの場で冷静さを失わず、兄さんみたいにきちんと対処できていれば、あの女の人はもしかしたら……」

 知らず知らずのうちに涙が頬を濡らしていた。
 人前でボロボロと泣くのも初めての経験だった。

「自分を追い込むのはよせ。俺とお前の立場が逆だったとしても、きっと結果は変わらなかった。電話を受けて、不測の事態に対する覚悟がある程度できてたから、たまたまうまく行動できたにすぎない」

 和葉の電話は酷いものだった。
 ろくに用件も伝えられず、ただ大変だと繰り返していただけのような気もする。
 正直なところ、何を話していたかも覚えてないくらいなのだ。

「慰めなんかいらない! 私が冷静だったなら……しっかりしていたなら……救えたのに……死なせなくてすんだのに!」

「だから落ち着けって! 目の前で人が死んでショックなのはわかるけど、自分を追い詰めたって何にもならないだろう。それに、きちんと対処できてたからといって、絶対に救えたとも限らない」

「な――!? だったら、どうして兄さんはそんなに冷静なのよ! 父さんと一緒で、ホームレスなんてどうでもいいと言うの!? そんなのおかしいじゃない。同じ人間でしょう!」

 激昂して叫んだあとで、荒い呼吸を繰り返す。
 泰宏にあたるのは筋違いだとわかっていても、自分の感情をどうにもコントロールできなかった。

 そうしてるうちに、ひとりの看護婦が処置室から出てきた。
 声を荒げた和葉を注意しにきたのだと思っていたが、どうも様子が違う。その顔は妙に嬉しそうなのだ。

「赤ちゃんは無事よ」

 看護婦の口からでてきた言葉を聞いた時、和葉は最初何を伝えたいのか理解できなかった。

「……お前が偶然通りかからなければ、守れなかったかもしれない命だよ」

 兄の泰宏に言われてようやく意味に気づき、ホッとした和葉はその場にへたりこんでしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...