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1章 少年が手に入れた力
第2話 少年の『導具』
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国王が檻から放った小型魔獣は兎型だった。カルラは
(こいつ危険なの?なんか可愛いけど)
と思っていたが国王はどこから話してるのか声だけでこう言い放った。
「その魔獣の名前はハングリーラビット。ちなみにそいつの歯は鉄レベルなら簡単に噛み砕くぞ」
(前言撤回!)
カルラは救いを求めてこう質問した。
「……なんかこいつ大人しくさせる方法ない?背中撫でると寝ちゃう的な」
「うーむ…満腹になるとすぐ寝るが…満腹になるまで2キログラム位の肉が必要じゃし好物が人肉じゃから豚肉を満腹になるまでは食わないんじゃ。役には立たんじゃろ?」
それを聞いたカルラはニヤリと笑い、
「いや、それは役に立つ情報だ」
そう言うとカルラは国王に説明もせずにハングリーラビットに手を差し伸べるようにして腕を伸ばした。当然ハングリーラビットは指の肉を断ち切り、骨を噛み砕き、飲み込んでいく。
「お…思ったより痛えな…」
「ゑ……何してるの?!お前馬鹿じゃろ!指失くなったぞ今ので絶対!」
国王が言語おかしくなるレベルで混乱している中、カルラは首輪型の『導具』を指しながらこう話した。
「いや?俺の『導具』であるこの『半不死の首輪』はどんな怪我も病気も瞬時に治すから老衰以外じゃ死ななくなるんだよ。まあ老衰なら死ぬから『半不死』なんだけど…だからこのハングリーラビットには俺の指でお腹いっぱいになってもらう」
それを聞いた国王が未だ食われているカルラの指を見てみると人差し指が食われている間に中指の切り口がボコボコ膨らんで中指が生まれ、そしてその中指が食われている間に人差し指が膨らみ、そしてまた人差し指が食われ、というように無限ループしていた。
「こ…こりゃたまげた。それはランクX確定レベルの『導具』じゃぞ…王国騎士団にも入れる」
「マジ?やだな~」
それを聞いた国王は何かに火がついたらしく…
「何故嫌がる?!普通ならここでランクCですとかランクDですとか言われて絶望するんじゃぞ!本来なら「『導具』を貰う時に驚くことトップ3」の第一位なんじゃぞ!ランクXなんて普通全人類の憧れなのに!何故?!」
と、畳み掛け始めた…
「うるさいなー。俺は家で引きこもってたいの!」
「王国騎士団に入れるんじゃぞ!」
「聞いてなかった?俺は!家で!引きこもって!たいの!」
「王国騎士団のトップになれるレベルじゃぞ!」
「俺権力とか興味ないと言ったら嘘になるけど今のままで満足してるから」
「モテるぞ!」
「俺は不特定多数から好かれるより誰か一人に愛されたいタイプだから」
「ならば………
国王のネタが尽きた頃にはカルラの指で満腹になったハングリーラビットがカルラの膝で満足そうに寝ていた。
「ぐぬぬ…どうしても騎士団には入らないと…」
「何回言わせんだよ。そうだって言ってるだろーが」
「こうなったら…おい!あの魔獣を出せ!」
国王の呼びかけに応じて奥から大きな檻が運ばれてきた。
「フッフッフッ、この魔獣はポイズンドラゴン!この城で飼っている魔獣の中で最強の強さを誇る災害レベルの魔獣じゃ!もし負けたら王国騎士団に入ってもらうぞ!」
「望むところじゃボケナス!おい食人ウサギ!あっち行ってろ!」
「さあ行け!ポイズンドラゴン!」
「ギシャアアアアア!」
国王の掛け声と同時にポイズンドラゴンは大きく吠えた。
(まずは素手でもダメージを与えられるような弱点を探…さ…)
カルラがどうやったら勝てるか考えていたそのとき、
「ゴホッ!ボホッ、ガアアァ!な…なんだこれ!なんでいきなり血なんか吐いてんだ俺?!」
「フフフ、ポイズンドラゴンは常に周りへ毒を放出していてのお、餌を与えるときも専用の器具を使わないと行けないんじゃよ」
「……飼ってるメリ、ガフッ、トあんの?」
「いや孫がね?カッコいいからって」
「あぁ(察し)。大変なんだガフッ、な」
「そうじゃよ大変なんじゃよ。なのに王国騎士団は人員不足でこないだの災害レベル魔獣の時には多くの犠牲者も出てしまった…じゃから今は強い『導具』を持つ者が必要なんじゃ!」
「………そうだったのか…なんか悪いな…」
「そう思うなら王国騎士団に所属を!」
「それはしない」
「何故?!ていうかさっきから普通に話せてない?」
「あれ?ホントだ。今は少し肺が痛む程度だ。流石『半不死の首輪』だな。もう毒に耐性を持たせてくれるなんて」
適当に言い放つとカルラはポイズンドラゴンへと歩いて行った。ポイズンドラゴンもまさか毒に耐性を持つとは思わなかったのかキョトンとしていた。だがすぐ元に戻り、走り始めた。
(俺を潰す気か!)
次の瞬間、カルラの予想は当たり、ポイズンドラゴンは全体重をかけてカルラを潰した。が、
「もっと……痩せろやデブ助ーー!」
という声と共に足の下から這い出てきた。出てきたカルラの服は血で真っ赤になっているが、カルラ本人には一切の怪我が無い。恐らくもう治ったのだろう。
「覚悟しろよデブ助。この戦い、泥沼な上に俺の圧勝だぞ?」
「グルルァアアア!」
四時間二十分後……
倒れたポイズンドラゴンの横でカルラが大の字で寝っ転がっていた。
「ハァ、ハァ、ハァ、よ、ようやく気絶してくれた…」
(大変だった…弱点を探すところから始まり、そこを打つための工夫を考え、約四時間殴り続ける…途中から効率は上がっていったが、普通の人間なら七千回は死んでるぞ)
国王はというと…
「ほ…ホントに勝ちよった…クソ……これで王国騎士団の人員不足は解決しないまま…」
「あー…その話なんだが…」
「なんじゃ?入ってくれるのか?」
「おう。シユウドに居住地をくれるならな。田舎暮らしも飽きてきたところでな」
「昔は都会に住んでたみたい言い方じゃな」
「そうか?それより!どうすんだ?俺の条件は呑むのか?」
「呑む呑む!じゃあこれからお前は王国騎士団の一員じゃ!」
「おう。よろしくな」
「にしてもなんで急に呑む気に?」
「いや、単純な話だ。俺が国民のために頑張るお前を気に入った。それだけだよ」
「今更じゃけど儂国王よ?なんでタメ口?」
「これが俺の生き方だ(ドヤァ」
カルラはドヤ顔を決めるとある一つの疑問をぶつけた。
「そーいえば王国騎士団って給料幾ら?」
「無給」
「やっぱ辞める」
「待って待って!冗談、冗談じゃから!給料は月に100万ディラじゃ」
ディラというのはこの国のお金の単位で1ディラ≒1円である。
「ふーん…結構いいな」
「まぁ国で一番キツイ仕事じゃしな」
「ま、いいや。取り敢えず今日はもう寝たいんだけど。この辺でいい宿屋ない?」
「あれ、この城の余り部屋をお前にやろうと思ってたんじゃが、町の方が良かったか?」
「俺は町の方が良いな。じゃあ宿屋はこっちで探しとくから家はよろしくな。また明日!」
「あぁ、また明日」
二人はそう言うと別れた。
翌日
「あー…よく寝た~。今日から新居暮らしの王国騎士団の一員か~」
カルラが宿屋を出て王城に向かって歩き始めたその時、後ろから声がかかった。
「お前が新入騎士のなんちゃら君だな?王国騎士団の本部まで連れて行くからついてこい」
「ん?お前誰だ?」
「僕はマコト=サカイ。王国騎士団の騎士団長、そして……」
マコトは溜めに溜めて…
「転生者だ!!」
と言い放った。カルラはというと…
「そうか、俺はカルラ=ラウラだ。よろしくな、マコちゃん」
「おい失礼だぞ!僕は転生者なんだぞ!何がマコちゃんだ!ふざけるな!」
「へーへー気をつけますよ、騎士団長」
「ならば良い!ついてこい!」
そう言うとマコトは王国騎士団本部までの道のりを歩き始めた。
___今回出てきた『導具』___
『半不死の首輪』
ありとあらゆる怪我、病気を治し、毒やウイルスにも一瞬で耐性がつくため、死ぬことはない。ただし、例外として老衰では死んでしまう。泥沼な戦いにはなるが、どんな敵にも絶対に負けないため、ランクはX
(こいつ危険なの?なんか可愛いけど)
と思っていたが国王はどこから話してるのか声だけでこう言い放った。
「その魔獣の名前はハングリーラビット。ちなみにそいつの歯は鉄レベルなら簡単に噛み砕くぞ」
(前言撤回!)
カルラは救いを求めてこう質問した。
「……なんかこいつ大人しくさせる方法ない?背中撫でると寝ちゃう的な」
「うーむ…満腹になるとすぐ寝るが…満腹になるまで2キログラム位の肉が必要じゃし好物が人肉じゃから豚肉を満腹になるまでは食わないんじゃ。役には立たんじゃろ?」
それを聞いたカルラはニヤリと笑い、
「いや、それは役に立つ情報だ」
そう言うとカルラは国王に説明もせずにハングリーラビットに手を差し伸べるようにして腕を伸ばした。当然ハングリーラビットは指の肉を断ち切り、骨を噛み砕き、飲み込んでいく。
「お…思ったより痛えな…」
「ゑ……何してるの?!お前馬鹿じゃろ!指失くなったぞ今ので絶対!」
国王が言語おかしくなるレベルで混乱している中、カルラは首輪型の『導具』を指しながらこう話した。
「いや?俺の『導具』であるこの『半不死の首輪』はどんな怪我も病気も瞬時に治すから老衰以外じゃ死ななくなるんだよ。まあ老衰なら死ぬから『半不死』なんだけど…だからこのハングリーラビットには俺の指でお腹いっぱいになってもらう」
それを聞いた国王が未だ食われているカルラの指を見てみると人差し指が食われている間に中指の切り口がボコボコ膨らんで中指が生まれ、そしてその中指が食われている間に人差し指が膨らみ、そしてまた人差し指が食われ、というように無限ループしていた。
「こ…こりゃたまげた。それはランクX確定レベルの『導具』じゃぞ…王国騎士団にも入れる」
「マジ?やだな~」
それを聞いた国王は何かに火がついたらしく…
「何故嫌がる?!普通ならここでランクCですとかランクDですとか言われて絶望するんじゃぞ!本来なら「『導具』を貰う時に驚くことトップ3」の第一位なんじゃぞ!ランクXなんて普通全人類の憧れなのに!何故?!」
と、畳み掛け始めた…
「うるさいなー。俺は家で引きこもってたいの!」
「王国騎士団に入れるんじゃぞ!」
「聞いてなかった?俺は!家で!引きこもって!たいの!」
「王国騎士団のトップになれるレベルじゃぞ!」
「俺権力とか興味ないと言ったら嘘になるけど今のままで満足してるから」
「モテるぞ!」
「俺は不特定多数から好かれるより誰か一人に愛されたいタイプだから」
「ならば………
国王のネタが尽きた頃にはカルラの指で満腹になったハングリーラビットがカルラの膝で満足そうに寝ていた。
「ぐぬぬ…どうしても騎士団には入らないと…」
「何回言わせんだよ。そうだって言ってるだろーが」
「こうなったら…おい!あの魔獣を出せ!」
国王の呼びかけに応じて奥から大きな檻が運ばれてきた。
「フッフッフッ、この魔獣はポイズンドラゴン!この城で飼っている魔獣の中で最強の強さを誇る災害レベルの魔獣じゃ!もし負けたら王国騎士団に入ってもらうぞ!」
「望むところじゃボケナス!おい食人ウサギ!あっち行ってろ!」
「さあ行け!ポイズンドラゴン!」
「ギシャアアアアア!」
国王の掛け声と同時にポイズンドラゴンは大きく吠えた。
(まずは素手でもダメージを与えられるような弱点を探…さ…)
カルラがどうやったら勝てるか考えていたそのとき、
「ゴホッ!ボホッ、ガアアァ!な…なんだこれ!なんでいきなり血なんか吐いてんだ俺?!」
「フフフ、ポイズンドラゴンは常に周りへ毒を放出していてのお、餌を与えるときも専用の器具を使わないと行けないんじゃよ」
「……飼ってるメリ、ガフッ、トあんの?」
「いや孫がね?カッコいいからって」
「あぁ(察し)。大変なんだガフッ、な」
「そうじゃよ大変なんじゃよ。なのに王国騎士団は人員不足でこないだの災害レベル魔獣の時には多くの犠牲者も出てしまった…じゃから今は強い『導具』を持つ者が必要なんじゃ!」
「………そうだったのか…なんか悪いな…」
「そう思うなら王国騎士団に所属を!」
「それはしない」
「何故?!ていうかさっきから普通に話せてない?」
「あれ?ホントだ。今は少し肺が痛む程度だ。流石『半不死の首輪』だな。もう毒に耐性を持たせてくれるなんて」
適当に言い放つとカルラはポイズンドラゴンへと歩いて行った。ポイズンドラゴンもまさか毒に耐性を持つとは思わなかったのかキョトンとしていた。だがすぐ元に戻り、走り始めた。
(俺を潰す気か!)
次の瞬間、カルラの予想は当たり、ポイズンドラゴンは全体重をかけてカルラを潰した。が、
「もっと……痩せろやデブ助ーー!」
という声と共に足の下から這い出てきた。出てきたカルラの服は血で真っ赤になっているが、カルラ本人には一切の怪我が無い。恐らくもう治ったのだろう。
「覚悟しろよデブ助。この戦い、泥沼な上に俺の圧勝だぞ?」
「グルルァアアア!」
四時間二十分後……
倒れたポイズンドラゴンの横でカルラが大の字で寝っ転がっていた。
「ハァ、ハァ、ハァ、よ、ようやく気絶してくれた…」
(大変だった…弱点を探すところから始まり、そこを打つための工夫を考え、約四時間殴り続ける…途中から効率は上がっていったが、普通の人間なら七千回は死んでるぞ)
国王はというと…
「ほ…ホントに勝ちよった…クソ……これで王国騎士団の人員不足は解決しないまま…」
「あー…その話なんだが…」
「なんじゃ?入ってくれるのか?」
「おう。シユウドに居住地をくれるならな。田舎暮らしも飽きてきたところでな」
「昔は都会に住んでたみたい言い方じゃな」
「そうか?それより!どうすんだ?俺の条件は呑むのか?」
「呑む呑む!じゃあこれからお前は王国騎士団の一員じゃ!」
「おう。よろしくな」
「にしてもなんで急に呑む気に?」
「いや、単純な話だ。俺が国民のために頑張るお前を気に入った。それだけだよ」
「今更じゃけど儂国王よ?なんでタメ口?」
「これが俺の生き方だ(ドヤァ」
カルラはドヤ顔を決めるとある一つの疑問をぶつけた。
「そーいえば王国騎士団って給料幾ら?」
「無給」
「やっぱ辞める」
「待って待って!冗談、冗談じゃから!給料は月に100万ディラじゃ」
ディラというのはこの国のお金の単位で1ディラ≒1円である。
「ふーん…結構いいな」
「まぁ国で一番キツイ仕事じゃしな」
「ま、いいや。取り敢えず今日はもう寝たいんだけど。この辺でいい宿屋ない?」
「あれ、この城の余り部屋をお前にやろうと思ってたんじゃが、町の方が良かったか?」
「俺は町の方が良いな。じゃあ宿屋はこっちで探しとくから家はよろしくな。また明日!」
「あぁ、また明日」
二人はそう言うと別れた。
翌日
「あー…よく寝た~。今日から新居暮らしの王国騎士団の一員か~」
カルラが宿屋を出て王城に向かって歩き始めたその時、後ろから声がかかった。
「お前が新入騎士のなんちゃら君だな?王国騎士団の本部まで連れて行くからついてこい」
「ん?お前誰だ?」
「僕はマコト=サカイ。王国騎士団の騎士団長、そして……」
マコトは溜めに溜めて…
「転生者だ!!」
と言い放った。カルラはというと…
「そうか、俺はカルラ=ラウラだ。よろしくな、マコちゃん」
「おい失礼だぞ!僕は転生者なんだぞ!何がマコちゃんだ!ふざけるな!」
「へーへー気をつけますよ、騎士団長」
「ならば良い!ついてこい!」
そう言うとマコトは王国騎士団本部までの道のりを歩き始めた。
___今回出てきた『導具』___
『半不死の首輪』
ありとあらゆる怪我、病気を治し、毒やウイルスにも一瞬で耐性がつくため、死ぬことはない。ただし、例外として老衰では死んでしまう。泥沼な戦いにはなるが、どんな敵にも絶対に負けないため、ランクはX
応援ありがとうございます!
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