科学と魔術の交差点

第0話 素晴らしきこの世界

    27年前、日本である高名な研究者が魔術を使用することに成功した。多くの科学者がインチキだと主張したが、実際に見てみると何らかの化学反応を使った訳でも、マジックのように種や仕掛けがあった訳でもなく、インチキではないことが証明された。するとまたたく間に世界中に広まり、魔術は立派な一つの技術となった。
    それ以降、科学は廃れ、魔術の世界になると思われたが、意外とそんなことはなく、科学だけでは出来ないところを魔術で補い、逆に魔術だけでは出来ないところを科学が補うという持ちつ持たれつな関係が続いていた。
    そんな中、18年前に魔術を作った研究者が失踪した。ある都市伝説には科学と魔術の全てが詰みこまれている『神殿』という電子ファイルがあり、そのファイルにはまだ見ぬ魔術の技術が載っているが、その研究者が消えたことでログイン出来なくなり、各国がパスワードを求め四苦八苦しているという話がある。
    そんな世界に住んでいるこの話の主人公は風の刃を振りかざす銀行強盗とその前にいる女の子の間に走っていき、
「異世界転生イベ来たーーー！」
    と、意味のわからない叫びと共に銀行強盗を歓迎していた…