Boys Summer Love!

hosimure

文字の大きさ
12 / 14
永久の夏

1

しおりを挟む
「ふぅ…。四年ぶりだと、距離が遠く感じるなぁ」

「アタシは毎年思うわよ」

「まあまあ。後少しだし、2人とも頑張って」

僕は四年ぶりに、この土地に足を踏み入れた。

季節は夏。

この春、僕は無事に大学を卒業した。

もちろん、念願だった教育免許を取得して。

そしてこの土地の小学校に、赴任することが決まった。

けれどいろいろバタバタしていて、結局夏になってやっと来れた。

「荷物は先に届いたかな?」

「多分ね。でもあんまり量がなかったわね」

「義兄さんが揃えてくれるって話だし、必要なかったんだろう」

そう、僕が赴任できたのは、伯父の力も影響している。

この土地には若い先生がいないから、僕がこっちで働きたいと言った時には大喜びしてくれた。

だから身一つですぐに来いと言われたけれど、さすがにそれはと思い、いろいろ準備をして今日来た。

「兄さんに何か気に食わないことを言われたら、すぐに連絡すんのよ。あの人、歳を取ったせいで余計に頑固になっちゃってるから」

「その…由月のことでも?」

「由月ちゃんのことは、もうそろそろ諦めが入っているわよ。二番目のコがもう継いでいるようなもんだし」 

二番目の従姉は伯父と争ってても埒があかないと悟ったらしい。

最近では後継者のような働きをしている為、周囲の人間は二番目の従姉を後継者にと言い出しているみたいだ。

「由月ちゃん、大学生になってから、かなり大人になったわよ。アンタ、成長追い抜かれているわね」

「うっ…。それは怖いような楽しみなような…」

時々由月の写メが送られてきたけど、見るたびに大人っぽくなっていった。

逆転は…本当にありえるかもしれない。

四年前までは一応僕がアレだったけど…元々由月の方がしっかりしているしなぁ。

「それにとってもカッコ良くなったの! もうここら辺の女の子は、由月ちゃんに夢中よぉ」

…それでも『ちゃん』付けは直らないんだね、母さん。

僕は四年ぶりに会うことが、楽しみで怖かった。

最後に会った時、まだ中学生だった。

彼は子供だった。

最後の年にはずっと甘えられた。

引っ付いて離れなかったと言っても過言じゃないぐらい。

外にもほとんど出ず、部屋の中ばかりで過ごした。

部屋の中では…親には言えないことばかりしていた。

…お互い、受験生だったのに。

今思い出しても、顔から火が出そうだ。 

邸に着くと、伯父と伯母が出迎えてくれた。

相変わらずの大家族。

でも今日からは僕の家になる。

「よく来てくれたな、雅貴くん」

「今日からよろしくね。自分の家だと思って、ゆっくり甘えてくれていいから」

「ありがとうございます。伯父さん、伯母さん」

僕は2人に頭を下げた後、由月の部屋へ向かった。

しかし、足取りは重い…。

自分より成長することだろうとは予想していたけれど、あっあんまり変わっていると、ショックだな。

僕の中では、由月はまだ幼くて可愛い存在だったから。

でも…男の子は成長するもんだしなぁ。

あっ、何か涙出てきたかも…。

フラフラしながら由月の部屋の前に来た。

僕の部屋は由月の隣にしてもらった。

けれどちょっと失敗だったかな?

成長した由月に迫られては、逃げようが無い気がする。

「―何つっ立ってんだよ? 雅貴」

すっかり声変わりをした由月の声が、襖越しに聞こえてきた。

「相変わらず、足音だけで分かるんだね。由月」

僕はそう答えて、襖を開いた。

部屋の中はあまり変わっていなかった。

けれどそこの住人は大分変わっていた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

寡黙な剣道部の幼馴染

Gemini
BL
【完結】恩師の訃報に八年ぶりに帰郷した智(さとし)は幼馴染の有馬(ありま)と再会する。相変わらず寡黙て静かな有馬が智の勤める大学の学生だと知り、だんだんとその距離は縮まっていき……

猫カフェの溺愛契約〜獣人の甘い約束〜

なの
BL
人見知りの悠月――ゆづきにとって、叔父が営む保護猫カフェ「ニャンコの隠れ家」だけが心の居場所だった。 そんな悠月には昔から猫の言葉がわかる――という特殊な能力があった。 しかし経営難で閉店の危機に……
愛する猫たちとの別れが迫る中、運命を変える男が現れた。 猫のような美しい瞳を持つ謎の客・玲音――れお。 
彼が差し出したのは「店を救う代わりに、お前と契約したい」という甘い誘惑。 契約のはずが、いつしか年の差を超えた溺愛に包まれて――
甘々すぎる生活に、だんだんと心が溶けていく悠月。 だけど玲音には秘密があった。
満月の夜に現れる獣の姿。猫たちだけが知る彼の正体、そして命をかけた契約の真実 「君を守るためなら、俺は何でもする」 これは愛なのか契約だけなのか……
すべてを賭けた禁断の恋の行方は? 猫たちが見守る小さなカフェで紡がれる、奇跡のハッピーエンド。

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

処理中です...