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明かす真実
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わたしは次の日の帰り道、アオイを公園に連れてった。
あまり遊具が無くて、子供には不人気。
高い木が植えられているせいか薄暗くて、これまた奥様方にも不評。
…唯一好評なのが、夜をここで過ごす大人達だ。
まあ…詳しくは察してね。
だから夕方の時、聞かれたくない話をするのにはうってつけだった。
「話って何? ルナ」
「うん…。まあ黙ってても良いとは思ってたんだけどね」
わたしは木に寄り掛かり、ため息をついた。
「クラスのコ達の支配者の地位を、引退する気はないの?」
アオイの目が、ぴくっと動いた。
「わたしを手に入れて、満足してくれない? 他のコ達は解放してあげてよ」
「キミを…」
アオイはしばらく黙った。
「…ルナ、それ誰から聞いた?」
「クラスメート。詳しくは言わない」
「ふぅん…。まっ、察しはつくけどね」
そう言って肩を竦めた。
「支配者の地位ってのは、結構気持ち良いもんなんだよ」
「おサルの山の大将も、そういう気分なのね」
アオイの目がつり上がる。
「調子に乗るのも学生の内だけよ。社会に出たら、その自信は必ず打ち砕かれるわ」
「ハッキリ言うね。キミのそういうところ、好きだったんだけどな」
声が固まっていく。
だけどわたしは怯えない。
「大人しく、僕のものになるっていうのは? クラスメート達のことは、できれば黙認で」
「してあげたいのも山々だけどね。さすがに知ってて気分の良いものじゃないわ」
わたしも肩を竦めて見せる。
「だからわたしだけに集中してくれない? お互い両思いなんだから、恋愛に集中しましょうよ」
「僕もそうしたいんだけどね。…でも僕は支配力がある。それを試したい時期なんだよ」
厄介なこと…。
しかし本来なら心ときめく恋愛の話のハズなのに、お互いに冷めまくっているのが、実にわたし達らしい。
「わたし、アオイのこと好きよ。だからキライになりたくないの」
「僕もルナのことが好きだよ。一人占めしたい。でもそのお願いは、聞き入れられないよ」
そう言って、アオイは笑った。
付き合いの深さから、この笑みが危険なことを察した。
身構えると、アオイは指を鳴らした。
すると木の影から、5人の男性が現れた。全員黒いスーツを着ている。
「本来は僕のボディーガード。でも僕の命令には忠実に従ってくれるんだ」
「わたしを黙らせる気?」
「まさか」
アオイは心底おかしそうに笑った。
「ルナは親戚のお姉さんと一緒に暮らしているんだよね? ご両親は?」
「死んでると思うわ。しばらく連絡こないしね」
わたしはあっさりと答えた。
「ふふっ。なら好都合。ルナが突然いなくなっても、大丈夫そうだね」
…この言い方だと、拉致・監禁ってとこかな?
やっぱり危険思考の持ち主ね、アオイって。
でもそんなアオイがまだ好き。
……わたしもイかれているわね。
「そう…。残念ね」
わたしはアオイに微笑みかける。
「今晩は満月。血族の集会があってね。サボるワケにはいかないのよ」
ランドセルを地面に下ろして、体を動かした。
「5人も相手に、頑張らないほうがいいよ。ケガさせたくないし」
「…わたしも大概『にぶい』って言われる方だけど、アオイも良い勝負よね」
くすっと笑って、目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開けると、驚いた表情のアオイの顔が映った。
「眼が…赤い?」
「わたしが普通の人間だとでも思ってた? てっきり何かを勘付かれて、近付いてきたのかと思ってたんだけどね」
ばきっと首と手首を鳴らす。
あまり遊具が無くて、子供には不人気。
高い木が植えられているせいか薄暗くて、これまた奥様方にも不評。
…唯一好評なのが、夜をここで過ごす大人達だ。
まあ…詳しくは察してね。
だから夕方の時、聞かれたくない話をするのにはうってつけだった。
「話って何? ルナ」
「うん…。まあ黙ってても良いとは思ってたんだけどね」
わたしは木に寄り掛かり、ため息をついた。
「クラスのコ達の支配者の地位を、引退する気はないの?」
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「わたしを手に入れて、満足してくれない? 他のコ達は解放してあげてよ」
「キミを…」
アオイはしばらく黙った。
「…ルナ、それ誰から聞いた?」
「クラスメート。詳しくは言わない」
「ふぅん…。まっ、察しはつくけどね」
そう言って肩を竦めた。
「支配者の地位ってのは、結構気持ち良いもんなんだよ」
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アオイの目がつり上がる。
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わたしも肩を竦めて見せる。
「だからわたしだけに集中してくれない? お互い両思いなんだから、恋愛に集中しましょうよ」
「僕もそうしたいんだけどね。…でも僕は支配力がある。それを試したい時期なんだよ」
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しかし本来なら心ときめく恋愛の話のハズなのに、お互いに冷めまくっているのが、実にわたし達らしい。
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「わたしを黙らせる気?」
「まさか」
アオイは心底おかしそうに笑った。
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「死んでると思うわ。しばらく連絡こないしね」
わたしはあっさりと答えた。
「ふふっ。なら好都合。ルナが突然いなくなっても、大丈夫そうだね」
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「そう…。残念ね」
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「…わたしも大概『にぶい』って言われる方だけど、アオイも良い勝負よね」
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