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「昔と比べると、大分上の者の顔触れも変わってきていてね」
手帳を見ながら、わたしは言う。
この手帳には410年前からの血族のプロフィールを載せている。
…わたしが血族の幹部になったのは、今の姿で成長が止まった時だった。
おかげで410年以上、姿は変わっていない。
記録を残すようになったのは、何となく…周囲に取り残されてしまったからだ。
この手帳を持っていても、当主達は何も言わなかった。
きっとわたしが血族を裏切らないことを、分かっているからだろう。
不思議な素材で出来たこの手帳は、どんなに内容を書き込もうが、ページが減ることはない。
五十音順に付箋が貼ってあって、ページ数は買った時から減りも増えもしない。
どんなに書き込もうが書くページはあり、見たい時は五十音の所に触れ、名前を思い浮かべれば自動的に引き当てる。
ソウマという血族の男が経営している小物屋から買ったもので、重宝していた。
「わたしの顔も、血族の間じゃ有名だしね」
今日の集会に出る予定の、血族の者の顔を見る。
「…そろそろ行かなきゃ」
わたしは手帳を閉じて、ランドセルに入れた。
そして未だ固まっているアオイに、最上級の笑みを浮かべる。
「それじゃ、またね。もうクラスメート達をイジメちゃダメよ?」
諭すように言って、わたしは駆け出した。
「あっ、ルナ!」
彼の呼び止める声に、振り返る気は無かった。
手帳を見ながら、わたしは言う。
この手帳には410年前からの血族のプロフィールを載せている。
…わたしが血族の幹部になったのは、今の姿で成長が止まった時だった。
おかげで410年以上、姿は変わっていない。
記録を残すようになったのは、何となく…周囲に取り残されてしまったからだ。
この手帳を持っていても、当主達は何も言わなかった。
きっとわたしが血族を裏切らないことを、分かっているからだろう。
不思議な素材で出来たこの手帳は、どんなに内容を書き込もうが、ページが減ることはない。
五十音順に付箋が貼ってあって、ページ数は買った時から減りも増えもしない。
どんなに書き込もうが書くページはあり、見たい時は五十音の所に触れ、名前を思い浮かべれば自動的に引き当てる。
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わたしは手帳を閉じて、ランドセルに入れた。
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