16 / 19
全員集合
しおりを挟む
「あ~、もう…イヤ」
神無月は部室で、机に倒れ込んでいた。
「もう……動けません」
続いて九曜も青い顔で呟く。
こちらはイスにぐったりと体を預けて。
「二人ともしっかり。……っと、三人とも、かな?」
ソファーに倒れ込み、顔をしかめながらうなっている雛を見ながら、依琉は苦笑した。
「……何で依琉だけ無事なのよ?」
「別に無事ではないけどね。慣れ、かな?」
そう言いつつ冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを全員に配る。
「一応護身術として、武術・体術は取得してるから」
「くっ……。金持ちのボンボンめ」
「ウチはただの成金。雛のように先祖代々の権力者の家ではありません」
「……依琉、それって嫌味ぃ?」
雛が白い顔をしながら、軽く依琉を睨み付ける。
「とんでもない。謙遜だよ」
「依琉先輩が言うと、どーしても嫌味にしか聞こえないのが不思議ですよね」
「九曜くんまで……」
「まっ、そんなことより、部長はまだかしらね? 講堂の封印は、他の封印よりも安全だと思ったんだけど」
「えっ? そうなんですか?」
九曜がぎょっとして、神無月に向き直った。
「うん。講堂の封印は大人しいんだって、前部長が言ってたの。でも時間はかかるんだって」
「ああ、ボクも聞いたな。危険は無いけど、ちょっとめんどくさいって」
「でも危険よりはマシじゃないですか! 良いなぁ、部長」
「部長は私達と違って、戦う術が無いから仕方無いじゃない。変なところでうらやましがらないの!」
「……神無月先輩に言われると、効きますね。分かりましたよ」
「じゃあ来年も、九曜くんは同じ担当場所で」
「それは待ったをかけます!」
「う~ん。でも神無月やボク、それに雛の所なんて思いっきり攻撃的だけど良いの?」
「うっ……!」
九曜は青い顔で、神無月と雛の二人を見た。
「九曜くんの所はこう言っちゃなんだけど、本体を見つけるまでが勝負だから。寄って来るのは低級だけなんだろう?」
「ううっ!」
<視>られたことに、九曜はダメージを受けた。
「私の所なんて、黒い手に襲われるわよ?」
「ぐっ」
「ボクの所は水が襲い掛かってくるよ」
「うぐっ」
「あたしの所はぁ、植物が襲い掛かってきたよぉ」
「うぐぐぐぐ~」
「九曜は低級の、しかも実体のあるモノに襲われるのよね。でも私達のとこよりは、レベルも低いんだからガマンなさい」
バタッ、と九曜は机に倒れ込んだ。
「まっ、来年の新入生のレベルにもよるだろうけど、九曜には同じ所を担当してもらいたいわ」
「……分かりましたよ。神無月先輩」
九曜はノロノロと起き上がった。
「来年になれば、俺も先輩ですからね。楽な所は後輩に譲りますよ」
「……九曜くん、顔が納得してないよ?」
神無月は部室で、机に倒れ込んでいた。
「もう……動けません」
続いて九曜も青い顔で呟く。
こちらはイスにぐったりと体を預けて。
「二人ともしっかり。……っと、三人とも、かな?」
ソファーに倒れ込み、顔をしかめながらうなっている雛を見ながら、依琉は苦笑した。
「……何で依琉だけ無事なのよ?」
「別に無事ではないけどね。慣れ、かな?」
そう言いつつ冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを全員に配る。
「一応護身術として、武術・体術は取得してるから」
「くっ……。金持ちのボンボンめ」
「ウチはただの成金。雛のように先祖代々の権力者の家ではありません」
「……依琉、それって嫌味ぃ?」
雛が白い顔をしながら、軽く依琉を睨み付ける。
「とんでもない。謙遜だよ」
「依琉先輩が言うと、どーしても嫌味にしか聞こえないのが不思議ですよね」
「九曜くんまで……」
「まっ、そんなことより、部長はまだかしらね? 講堂の封印は、他の封印よりも安全だと思ったんだけど」
「えっ? そうなんですか?」
九曜がぎょっとして、神無月に向き直った。
「うん。講堂の封印は大人しいんだって、前部長が言ってたの。でも時間はかかるんだって」
「ああ、ボクも聞いたな。危険は無いけど、ちょっとめんどくさいって」
「でも危険よりはマシじゃないですか! 良いなぁ、部長」
「部長は私達と違って、戦う術が無いから仕方無いじゃない。変なところでうらやましがらないの!」
「……神無月先輩に言われると、効きますね。分かりましたよ」
「じゃあ来年も、九曜くんは同じ担当場所で」
「それは待ったをかけます!」
「う~ん。でも神無月やボク、それに雛の所なんて思いっきり攻撃的だけど良いの?」
「うっ……!」
九曜は青い顔で、神無月と雛の二人を見た。
「九曜くんの所はこう言っちゃなんだけど、本体を見つけるまでが勝負だから。寄って来るのは低級だけなんだろう?」
「ううっ!」
<視>られたことに、九曜はダメージを受けた。
「私の所なんて、黒い手に襲われるわよ?」
「ぐっ」
「ボクの所は水が襲い掛かってくるよ」
「うぐっ」
「あたしの所はぁ、植物が襲い掛かってきたよぉ」
「うぐぐぐぐ~」
「九曜は低級の、しかも実体のあるモノに襲われるのよね。でも私達のとこよりは、レベルも低いんだからガマンなさい」
バタッ、と九曜は机に倒れ込んだ。
「まっ、来年の新入生のレベルにもよるだろうけど、九曜には同じ所を担当してもらいたいわ」
「……分かりましたよ。神無月先輩」
九曜はノロノロと起き上がった。
「来年になれば、俺も先輩ですからね。楽な所は後輩に譲りますよ」
「……九曜くん、顔が納得してないよ?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしてそこにトリックアートを設置したんですか?
鞠目
ホラー
N県の某ショッピングモールには、エントランスホールやエレベーター付近など、色んなところにトリックアートが設置されている。
先日、そのトリックアートについて設置場所がおかしいものがあると聞いた私は、わかる範囲で調べてみることにした。
隣人意識調査の結果について
三嶋トウカ
ホラー
「隣人意識調査を行います。ご協力お願いいたします」
隣人意識調査の結果が出ましたので、担当者はご確認ください。
一部、確認の必要な点がございます。
今後も引き続き、調査をお願いいたします。
伊佐鷺裏市役所 防犯推進課
※
・モキュメンタリー調を意識しています。
書体や口調が話によって異なる場合があります。
・この話は、別サイトでも公開しています。
※
【更新について】
既に完結済みのお話を、
・投稿初日は5話
・翌日から一週間毎日1話
・その後は二日に一回1話
の更新予定で進めていきます。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/8:『そうちょう』の章を追加。2025/12/15の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/7:『どろのあしあと』の章を追加。2025/12/14の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる