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「…さすがソウマさんの知り合い。普通じゃないところが頷けてしまう」

「類は友を呼ぶってね。まっ、悪い人じゃなさそうだし、いいんじゃない」

帰り道は来た道とは違う道。

歩いている途中で、2人はふと歩みを止めた。

そして険しい表情で、道の奥を見る。

「…んでだ。何でだよぉ」

暗く重い声が、こちらに響いてくる。

頬が痩せこけ、ボロボロのスーツを着た若い男性だ。

ところどころ、体には傷があり、スーツにも血が滲んでいた。

「何でオレがっ、オレが何でっ…」

ブツブツ言いながら、二人の間を通って歩いていく。

―その先に、3人の女子高校生がいた。

ウルサイ声で笑っている彼女達の間を、男性が通ると、

「うっ…」

「…あっ」

「えっ、何…?」

急に彼女達の顔色が悪くなり、よろめいた。

しかし男性は歩みを止めない。

彼女達は男性に気付かない。

「マミヤ、アイツって…」

「…関わらない方がいいだろう。マカに相談する方がいい」

「マカ、ねぇ。…何だかムダな気がするけど」

2人は帰る足を速めた。

「たっだいまぁ~」

「ただいま帰りました」

「お帰り、ハズミ、マミヤ」

出迎えたのは、怒り顔のマカだった。

「わっ! マカ、早かったね」

「何だか悪寒がしてな。…お前、何か言ってただろ?」

「えっ…」

ハズミは助けを求めるべく、マミヤを見た。

しかしマミヤは呆れ顔で首を横に振るだけ。

「ごっゴメン! ちょっとウワサを…」

「どーせロクなウワサじゃないんだろうがっ!」

ゴンッ!

「いってぇええ!」

頭にゲンコツをくらったハズミは、うずくまった。

「己のバカさ加減を恨め!」

そう言ってマカはハズミから箱を取り上げ、ソウマに渡した。

「あっ、そうだ。マカに報告が…」

マミヤは例の男性のことをマカに告げた。

しかしマカは無表情でイスに座り、ミルクティ―を飲んだ。

「―ほおっておけ」

「えっ、でも…」

「やっぱな」

ハズミはやっぱりというように、肩を竦めた。

「そんなのは世の中にうじゃうじゃいるんだ。いちいち相手にしてたら、キリが無い」

「でも人に害を…」

「それもよくあることだ。―まっ、私の付近で暴れたら話は違うがな」

「でもさ、こうなって分かったんだけど、世の中にはモノがたくさんいるんだね」

急にハズミが笑顔で言った。

「中々知り得なかったことを知って、今日は楽しかったよ」

「そりゃ良かったな。…だがお前らにはもっと知ってもらわなければならないことがある。知識は貪欲に食らいつけ」

「分かってるよ♪ マカには恩があるしね。役に立ってみせるよ」

「…そうだな。借りは返す」

そう言った二人の目は、血の色のように赤く染まっていた。


【終わり】


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