3 / 3
3
しおりを挟む
「…さすがソウマさんの知り合い。普通じゃないところが頷けてしまう」
「類は友を呼ぶってね。まっ、悪い人じゃなさそうだし、いいんじゃない」
帰り道は来た道とは違う道。
歩いている途中で、2人はふと歩みを止めた。
そして険しい表情で、道の奥を見る。
「…んでだ。何でだよぉ」
暗く重い声が、こちらに響いてくる。
頬が痩せこけ、ボロボロのスーツを着た若い男性だ。
ところどころ、体には傷があり、スーツにも血が滲んでいた。
「何でオレがっ、オレが何でっ…」
ブツブツ言いながら、二人の間を通って歩いていく。
―その先に、3人の女子高校生がいた。
ウルサイ声で笑っている彼女達の間を、男性が通ると、
「うっ…」
「…あっ」
「えっ、何…?」
急に彼女達の顔色が悪くなり、よろめいた。
しかし男性は歩みを止めない。
彼女達は男性に気付かない。
「マミヤ、アイツって…」
「…関わらない方がいいだろう。マカに相談する方がいい」
「マカ、ねぇ。…何だかムダな気がするけど」
2人は帰る足を速めた。
「たっだいまぁ~」
「ただいま帰りました」
「お帰り、ハズミ、マミヤ」
出迎えたのは、怒り顔のマカだった。
「わっ! マカ、早かったね」
「何だか悪寒がしてな。…お前、何か言ってただろ?」
「えっ…」
ハズミは助けを求めるべく、マミヤを見た。
しかしマミヤは呆れ顔で首を横に振るだけ。
「ごっゴメン! ちょっとウワサを…」
「どーせロクなウワサじゃないんだろうがっ!」
ゴンッ!
「いってぇええ!」
頭にゲンコツをくらったハズミは、うずくまった。
「己のバカさ加減を恨め!」
そう言ってマカはハズミから箱を取り上げ、ソウマに渡した。
「あっ、そうだ。マカに報告が…」
マミヤは例の男性のことをマカに告げた。
しかしマカは無表情でイスに座り、ミルクティ―を飲んだ。
「―ほおっておけ」
「えっ、でも…」
「やっぱな」
ハズミはやっぱりというように、肩を竦めた。
「そんなのは世の中にうじゃうじゃいるんだ。いちいち相手にしてたら、キリが無い」
「でも人に害を…」
「それもよくあることだ。―まっ、私の付近で暴れたら話は違うがな」
「でもさ、こうなって分かったんだけど、世の中にはモノがたくさんいるんだね」
急にハズミが笑顔で言った。
「中々知り得なかったことを知って、今日は楽しかったよ」
「そりゃ良かったな。…だがお前らにはもっと知ってもらわなければならないことがある。知識は貪欲に食らいつけ」
「分かってるよ♪ マカには恩があるしね。役に立ってみせるよ」
「…そうだな。借りは返す」
そう言った二人の目は、血の色のように赤く染まっていた。
【終わり】
「類は友を呼ぶってね。まっ、悪い人じゃなさそうだし、いいんじゃない」
帰り道は来た道とは違う道。
歩いている途中で、2人はふと歩みを止めた。
そして険しい表情で、道の奥を見る。
「…んでだ。何でだよぉ」
暗く重い声が、こちらに響いてくる。
頬が痩せこけ、ボロボロのスーツを着た若い男性だ。
ところどころ、体には傷があり、スーツにも血が滲んでいた。
「何でオレがっ、オレが何でっ…」
ブツブツ言いながら、二人の間を通って歩いていく。
―その先に、3人の女子高校生がいた。
ウルサイ声で笑っている彼女達の間を、男性が通ると、
「うっ…」
「…あっ」
「えっ、何…?」
急に彼女達の顔色が悪くなり、よろめいた。
しかし男性は歩みを止めない。
彼女達は男性に気付かない。
「マミヤ、アイツって…」
「…関わらない方がいいだろう。マカに相談する方がいい」
「マカ、ねぇ。…何だかムダな気がするけど」
2人は帰る足を速めた。
「たっだいまぁ~」
「ただいま帰りました」
「お帰り、ハズミ、マミヤ」
出迎えたのは、怒り顔のマカだった。
「わっ! マカ、早かったね」
「何だか悪寒がしてな。…お前、何か言ってただろ?」
「えっ…」
ハズミは助けを求めるべく、マミヤを見た。
しかしマミヤは呆れ顔で首を横に振るだけ。
「ごっゴメン! ちょっとウワサを…」
「どーせロクなウワサじゃないんだろうがっ!」
ゴンッ!
「いってぇええ!」
頭にゲンコツをくらったハズミは、うずくまった。
「己のバカさ加減を恨め!」
そう言ってマカはハズミから箱を取り上げ、ソウマに渡した。
「あっ、そうだ。マカに報告が…」
マミヤは例の男性のことをマカに告げた。
しかしマカは無表情でイスに座り、ミルクティ―を飲んだ。
「―ほおっておけ」
「えっ、でも…」
「やっぱな」
ハズミはやっぱりというように、肩を竦めた。
「そんなのは世の中にうじゃうじゃいるんだ。いちいち相手にしてたら、キリが無い」
「でも人に害を…」
「それもよくあることだ。―まっ、私の付近で暴れたら話は違うがな」
「でもさ、こうなって分かったんだけど、世の中にはモノがたくさんいるんだね」
急にハズミが笑顔で言った。
「中々知り得なかったことを知って、今日は楽しかったよ」
「そりゃ良かったな。…だがお前らにはもっと知ってもらわなければならないことがある。知識は貪欲に食らいつけ」
「分かってるよ♪ マカには恩があるしね。役に立ってみせるよ」
「…そうだな。借りは返す」
そう言った二人の目は、血の色のように赤く染まっていた。
【終わり】
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる