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Treasure every meeting, for it will never recur
バレンタイン・カタストロフィー ①
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河井舞依の場合 高校2年。冬。
キーンコーンカーンコーン
始業5分前のチャイムが鳴り響く。朝のホームルームまで残り5分を切ったそのチャイムに、まだ校門辺りにいる生徒達は駆け足で下駄箱へと行く。そんないつもの光景がいつものように見えるここは、都内にあるごくごく普通の公立高校。男女の数は半々で合計600人ほどの生徒が生活している。
私はそのチャイムを聞き、急いで自分の下駄箱に行くと上履きに履き替えて教室へと駆ける。もちろん通り過ぎる先生に廊下を走るなと注意されるが遅刻時の反省文を回避するためには致し方ない。私は息を切らしながらようやく教室についた。時計を見ると時刻は8時37分。残り3分も余っていた。
「おはよー舞依」
教室に入るなり同じクラスで私の親友でもある女子が元気な声で話しかけてくる。その女子はこのクラスの学級委員をつとめている。
学級委員の彼女の名は、花宮美希という。肩ぐらいある綺麗な黒髪に茶色い縁の眼鏡をかけている。
私もその挨拶に同じく、元気な声で挨拶を返そうとするが寝起きの私にはそんな力がなかった。今日もいつもと同じように二度寝したが未だ眠気は消えない。親の仕事の関係で自宅には兄弟しかいないため、私のことを起こしてくれる人はいない。なので当然、学校に着くのは毎日ギリギリになってしまう。
「もうすぐバレンタインだね~」
私は美希からそう言われると、黒板の横にある掲示板に掲げられたカレンダーの日付を見た。今日は2月10日、もうすぐ2月14日だった。3年生に進級すれば受験や就職などで忙しくなるため最後のバレンタインと言っても過言はない。2年の冬は高校生活最後のバレンタインなのだ。男子はこの頃からチョコが貰える貰えないでそわそわし始める。
そうこうしているうちに始業のチャイムがなり担任の先生の足音が聞こえる。
しかし、そのスーツ姿の先生が入ってくる直前にギリギリ、教室に滑り込んできた女生徒がいた。
「ギリギリセーフー」
スカートでスライディングしてきたのは女生徒だった。そのあとすぐに担任の先生が入ってきた。
「彩は、今日もギリギリだね」
教室内もいつものことに笑いが溢れている。
彼女の名前は高城彩。私のもう一人の親友だ。ボサボサの頭で焦げ茶色の長い髪をいつも揺らしている。彩も寝起きなのか、瞼をしっかりと開けることが出来ずにいる。
「おっはよー。舞依、美希」
私と美希と彩は誰もが認める仲良し三人組だった。私と彩は中学からの仲で、美希とは高校1年生からの仲だった。
「彩、先生の顔見てみ」
彩は私にそう言われると、教壇に立つ担任の若い先生の顔を見上げた。
眼鏡をかけた細身の若い男性教師の顔には怒りの表情が浮かんでいる。彩はすぐに立ち上がると自分の鞄を持ち、自分の席へと駆け足で向かっていった。担任の先生はやれやれといった表情を見せるがいつものことなので半ば諦めた様で咎めはせずに朝のホームルームを始める。
その先生からの連絡事項を受け流しぎみに聞き終わると、朝のホームルームは終わりを告げる。
そして、授業が始まるまでの少しばかりの休み時間。
私達三人の間で間近にせまった、バレンタインの話題が持ち上がる。
そうして自然な流れで好きな男子の話になる。
キーンコーンカーンコーン
始業5分前のチャイムが鳴り響く。朝のホームルームまで残り5分を切ったそのチャイムに、まだ校門辺りにいる生徒達は駆け足で下駄箱へと行く。そんないつもの光景がいつものように見えるここは、都内にあるごくごく普通の公立高校。男女の数は半々で合計600人ほどの生徒が生活している。
私はそのチャイムを聞き、急いで自分の下駄箱に行くと上履きに履き替えて教室へと駆ける。もちろん通り過ぎる先生に廊下を走るなと注意されるが遅刻時の反省文を回避するためには致し方ない。私は息を切らしながらようやく教室についた。時計を見ると時刻は8時37分。残り3分も余っていた。
「おはよー舞依」
教室に入るなり同じクラスで私の親友でもある女子が元気な声で話しかけてくる。その女子はこのクラスの学級委員をつとめている。
学級委員の彼女の名は、花宮美希という。肩ぐらいある綺麗な黒髪に茶色い縁の眼鏡をかけている。
私もその挨拶に同じく、元気な声で挨拶を返そうとするが寝起きの私にはそんな力がなかった。今日もいつもと同じように二度寝したが未だ眠気は消えない。親の仕事の関係で自宅には兄弟しかいないため、私のことを起こしてくれる人はいない。なので当然、学校に着くのは毎日ギリギリになってしまう。
「もうすぐバレンタインだね~」
私は美希からそう言われると、黒板の横にある掲示板に掲げられたカレンダーの日付を見た。今日は2月10日、もうすぐ2月14日だった。3年生に進級すれば受験や就職などで忙しくなるため最後のバレンタインと言っても過言はない。2年の冬は高校生活最後のバレンタインなのだ。男子はこの頃からチョコが貰える貰えないでそわそわし始める。
そうこうしているうちに始業のチャイムがなり担任の先生の足音が聞こえる。
しかし、そのスーツ姿の先生が入ってくる直前にギリギリ、教室に滑り込んできた女生徒がいた。
「ギリギリセーフー」
スカートでスライディングしてきたのは女生徒だった。そのあとすぐに担任の先生が入ってきた。
「彩は、今日もギリギリだね」
教室内もいつものことに笑いが溢れている。
彼女の名前は高城彩。私のもう一人の親友だ。ボサボサの頭で焦げ茶色の長い髪をいつも揺らしている。彩も寝起きなのか、瞼をしっかりと開けることが出来ずにいる。
「おっはよー。舞依、美希」
私と美希と彩は誰もが認める仲良し三人組だった。私と彩は中学からの仲で、美希とは高校1年生からの仲だった。
「彩、先生の顔見てみ」
彩は私にそう言われると、教壇に立つ担任の若い先生の顔を見上げた。
眼鏡をかけた細身の若い男性教師の顔には怒りの表情が浮かんでいる。彩はすぐに立ち上がると自分の鞄を持ち、自分の席へと駆け足で向かっていった。担任の先生はやれやれといった表情を見せるがいつものことなので半ば諦めた様で咎めはせずに朝のホームルームを始める。
その先生からの連絡事項を受け流しぎみに聞き終わると、朝のホームルームは終わりを告げる。
そして、授業が始まるまでの少しばかりの休み時間。
私達三人の間で間近にせまった、バレンタインの話題が持ち上がる。
そうして自然な流れで好きな男子の話になる。
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