寝起きでロールプレイ

スイカの種

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第一章

第22話 第二ルート検証

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「二番目のルートは、少し南下した位置から北に入る」

 今度の動画は、二週間以上空いた。期待できそうだ。

「上越ラインを大きく回り込みながら上を通過する」

 今回は、俺の方でモニターを二台用意したので、計三台での視聴となる。

 残念ながら、大きいモニターは見つけられなかった。行ける範囲内で骨董品屋を探し回って、壊れてるのも含めおやつ代の許す限り買いあさり、同じメーカーの競合しなさそうな部品でニコイチした。
 もちろん、ネットも検索できず回路とか読めないから、綺麗そうな同じ部品をテキトーに入れ替えするぐらいだ。
 なんとか二台動かせたのは褒めて欲しい。

「コストはかさんだが、いい成果が期待できる筈」

 今回驚いたのは、カメラ十八台、チャージドッグ六台の二十四台六チーム体制だった事だ。

「前回の映像使ったプレゼンが大うけだった。今回のルートには期待をかけてると熱弁したら目標金額の百倍集まった」

 百倍!?

「地下在住市民は娯楽に飢えてるのか?」

 俺らは多分レアケースなのだろう。

「モニターが足りないぞ。どーすんだよ」

「技術は在るが、工作行程が膨大で、作る設備を作るところから始めないとだから予算的に無理。骨董を探してもらっている」

 地上に行けば、普通にあるのになぁ。
 俺がネット接続できれば済む話なんだが。
 こいつだけ繋げるなんてズルい。

「今回のルートは細かく枝分かれしている訳ではない。山あり谷あり、鍾乳洞の平原」

 よくわからんが、言いたいことは分かる。
 迷路にはなってないから、移動可能なルートを選定していくんだな。道の無い山への登山と同じだ。



”前回、我々は恐ろしい体験をした”

「ちょっとまて」

視聴を始めた途端止められて、殺し屋はご機嫌斜めだ。貧乏ゆすりしながら俺を睨む。

「このナレーション毎回入るのか?」

「毎回必要」

 俺らが観る分にはいらなくね?いや、オーケー。分かった。バタフライナイフ出すなよ。舐めるな。アクションすんな、早すぎて怖ぇ。

「続きを観よう」

「よろしい」

 奴はナイフをヒュルンと胸元に仕舞い。胡散臭いスタジオパフォーマンスの後の画像を三つのモニターに分轄していく。

「時間は同時進行、メイン以外は他二つのモニターに分散させる」

 気になったら切り替えていく感じだな?
 了解した。

 フローターがメインで、ワームとスパイダーがサブの小窓だ。
 前回みたいにコケやキモい虫は無い。敷設しかけのレールが一キロほど続き、その後開けた場所に出た。空気の成分は、ほぼ二酸化炭素で少し二酸化硫黄が混じっている程度だ。真っ暗で広大で起伏に富んでいるので、遠くまで見通せず、音波でなんとなく視認できる範囲しか地形把握できない。

「ここからは分かれて探索する、多角的にロケーションするからマッピングも穴が少なくなる」

 なるほど。

「なんか変な音がしないか?」

 ノイズかと思ったが、ボーッと低い音がずっと反響している。

「う~ん」

 殺し屋は一旦動画を止めて、音の抽出をしてからパターン比較をしている。

「たぶん、水音かな。滝か濁流か分からないけど。六か所で同じ波形検出して強さ度合から位置特定してみたけど、反響が多すぎて現時点では良く分からなかった」

「んじゃ、とりあえず、続きみてくか」

 滑りやすそうな足場の悪い所や、薄そうな地盤の箇所はなるべく細かくデータを取っていく。
 荷重に耐えられそうにないウエハー状の薄い地層が水脈や空洞とサンドされてる箇所がかなり多く。凹凸だらけで濁流の箇所もある。落ちて流されたら二度と戻ってこられないだろう。水質は弱酸性で、炭酸気味だった。

「できるだけ頑丈な地盤に挟まれてる所歩きたいよな」

「今までにもかなりの地震にさらされてた訳だし。多少の地震で崩れる事は無いはず。薄いとこ歩きたくないのは同意」

 滑って転んでクレバスまでジェットコースターも御免被りたい。

「坂道はなるべく避けて、水路になりやすい渓谷には降りないようにする、平たんではあるけど、入り組んだルートを進むしかない」

「狭くても、俺らが通れれば問題ないんだろ?」

「鉄道博物館付近のメンテナンストンネルに出るまで斜めに直線距離で四十キロは登っていく。ぐるっと回り込むので五十キロ以上歩くと考えた方がいい。
鍾乳洞を一日で走破するのはわたしでも難易度高い」

 キャンプする必要があるのか。

「この環境でキャンプなんてできるのか?」

「携帯型のエアロックがある。キャンプコンテナは重いけど、積載量百キロ程度のスパイダーで運べる。二、三台運用予定」

 シェルパ役か。

「俺らの後付いてこれるのか?」

「垂直に登れるし、綱渡りもできる。水に食料とトイレも積んで持っていく予定」

「温度変化は?」

「んー」

 殺し屋はしばらく考え込んだ。

「確かに、アトムスーツに病原菌や毒素が付着したら、エアロックで脱ぐことは出来ても、テント内が汚染される。コンテナも遮熱はされるが、空調は微妙。気温が高温や氷点下だったら中でスーツを脱いでもあまり休めない」

 因みに、現在の深度で気温は五十六℃火傷寸前だ。

「地表に近づけば気温は下がるはず。動けなくなる前にそこまで行く」

 それしかないかぁ。コンテナにエアコン付けたらがさばるかな。

「名目上、行って戻ってくる探検行程だから、二人で五日分の物資を持っていく。救急医療品は最低限」

 飯喰うのも大変だから、可及的速やかに呼吸可能域まで出たいよな。



 第二ルートは、遠回りで暑い事以外は問題が無かった。
 あとあれだ。
 呼吸できない。

「つまり、このルートは選択肢に入れる」

「初めのルートより大分マシだな」

「今、マッピング中だが、道も多いし、トラブルも少ない」

「水の中潜る必要無いのはでかいな」

 水温の平均は七十℃を超えてるが、近づかなければ問題ない。
 でも。

「支援者にはどう説明するんだ?」

 観てて面白くないぞこれ。
 それに、ルートがバレバレだ。

「勿論、ルートは公開しない。我々が発見すべきは、ポイントを絞って近場の低コストな鉱床と鉱泉の発見」

 トレハンか。

「ボーリング検査が主体だと言ってたし、衛星からの過去データに則った採掘を優先して近場はあまり開発してなかったから、在ればラッキー程度らしい」

 そんなもんなのかね。

「第三のルートは北埼玉ビオトープの北側に候補を置く。このルートは全く期待できない。上へは行けないだろう。申し訳程度で切り上げる予定」

「うぃっす」

「アシストスーツを手に入れたから、それとベルコンのトレーニングして、自在に動かせるようにしておけ」

 あんな重いの動かせるかな。
 やるだけやってみるか。
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