7 / 65
第二章
第7話【過去】終わりの始まり
しおりを挟む
物語は帝国暦2078年、現在から十一年前に遡る。
ヴィンター帝国は一年の半分が冬であり、冷たく乾いた風が容赦なく生き物に襲いかかる厳しい土地だ。この国が誇れる資源といえば、山岳地帯が多く鉱物資源が豊富であること、長い冬の中で育まれた傭兵たちの強さくらいのものだ。冬が厳しい分、残りの春を尊ぶ。長い期間冬であることから、「冬の国」という通称で呼ばれている。
帝都にある騎士団本部の廊下を二人の青年が急ぎ足で歩いていた。一人は金髪の青年、もうひとりは黒髪の青年。
その日も山から吹き下ろすような風が雪を運んできて、帝都にはしんしんと雪が積もる、いつもよりも寒い日だった。騎士団本部の廊下からは灰色の空と、地面に降り積もる白い雪が見えた。
そのうち、黒髪の青年はどこか苛立ちを感じさせる乱暴な足音を立てていた。
「ベンジャミン、きみ、何をそんなに怒っているんだい?」
従者のいつもとの違いに気づいた金髪の青年が、――彼はこの国の第三皇子のエリオットである――黒髪の青年に問いかける。
「なにもかも、です! 今回の『自称貴族』の騒動も、兄上たちがこの騒動を押し付けてきたことも、……あなたが断らなかったことも!」
従者の怒気のこもった言葉に、エリオットはあぁ、と小さく呟いた。呟いた言葉とともに白い息が吐き出されては消える。
今日は随分と寒いな、なんて場違いなことを思った。寒い日だから温かいシチューが食べたい。騎士団本部の食堂はご飯が美味しいから、今日は食いっぱぐれなければいいな。
今回、二人が普段立ち寄ることのない騎士団の本部へ足を運んだのは『貴族と思われる人間が傭兵ギルドへの加入を申し出た』ことが発端だ。
傭兵ギルドの魔力鑑定装置にかけてみたところ、数値が振り切れていた。計測不能ということだ。
今まで見たことない結果に、ギルドだけで判断できる問題ではない、と騎士団へ報告が上がってきた。
本当に貴族の血筋であり、膨大な魔力を有しているのであればどこかで保護されるか、あるいは騎士団への入団が妥当だろう。
傭兵ギルドは戦う平民のためのものだ。貴族もいないわけではないが、大抵が後ろ暗い事情を抱えているか、面白がって名前だけ登録しているだけで実際の活動はしていないかのどちらかだ。
兄二人は大方、貴族の家出騒動か、ホラ吹きの平民が出たとでも思っているのだろう。魔力鑑定装置の結果は故障。――そういうことは時々あるのだ。
万が一、本当だったら弟から手柄を掠め取れば良い。
「こういうのは自分の出る幕ではない」と思った二人が、自分の利にならない面倒事を、争いごとの苦手な弟に投げるのはいつものことだった。
「本来であれば第一皇子殿下がするべきことでしょう。それを……!」
「ついたよ。静かにして」
しー、と顔の前で人差し指を立ててベンジャミンにそう言った。
白い扉の向こうにいるのは、ただのホラ吹きか、それとも待望の春の訪れか。
「失礼する」
声をかけて中へ入った。
白を貴重とした面会室は、中央に大きな木製の机が有り、その机を囲むように椅子が二脚ずつおいてある。
まず、エリオットの目に入ってきたのは熊のような大男だった。こちらは見知った顔だ。帝都の傭兵ギルドのギルドマスターだ。
ということは、もうひとりが件の……と思い見てみれば少女だった。傭兵ギルドの門を叩いたのだからてっきり男だと思っていたので、これには面食らった。
彼女はエリオットよりも頭ひとつ半分小さい。色白で細くて、痩せた目がぎょろりとしていた。どう見ても「訳アリ」な見た目をしている。
(この子が、魔力鑑定装置を振り切れるくらいの魔力を有している……?)
年齢は九歳くらいだろうか、とあたりをつける。くすんだ茶色の髪の毛はぼさぼさで、同色の瞳はどこか諦念を感じさせる。色褪せたワンピースの上に不自然なくらい大きな男モノのコートを羽織っている。傭兵ギルドで借りたものだろうか。
(こんな寒い日にどうして薄着だったんだろう)
エリオットはそんなことを思いながらも、ベンジャミンに暖炉に薪を足すことと、温かいココアを用意するように指示を出した。
少しの雑談のあと、ギルドマスターが本題に取り掛かった。
「傭兵ギルドに入りたいって来たから話を聞いたんですが、素性を聞いてみたら“お貴族様”。で、魔力鑑定装置も限界突破。……これはもう、騎士団の方で引き取ってもらった方が良いかと思いまして。――ほら、挨拶!」
ギルドマスターに急かされて少女は慌てて立ち上がり、ぎこちないカーテンシーをした。背も曲がっていてお世辞でもきれいとは言えなかった。おそらく、誰かがやっていたのを記憶を辿って真似したのだろう。
コートとワンピースの隙間から覗く枯れ枝のように細い足に痛ましさを感じる。靴もぶかぶかの男物を履いているのが見えた。これも傭兵ギルドで借りたのだろうか。
「おはつ、おめにかかります。アリアナ・ブレメアともうします」
年齢にしてはたどたどしく話す子だ。
「ブレメア……というと、ブレメア子爵家の?現在の当主はマルコ・ブレメアだったかな」
「はい、マルコ・ブレメアは私の父です」
エリオットが記憶を辿って少女――アリアナに話しかければ、彼女はたどたどしく肯定した。
さて、ブレメア家といえば――と続けようとしたところで、ベンジャミンが扉を開け、ワゴンを押して入ってくる。
「ブレメア家といえば、建国時からある歴史”だけは”ある名家ですね。初代当主は武人であり、家名であるブレメアも「勇敢な(ブレイブ)」と、敵国からの評価「悪夢(ナイトメア)」から当時の国王が名付けたとか。四代前には当時の皇女殿下が臣籍降嫁されています」
彼の説明はいつだって教科書を丸写ししたように正確だ。
薪を暖炉に無造作に放り込み、テーブルの上に菓子と飲み物、つまみを次々と並べていく。塩辛いつまみはギルドマスター用に用意したらしく、彼の前にのみ置いた。
「歴史ある名家――というのは過去の話。二代前の当主が内乱側に加担したことで、伯爵から子爵に降格。そこからは下り坂を転がるようにどんどん落ちています。現在の当主であるマルコ・ブレメアはどちらの皇子の派閥にも入れない『卑怯なコウモリ』。当主としての才能はなく、権威ある仕事も回してはもらえず、いつ爵位が廃止されるかを待つだけ。その姿は『社交界の笑いもの』と言われてるとか……それが今のブレメア家の評価です」
毒しかないベンジャミンの評価だが、概ねエリオットの評価と一致していた。
「ベンジャミン。君、彼女に優しくしたいのか、きつくあたりたいのか、どっちなんだい?」
机の上には溢れんばかりの甘味、子どもが好みそうな強烈な甘さのヌガーから、大事なお客様に出す時に出す高級なクッキーが並んでいた。
エリオットに指示されて用意したココアにはマシュマロが三つも乗っていた。余談であるが、エリオットに出すときにはマシュマロは一つしかのせてくれない。(しかも小さい)
アリアナを敵のように睨みつけながらも、彼女にひざ掛けを渡す手つきは紳士的だ。言動と行動が合わないところにベンジャミンの素直になれない優しさが現れていた。
ベンジャミンは主人からの意地悪な質問に顔をしかめた。
ヴィンター帝国は一年の半分が冬であり、冷たく乾いた風が容赦なく生き物に襲いかかる厳しい土地だ。この国が誇れる資源といえば、山岳地帯が多く鉱物資源が豊富であること、長い冬の中で育まれた傭兵たちの強さくらいのものだ。冬が厳しい分、残りの春を尊ぶ。長い期間冬であることから、「冬の国」という通称で呼ばれている。
帝都にある騎士団本部の廊下を二人の青年が急ぎ足で歩いていた。一人は金髪の青年、もうひとりは黒髪の青年。
その日も山から吹き下ろすような風が雪を運んできて、帝都にはしんしんと雪が積もる、いつもよりも寒い日だった。騎士団本部の廊下からは灰色の空と、地面に降り積もる白い雪が見えた。
そのうち、黒髪の青年はどこか苛立ちを感じさせる乱暴な足音を立てていた。
「ベンジャミン、きみ、何をそんなに怒っているんだい?」
従者のいつもとの違いに気づいた金髪の青年が、――彼はこの国の第三皇子のエリオットである――黒髪の青年に問いかける。
「なにもかも、です! 今回の『自称貴族』の騒動も、兄上たちがこの騒動を押し付けてきたことも、……あなたが断らなかったことも!」
従者の怒気のこもった言葉に、エリオットはあぁ、と小さく呟いた。呟いた言葉とともに白い息が吐き出されては消える。
今日は随分と寒いな、なんて場違いなことを思った。寒い日だから温かいシチューが食べたい。騎士団本部の食堂はご飯が美味しいから、今日は食いっぱぐれなければいいな。
今回、二人が普段立ち寄ることのない騎士団の本部へ足を運んだのは『貴族と思われる人間が傭兵ギルドへの加入を申し出た』ことが発端だ。
傭兵ギルドの魔力鑑定装置にかけてみたところ、数値が振り切れていた。計測不能ということだ。
今まで見たことない結果に、ギルドだけで判断できる問題ではない、と騎士団へ報告が上がってきた。
本当に貴族の血筋であり、膨大な魔力を有しているのであればどこかで保護されるか、あるいは騎士団への入団が妥当だろう。
傭兵ギルドは戦う平民のためのものだ。貴族もいないわけではないが、大抵が後ろ暗い事情を抱えているか、面白がって名前だけ登録しているだけで実際の活動はしていないかのどちらかだ。
兄二人は大方、貴族の家出騒動か、ホラ吹きの平民が出たとでも思っているのだろう。魔力鑑定装置の結果は故障。――そういうことは時々あるのだ。
万が一、本当だったら弟から手柄を掠め取れば良い。
「こういうのは自分の出る幕ではない」と思った二人が、自分の利にならない面倒事を、争いごとの苦手な弟に投げるのはいつものことだった。
「本来であれば第一皇子殿下がするべきことでしょう。それを……!」
「ついたよ。静かにして」
しー、と顔の前で人差し指を立ててベンジャミンにそう言った。
白い扉の向こうにいるのは、ただのホラ吹きか、それとも待望の春の訪れか。
「失礼する」
声をかけて中へ入った。
白を貴重とした面会室は、中央に大きな木製の机が有り、その机を囲むように椅子が二脚ずつおいてある。
まず、エリオットの目に入ってきたのは熊のような大男だった。こちらは見知った顔だ。帝都の傭兵ギルドのギルドマスターだ。
ということは、もうひとりが件の……と思い見てみれば少女だった。傭兵ギルドの門を叩いたのだからてっきり男だと思っていたので、これには面食らった。
彼女はエリオットよりも頭ひとつ半分小さい。色白で細くて、痩せた目がぎょろりとしていた。どう見ても「訳アリ」な見た目をしている。
(この子が、魔力鑑定装置を振り切れるくらいの魔力を有している……?)
年齢は九歳くらいだろうか、とあたりをつける。くすんだ茶色の髪の毛はぼさぼさで、同色の瞳はどこか諦念を感じさせる。色褪せたワンピースの上に不自然なくらい大きな男モノのコートを羽織っている。傭兵ギルドで借りたものだろうか。
(こんな寒い日にどうして薄着だったんだろう)
エリオットはそんなことを思いながらも、ベンジャミンに暖炉に薪を足すことと、温かいココアを用意するように指示を出した。
少しの雑談のあと、ギルドマスターが本題に取り掛かった。
「傭兵ギルドに入りたいって来たから話を聞いたんですが、素性を聞いてみたら“お貴族様”。で、魔力鑑定装置も限界突破。……これはもう、騎士団の方で引き取ってもらった方が良いかと思いまして。――ほら、挨拶!」
ギルドマスターに急かされて少女は慌てて立ち上がり、ぎこちないカーテンシーをした。背も曲がっていてお世辞でもきれいとは言えなかった。おそらく、誰かがやっていたのを記憶を辿って真似したのだろう。
コートとワンピースの隙間から覗く枯れ枝のように細い足に痛ましさを感じる。靴もぶかぶかの男物を履いているのが見えた。これも傭兵ギルドで借りたのだろうか。
「おはつ、おめにかかります。アリアナ・ブレメアともうします」
年齢にしてはたどたどしく話す子だ。
「ブレメア……というと、ブレメア子爵家の?現在の当主はマルコ・ブレメアだったかな」
「はい、マルコ・ブレメアは私の父です」
エリオットが記憶を辿って少女――アリアナに話しかければ、彼女はたどたどしく肯定した。
さて、ブレメア家といえば――と続けようとしたところで、ベンジャミンが扉を開け、ワゴンを押して入ってくる。
「ブレメア家といえば、建国時からある歴史”だけは”ある名家ですね。初代当主は武人であり、家名であるブレメアも「勇敢な(ブレイブ)」と、敵国からの評価「悪夢(ナイトメア)」から当時の国王が名付けたとか。四代前には当時の皇女殿下が臣籍降嫁されています」
彼の説明はいつだって教科書を丸写ししたように正確だ。
薪を暖炉に無造作に放り込み、テーブルの上に菓子と飲み物、つまみを次々と並べていく。塩辛いつまみはギルドマスター用に用意したらしく、彼の前にのみ置いた。
「歴史ある名家――というのは過去の話。二代前の当主が内乱側に加担したことで、伯爵から子爵に降格。そこからは下り坂を転がるようにどんどん落ちています。現在の当主であるマルコ・ブレメアはどちらの皇子の派閥にも入れない『卑怯なコウモリ』。当主としての才能はなく、権威ある仕事も回してはもらえず、いつ爵位が廃止されるかを待つだけ。その姿は『社交界の笑いもの』と言われてるとか……それが今のブレメア家の評価です」
毒しかないベンジャミンの評価だが、概ねエリオットの評価と一致していた。
「ベンジャミン。君、彼女に優しくしたいのか、きつくあたりたいのか、どっちなんだい?」
机の上には溢れんばかりの甘味、子どもが好みそうな強烈な甘さのヌガーから、大事なお客様に出す時に出す高級なクッキーが並んでいた。
エリオットに指示されて用意したココアにはマシュマロが三つも乗っていた。余談であるが、エリオットに出すときにはマシュマロは一つしかのせてくれない。(しかも小さい)
アリアナを敵のように睨みつけながらも、彼女にひざ掛けを渡す手つきは紳士的だ。言動と行動が合わないところにベンジャミンの素直になれない優しさが現れていた。
ベンジャミンは主人からの意地悪な質問に顔をしかめた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる