95 / 98
8章 魔人国編
95話 魔神パンチローザとの邂逅です
しおりを挟む
「オサム様、チーム戦と言っても誰が相手するアルか?美砂と京介だけでも結構強くなったネ、私じゃ全員の相手なんて出来ないアル」
「ん?俺がするよ」
「え?それに魔将軍に私も入ったチームの相手なんて誰が……」
「え?だから俺がするって。場合によっては全員まとめてかかって来させるつもりだよ?」
「いやいや、流石にオサム様でも私たちを舐めすぎネ。オサム様の動きも見たけど、あの動きじゃ無理アル」
そういえばまだトランス状態で戦った事は無かったか。コイツらもいい具合に強くなったし、そろそろいい勝負が出来そうな気がするんだよな。
ふふふ、久しぶり自分の口端が吊り上がっていくのを感じた。
「「「ヒィィ……」」」
「俺たち……また死ぬのか」
「本気のオサム君と……?」
「うわぁ……その顔久しぶりに見ましたわ……」
「相対すると恐ろしいものがありますね」
俺はソフトボールくらいの大きさの石を拾い、魔素でコーティングし、トランスを発動した状態で遠くに見える山に向かって全力で投げつける。
音速を超えた際の大きな破裂音が鳴り響いた後、遠くに見える山に大穴が空き、ソニックブームなど比較にならないほど巨大な爆発音が鳴り響いた。
「なッ!?無茶苦茶アル!今まで全部手加減していたアルか!?」
オーバーライドの状態では本気だったさ。おかげさまでいい訓練になったよ。
「俺が生み出し、遠隔で操作していたリオ夫婦より俺自身が弱い訳ないだろ?殺す気でかかってこい、こちらも殺す気で行く」
――八日後。
俺たちは再び魔王城の屋上にある祭壇にやって来ている。
修行の仕上げとして最後の一週間は徹底的にチーム戦を行った。この三週間で身の回りの人間の生き死にには随分慣れたつもりだ。
それに、皆それぞれがSランク魔物をソロで狩れる状態には仕上がっているだろう。
俺ももう少しで何かを掴めそうな気がしてたんだけど、いつまでも修行してる訳に行かないからな。いざ、魔神と戦おうじゃありませんか。
「じゃあ、やってくれ」
俺の声で中央の台座にいるロアと精霊王が魔素を集める。
どれほど集めたのだろうか、魔力視で見れば精霊の楽園のように真っ暗になっているんだろが、普通に見れば、幾何学模様のように張り巡らされた魔石の線が薄らと光って見えて幻想的だ。
突然、台座の上辺りに、その周囲から生まれた光の玉が集まり出す。
「なんかヤバいの来たし」
「うむ、どうやらもう大丈夫のようだな」
ロアと精霊王が魔素を集めるのをやめ、ロアは俺の元に、精霊王は賢音の元へと戻る。
光がゆっくりと収まっていき、ようやく姿を捉えた。
魔神パンチローザと思われる者は身長十メートルはありそうで、ラスボス感の漂う人型の姿をしている。
精霊のように四枚の羽が生えているが、上の二枚は赤く燃えるようであり、下の二枚は黒く全てを飲み込むような色だ。
頭と思われる部分に顔はなく、胸には核のようなものが妖しく紫色に輝いている。
「我は魔神パンチローザざんす。これだけの魔力を集めたということは我に用があるということざんすか?ぬ……!?」
ザ・ン・ス!
この風格、この風貌でザンスときましたか。ナイスミドルのゲソよりキツいものは無いと思ったが……世界は広いな。
俺が馬鹿にしたようなことを考えたからか、何かに驚いたような声を上げてこちらを睨んできた。
というか、睨まれただけで全身から汗が噴き出るような感覚に襲われ、俺は衝動的にトランスを発動してしまった。
「よく来てくれたね、君の言う通り用があったから呼ばせて貰ったよ。君に用があるのはオサムでね、少し話を聞いてくれるかい?」
俺?お前、そういうのって事前に打ち合わせとかあるんじゃないの?
「貴様は今代の魔王ざんすね?この我に対してそのような態度を取れるのも驚きざんすが、そこの……人……魔力の化け物がなんの用でござんしょ?」
なんか人族って言いかけて魔力の化け物と言い直さなかったか?
「オサムとやら、聞いているでござんすか!?」
まぁいいか、どうせ滅するんだから会話なんて必要ねぇだろ。ロア、行くぞ!
「『エーテルキャノン』」
俺の放ったエーテルキャノンに魔神パンチローザは飲み込まれる。かなり大きめに放ったからな、全長十メートルあろうとひと飲みだぜ。
「なるほど。信じ難かったざんすが、やはり我と戦うつもりざんすね」
エーテルキャノンを食らって無傷だと?それに、どうやらバレてたみたいだな。まぁ元精霊なら心だって読めるだろうから当然か。
「絶望するざんす」
魔神パンチローザから何か黒い波動のようなものが広がり包み込まれたと思えば、俺とロアはどこか洞窟のような場所にいた。
仲間達の場所を探りたいが、ロアの魔素感知が効かない。完全に分断されたみたいだな。
「魔神はウチより、いや精霊王より上の存在だからしょうがないし。それよりここ、位相変異で作った空間に似てんね」
え、全然似てなくね?俺の作った空間は丘がベースになってるから外だし開放的じゃん。ここは少し広いとはいえ、結構暗めな洞窟だぞ?
「いや見た目じゃないってば」
「ここは私が作った世界ざんす、下界の者もたまには役に経つざんす」
どこからか声が聞こえてくる。馬鹿みたいな語尾のセリフが洞窟内に反響して、いや、洞窟全体から聞こえてくるようだ。
「役に立つ?もしや俺の記憶から技を抜き取ったということか……?なるほど、俺には分からないけど技が同じなら魔素的に似てるみたいな感じかな?」
「千の部屋を用意したざんす、大量の魔物が跋扈する洞窟を進み、我がいる部屋に着いたものの内一人だけ助けてやるざんす」
この規模の部屋を千個?腐っても神だな、俺とは規模が違い過ぎるぞ。
「生き残るのは一人ざんす。協力して最後の間に来て争ってもよいざんすが、先に争ってもよいざんす。是非殺し合いを見せて欲しいざんす」
魔神パンチローザの声が止むと同時に巨大な魔物が現れた。七、八、九本の首、Sランク魔物と言われるヒュドラが三体か。
なるほど。このレベルの部屋が千部屋あるとなると、少し急いだ方が良さそうだ。
とりあえずこの千の部屋のどこか、あるいは部屋を結ぶ通路に全員いるということだろう。それぞれSランク魔物程度ならなんとか倒せると思うが、同時に複数体の相手では荷が重いな。
「『三連・崩龍蓮華』」
よし、急ごうか。
ヒュドラ三体を瞬殺し次の部屋に向かう為の通路へ出ると、今度は真っ黒な毛並みの大きい狼が死角から攻撃してきたので飛び退いて躱す。
あれ、今なんか見えたな?
「十メートルくらいなら魔素感知出来そうだし、でもそれ以上は頑張っても無理っぽいねぇ」
どうやらロアのおかげらしい。これなら不意打ちは避けれそうだ。
「十分、助かるよ」
しかし、この狼たちも今の動き的にはSランク以上に相当しそうだな。くそ、急いでるってのに。
ん?待てよ?どの部屋を通ったか分からなくなると困るな。一度部屋に戻って後を残すか。
狼達を引き連れて部屋に戻ったのだが、どうやら狼達は部屋の中には入らないようだ。魔物同士で戦わないように設定してるのかな?
まぁそれはいいとして、印だな。迷いの森でエドモンが付けていたように矢印と番号を振っておけばいいか。
俺は黒い土なのか岩なのかよく分からない壁に傷を付け、目印とすることにした。
よし、これで……。
つい今しがた目印を付けたのに、壁の奥に吸い込まれるように消えていってしまった。
まさかの自動回復ですか。
「あ、オサムそれいい案かも」
「だよな?俺の魔法をパクってるんだとすると、魔神が持つ魔力を消費して、空間を維持しているはずだ。維持だけでも大変なんだ、大規模に修復し続けなきゃいけない場合、どうするつもりなんだろうね?」
ふふふ、ロアが悪い顔をしてるぜ。
「いや、オサムに言われたくないし」
――*――
オサムがヒュドラを瞬殺した頃。(美砂視点)
魔神パンチローザの声が聞こえなくなったと思ったら、三つ首の巨大な犬、恐らくケルベロスが現れたんだよね。
「オサム殿と賢音様、魔人族チームとは、はぐれてしまったようですね」
流石エドモンさん、ケルベロスが吐息荒くコチラを狙っているようなのに冷静だね。
「うん、オサム君達はなんとかなるだろうから僕たちはこっちに集中しないとだね」
「Sランク魔物が三体か、俺とリオン、エドモンさんが一体ずつ抑えて、美砂とエリーズさんにフォローして貰う感じがいいかな」
京介君も落ち着いてる。
「それで行きましょう。リオンもそれで大丈夫ですの?」
「はいなのです!本気のパパに比べれば怖いものなんてないのです!」
そうだね、まさかオサム君から本気の殺意を向けられて、何度も殺されることになるなんて夢にも思わなかったもんね。
Sランク魔物のケルベロス。
オサム君と比べれば、お腹を撫でてあげたくなるくらいには怖くない……かな?
ケルベロス達と京介君達がそれぞれ戦いを始めた。うん、みんな強くなってる。Sランク魔物相手に互角以上に戦えていると思う。
あれ?そうすると、魔人族チームも含めた僕たち全員と互角以上に戦えていたオサム君って……何ランク?
そんなことを考えていると、この部屋では無いどこかから、洞窟中に響きそうなほどの爆発音が鳴り響いき、立っているのが難しいほどの揺れに襲われた。
「な、なんですの!?」
「洞窟内で爆発!?天井が崩れるかも知れません、フォローをお願いします」
流石エドモンさん、予期されることから対策まで考えてくれるなんて、助かるよ!
「はい!皆は目の前の相手に集中して!天井は僕がなんとかするよ!」
「はいなのです!」
「分かった!」
「よろしくお願いします!」
「しかし、洞窟内での大爆発なんてゾッとしますわね。魔神に作られた空間とはいえ、崩落は洒落になりませんわ。自爆狙いの魔物でもいるのでしょうか?」
うん、僕は一瞬オサム君の事がよぎったけど、流石に洞窟内で大爆発なんて起こすはずない……よね?
――*――
「ん?俺がするよ」
「え?それに魔将軍に私も入ったチームの相手なんて誰が……」
「え?だから俺がするって。場合によっては全員まとめてかかって来させるつもりだよ?」
「いやいや、流石にオサム様でも私たちを舐めすぎネ。オサム様の動きも見たけど、あの動きじゃ無理アル」
そういえばまだトランス状態で戦った事は無かったか。コイツらもいい具合に強くなったし、そろそろいい勝負が出来そうな気がするんだよな。
ふふふ、久しぶり自分の口端が吊り上がっていくのを感じた。
「「「ヒィィ……」」」
「俺たち……また死ぬのか」
「本気のオサム君と……?」
「うわぁ……その顔久しぶりに見ましたわ……」
「相対すると恐ろしいものがありますね」
俺はソフトボールくらいの大きさの石を拾い、魔素でコーティングし、トランスを発動した状態で遠くに見える山に向かって全力で投げつける。
音速を超えた際の大きな破裂音が鳴り響いた後、遠くに見える山に大穴が空き、ソニックブームなど比較にならないほど巨大な爆発音が鳴り響いた。
「なッ!?無茶苦茶アル!今まで全部手加減していたアルか!?」
オーバーライドの状態では本気だったさ。おかげさまでいい訓練になったよ。
「俺が生み出し、遠隔で操作していたリオ夫婦より俺自身が弱い訳ないだろ?殺す気でかかってこい、こちらも殺す気で行く」
――八日後。
俺たちは再び魔王城の屋上にある祭壇にやって来ている。
修行の仕上げとして最後の一週間は徹底的にチーム戦を行った。この三週間で身の回りの人間の生き死にには随分慣れたつもりだ。
それに、皆それぞれがSランク魔物をソロで狩れる状態には仕上がっているだろう。
俺ももう少しで何かを掴めそうな気がしてたんだけど、いつまでも修行してる訳に行かないからな。いざ、魔神と戦おうじゃありませんか。
「じゃあ、やってくれ」
俺の声で中央の台座にいるロアと精霊王が魔素を集める。
どれほど集めたのだろうか、魔力視で見れば精霊の楽園のように真っ暗になっているんだろが、普通に見れば、幾何学模様のように張り巡らされた魔石の線が薄らと光って見えて幻想的だ。
突然、台座の上辺りに、その周囲から生まれた光の玉が集まり出す。
「なんかヤバいの来たし」
「うむ、どうやらもう大丈夫のようだな」
ロアと精霊王が魔素を集めるのをやめ、ロアは俺の元に、精霊王は賢音の元へと戻る。
光がゆっくりと収まっていき、ようやく姿を捉えた。
魔神パンチローザと思われる者は身長十メートルはありそうで、ラスボス感の漂う人型の姿をしている。
精霊のように四枚の羽が生えているが、上の二枚は赤く燃えるようであり、下の二枚は黒く全てを飲み込むような色だ。
頭と思われる部分に顔はなく、胸には核のようなものが妖しく紫色に輝いている。
「我は魔神パンチローザざんす。これだけの魔力を集めたということは我に用があるということざんすか?ぬ……!?」
ザ・ン・ス!
この風格、この風貌でザンスときましたか。ナイスミドルのゲソよりキツいものは無いと思ったが……世界は広いな。
俺が馬鹿にしたようなことを考えたからか、何かに驚いたような声を上げてこちらを睨んできた。
というか、睨まれただけで全身から汗が噴き出るような感覚に襲われ、俺は衝動的にトランスを発動してしまった。
「よく来てくれたね、君の言う通り用があったから呼ばせて貰ったよ。君に用があるのはオサムでね、少し話を聞いてくれるかい?」
俺?お前、そういうのって事前に打ち合わせとかあるんじゃないの?
「貴様は今代の魔王ざんすね?この我に対してそのような態度を取れるのも驚きざんすが、そこの……人……魔力の化け物がなんの用でござんしょ?」
なんか人族って言いかけて魔力の化け物と言い直さなかったか?
「オサムとやら、聞いているでござんすか!?」
まぁいいか、どうせ滅するんだから会話なんて必要ねぇだろ。ロア、行くぞ!
「『エーテルキャノン』」
俺の放ったエーテルキャノンに魔神パンチローザは飲み込まれる。かなり大きめに放ったからな、全長十メートルあろうとひと飲みだぜ。
「なるほど。信じ難かったざんすが、やはり我と戦うつもりざんすね」
エーテルキャノンを食らって無傷だと?それに、どうやらバレてたみたいだな。まぁ元精霊なら心だって読めるだろうから当然か。
「絶望するざんす」
魔神パンチローザから何か黒い波動のようなものが広がり包み込まれたと思えば、俺とロアはどこか洞窟のような場所にいた。
仲間達の場所を探りたいが、ロアの魔素感知が効かない。完全に分断されたみたいだな。
「魔神はウチより、いや精霊王より上の存在だからしょうがないし。それよりここ、位相変異で作った空間に似てんね」
え、全然似てなくね?俺の作った空間は丘がベースになってるから外だし開放的じゃん。ここは少し広いとはいえ、結構暗めな洞窟だぞ?
「いや見た目じゃないってば」
「ここは私が作った世界ざんす、下界の者もたまには役に経つざんす」
どこからか声が聞こえてくる。馬鹿みたいな語尾のセリフが洞窟内に反響して、いや、洞窟全体から聞こえてくるようだ。
「役に立つ?もしや俺の記憶から技を抜き取ったということか……?なるほど、俺には分からないけど技が同じなら魔素的に似てるみたいな感じかな?」
「千の部屋を用意したざんす、大量の魔物が跋扈する洞窟を進み、我がいる部屋に着いたものの内一人だけ助けてやるざんす」
この規模の部屋を千個?腐っても神だな、俺とは規模が違い過ぎるぞ。
「生き残るのは一人ざんす。協力して最後の間に来て争ってもよいざんすが、先に争ってもよいざんす。是非殺し合いを見せて欲しいざんす」
魔神パンチローザの声が止むと同時に巨大な魔物が現れた。七、八、九本の首、Sランク魔物と言われるヒュドラが三体か。
なるほど。このレベルの部屋が千部屋あるとなると、少し急いだ方が良さそうだ。
とりあえずこの千の部屋のどこか、あるいは部屋を結ぶ通路に全員いるということだろう。それぞれSランク魔物程度ならなんとか倒せると思うが、同時に複数体の相手では荷が重いな。
「『三連・崩龍蓮華』」
よし、急ごうか。
ヒュドラ三体を瞬殺し次の部屋に向かう為の通路へ出ると、今度は真っ黒な毛並みの大きい狼が死角から攻撃してきたので飛び退いて躱す。
あれ、今なんか見えたな?
「十メートルくらいなら魔素感知出来そうだし、でもそれ以上は頑張っても無理っぽいねぇ」
どうやらロアのおかげらしい。これなら不意打ちは避けれそうだ。
「十分、助かるよ」
しかし、この狼たちも今の動き的にはSランク以上に相当しそうだな。くそ、急いでるってのに。
ん?待てよ?どの部屋を通ったか分からなくなると困るな。一度部屋に戻って後を残すか。
狼達を引き連れて部屋に戻ったのだが、どうやら狼達は部屋の中には入らないようだ。魔物同士で戦わないように設定してるのかな?
まぁそれはいいとして、印だな。迷いの森でエドモンが付けていたように矢印と番号を振っておけばいいか。
俺は黒い土なのか岩なのかよく分からない壁に傷を付け、目印とすることにした。
よし、これで……。
つい今しがた目印を付けたのに、壁の奥に吸い込まれるように消えていってしまった。
まさかの自動回復ですか。
「あ、オサムそれいい案かも」
「だよな?俺の魔法をパクってるんだとすると、魔神が持つ魔力を消費して、空間を維持しているはずだ。維持だけでも大変なんだ、大規模に修復し続けなきゃいけない場合、どうするつもりなんだろうね?」
ふふふ、ロアが悪い顔をしてるぜ。
「いや、オサムに言われたくないし」
――*――
オサムがヒュドラを瞬殺した頃。(美砂視点)
魔神パンチローザの声が聞こえなくなったと思ったら、三つ首の巨大な犬、恐らくケルベロスが現れたんだよね。
「オサム殿と賢音様、魔人族チームとは、はぐれてしまったようですね」
流石エドモンさん、ケルベロスが吐息荒くコチラを狙っているようなのに冷静だね。
「うん、オサム君達はなんとかなるだろうから僕たちはこっちに集中しないとだね」
「Sランク魔物が三体か、俺とリオン、エドモンさんが一体ずつ抑えて、美砂とエリーズさんにフォローして貰う感じがいいかな」
京介君も落ち着いてる。
「それで行きましょう。リオンもそれで大丈夫ですの?」
「はいなのです!本気のパパに比べれば怖いものなんてないのです!」
そうだね、まさかオサム君から本気の殺意を向けられて、何度も殺されることになるなんて夢にも思わなかったもんね。
Sランク魔物のケルベロス。
オサム君と比べれば、お腹を撫でてあげたくなるくらいには怖くない……かな?
ケルベロス達と京介君達がそれぞれ戦いを始めた。うん、みんな強くなってる。Sランク魔物相手に互角以上に戦えていると思う。
あれ?そうすると、魔人族チームも含めた僕たち全員と互角以上に戦えていたオサム君って……何ランク?
そんなことを考えていると、この部屋では無いどこかから、洞窟中に響きそうなほどの爆発音が鳴り響いき、立っているのが難しいほどの揺れに襲われた。
「な、なんですの!?」
「洞窟内で爆発!?天井が崩れるかも知れません、フォローをお願いします」
流石エドモンさん、予期されることから対策まで考えてくれるなんて、助かるよ!
「はい!皆は目の前の相手に集中して!天井は僕がなんとかするよ!」
「はいなのです!」
「分かった!」
「よろしくお願いします!」
「しかし、洞窟内での大爆発なんてゾッとしますわね。魔神に作られた空間とはいえ、崩落は洒落になりませんわ。自爆狙いの魔物でもいるのでしょうか?」
うん、僕は一瞬オサム君の事がよぎったけど、流石に洞窟内で大爆発なんて起こすはずない……よね?
――*――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
180
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる