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ヘーベルのハウス

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イチゴ「工事が進んどるね」

ミルク「ブラウニー。もうすぐ、あなたの家が出来るからね」

ブラ「ぷぅ」

ココア「しかし、貯金が底を突いてしまいましたね」

ミルク「それ言わないで」

イチゴ「次なにやっつける?」

ミルク「やっつけない仕事を選ぼう」

イチゴ「そうじゃの。色々と経験しといた方がええか」

ココア「では、外世界の遺物の持ち帰りはいかがでしょうか」

ミルク「嫌な予感がする」

ココア「ふふ、ただのお宝探しですよ」

イチゴ「テンション上がってきた。それにしよう」

ココア「仕事内容はこれです」

イチゴ「そのレシートみたいな紙、いつの間に仕事を選んだのじゃ」

ココア「まだ受け付けてもらってはいません。決めるのはリーダーです」

ミルク「そうそう。勝手はやめてね」

イチゴ「どれどれ……目的地が町のど真ん中じゃぞ」

ミルク「アンデットの町でしょう。やっぱヤバいやつじゃん」

ココア「しかし、報酬が四十万なので簡単そうですよ」

ミルク「感覚がさっそく麻痺してるんだよ。絶対に普通の仕事じゃない」

ココア「四十万から三割の十二万を引いても二十八万。いい仕事だと思います」

ミルク「大事なのはお金じゃなくて命」

イチゴ「とある富豪が所持していた人魚の絵の回収じゃて」

ミルク「絵なんていらないしやめよう」

イチゴ「そうじゃのう。絵なんぞ、わしも興味ない」

ミルク「多数決でなしね」

イチゴ「や、わしは他の町がどうなっとるかちゃんと見てみたい。わくわくすっぞ」

ココア「多数決で行くに決定」

ミルク「ふええん……やだよう……」

イチゴ「受け付けて貰ってくる」

ミルク「あ!勝手に行かないで!」

ココア「ミルクはついて行かないでください。もうすぐ家が完成しますわ」

ミルク「あれピラミッドじゃん!今気付いた!」

ココア「美しい出来です」

ミルク「あれ?あんな設計に頼んでないよね」

ココア「私がお願いしておきました」

ミルク「誰もリーダーの言うこと聞いてくれないじゃん!おしまいだよこのファミリー!」

ココア「何だかんだとございますが、私達よくやれている方だと思いますよ」

ミルク「どうしてにこにこしてるの。そのほっぺた一回つねっていーい?」

責任者「終わりました。神父さんにも伝えておきますね」

ココア「みなさん、お疲れ様でした」

責任者「また何かあったら、どうぞいつでも何でも相談してください」

ココア「ええ。どうぞよろしく」

ミルク「教会の庭にピラミッドは合わないなあ」

ココア「白いから目立たないでしょう」

ミルク「問題点はそこじゃない」

イチゴ「おーい!終わったー?」

ミルク「早いね」

イチゴ「走ったけえ」

ココア「受け付けて貰えました?」

イチゴ「うん」

ブラウニー「ぶりんちょ」

イチゴ「ブラウニーは家が気になるみたいじゃ」

ココア「どうぞ。入口はタッチで開きますから、ミルクお願い」

ミルク「このパネルに手をかざせばいいの?」

ココア「そうです。オートロックですからご安心を」

ミルク「ブラウニーはどこにも逃げないと思うけど」

ブラウニー「ぶりゅりゅりゅ」

イチゴ「入った入った」

ミルク「まあまあ広いね。それに温かい」

ココア「二十四時間、オートメーションで温度や湿度を管理してくれます」

ミルク「電気代ヤバそう」

ココア「ここに退屈しないように埋め込み型のテレビを用意してあります。リモコンはありませんけど、ボタンはあります」

ミルク「意味なさそう」

イチゴ「洗面台があるけえ、掃除も楽そうじゃのう」

ココア「実は水飲み場にもなっています。二十四時間、オートメーションで水の量が調整されます」

ミルク「水道代ヤバそう」

イチゴ「トイレは?」

ココア「ブラウニーはトイレをしません」

イチゴ「ウンコやけ、当たり前か」

ココア「ウンコじゃありません!」

ミルク「とりあえず、ご飯とお風呂と掃除だけ気を付ければいいのかな」

ココア「ええ」

イチゴ「しゃ、次は隣の池を改造した温泉じゃ。さっそく入ってみよ」

ミルク「ブラウニー専用のお風呂だからだめ」

イチゴ「なんじゃ。そういうことなら、一緒に入ればええ」

ミルク「よくそんなこと考えるよね。あり得ないんだけど」

イチゴ「そう、ぐちぐち言うな」

ミルク「人間がシャンプーするところないから。あと丸見えだから」

イチゴ「丸見えは困るのう」

ミルク「疲れた。部屋に戻る」
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