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感謝は与えず貰え!
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ココ「行ってらっしゃい!」
チト「はい、行ってきます!」
ココ「気を付けてね!」
明くる朝。
この日、チトはカフェ・プリンセスではなく、土木関係の仕事をする人に呼ばれて、メレンゲ噴水へと向かいました。
おじん「お、来てくれたね」
チト「最近、水路や噴水の工事が忙しいね」
おじん「ナリキンさんのおかげだよ」
チト「あのクソ野郎に、さん、はもったないから止めておきなさい」
おじん「あの人は自分の地位と贅沢を優先するようなお人だけれど、こうして町を整備したり、食べ物やお酒を、他所からこの町へ流通してくれるから、どちらかと言えば、みんな感謝しているんだよ」
チト「ぼったくられてる事に気づいてないわけ?」
おじん「もちろんわかってるさ。でも、無理な価格ではない。あのお人は、そういった押し引きが上手なんだ。だからみんな、どこか憎めないんだよ」
チト「いつかきっと、いえ必ず、後悔する日が来るわ。私にはわかる」
おじん「そん時は、みんなで追い払ってやるまでよ」
チト「そうね。壊れるまで使えばいいか」
おじん「そんじゃま、さっそく君に仕事を頼もう」
チト「さすがに、これを修理なんて無理よ」
おじん「大丈夫、修理はおいらがやる。お前さんには、この部品と同じものを隣村の鍛冶屋にいる、ドルドンゴザルボーネさんから貰って来てほしいんだ」
チト「何て?」
おじん「このメモを持って行きなさい」すっ
チト「何だーお使いかー」ぶーぶー
おじん「そう言わずに頼むよ。ほら、これ昼食にどうぞ」はい
チト「いちごけーき!?」
おじん「おいらの奥さんの特製さ。それで頼んだよ!」ういんく
チト「まったくー、これを最初に出せよなー!仕様のないなー!」るんるん
そう言った後、クルリと一度回って。
チト「んふふ!」うきうき
チトは、踊るようにスキップしながら隣村を目指します。
その途中、町中で偶然にも、ココに会いました。
ココ「チト、何だか嬉しそうだね」
チト「見てよ、これ!」ぱか
ココ「いちごけーき!?」きらきら
チト「あら。あんた逹、いつの間にお友達になったの?」
ココの隣には、リートちゃん、オコゲくん、オカユちゃんがいました。
リート「最近、よく一緒に遊んでるよ!」
チト「そう。良かったね、ココ!」
ココ「うん!」
チト「そうだ。だったらこれ、みんなで食べなさい」
オカユ「いいの!?おねさん!」わあい!
オコゲ「こら、オカユ!チトさん、ごめんなさい。僕達にはとても貰えません」
チト「遠慮は正しいけれど、謝るのは間違いよ」
オコゲ「え?」
チト「この飢饉に貧困の時世ぐらい、子供らしく素直に貪欲でいなさい!」
リート「貪欲ってなあに?」くびかしげ
チト「あー、つまりは」
リート「つまりは?」くびかしげ
チト「希望を強く求め!たくましく生きよ!!ってことよ」
リート「そういうことかあ!」
チト「だからほら、さっさと受け取りなさい。私これでも急いでるの」はい
オカユ「おねさん優しいね!あーと!」ぺこり!
チト「お礼が言えて、えらいえらい!」なでなで
オコゲ「本当にありがとうございます!」ぺこり
チト「あなたがしっかり者のおかげね」なでなで
リート「私もありがとう!」ほっぺにちゅ!
チト「それ、ココにしちゃだめよ」なでなで
リート「しないよ!」
ココ「え!」
チト「ふふっ。じゃあね、遅くならないうちに帰りなさいよ」
ココ「うん!いつもありがとう、お姉ちゃん!」
チト「いいえ!」ぎゅう!
子供逹と別れ、チトは町を出ました。
それから心地よい風の吹く穏やかな原っぱを歩いていると、木陰でひとり休む、懐かしい姿を見つけました。
チト「遠回りすっかな……」そっーと
チシャノ「あ!」
チト「くっ……!」がくっ
チトは大袈裟にがっくりしながら、わざとらしくトボトボと、チシャノのもとへ向かいました。
チシャノ「や!」てをふりふり
チト「どうしたの?こんなところで」
チシャノ「あのね、みてね。ほら美味しそうだよ」
チシャノはそう言って、背負っていたカゴを降ろすと、その中にある、たくさんの葉っぱをチトに見せてあげました。
チト「その草、食べられるわけ?」
チシャノ「全部ね」
チト「へえ。意外と、食べられるものって、その辺りに色々あるのね」
チシャノ「そうなのね」
チト「ねー」
チシャノ「そうそう。今ね、お昼なの」
チト「そうなの。時計がないから気付かなかったわ」
チシャノ「食べる?」
チシャノはカゴの奥から、見るからにそれはそれは美味しそうな、ハムとチーズの塊を一つずつ取り出しました。
チト「食べる!!」く~
チシャノ「はい」
チト「え?」
チシャノ「チトちゃん、チーズ苦手なんだね」
チト「いやそうじゃなくて、めいめい半分にしてちょうだい」
チシャノ「そっか」
チシャノはハムとチーズ、それぞれ半分にすると、大きい方をチトに渡しました。
チト「チシャノ……」
チシャノ「んー?」もむもむ
チト「あ、ああ、あああああ……!アリがいるね」
チシャノ「可愛いねー」
チシャノはそう言って、アリさんにチーズを分けてあげました。
チト「私、あなたのこと好きよ」ぼそっ
チシャノ「ん?」
チト「何でもない!てか、このハムうめえなちくしょう!!」はむもむ
チシャノ「ママの手作りなんだね。私、大好きだよ」ふふっ
チト「ずいぶんと改心したみたいね、何よりだわ」あむ
淡い青空に、まるで羊毛のような雲が優しい風に乗って、小鳥と一緒にのんびりと飛んでいます。
よりそって、同じものを食べる二人の上で。
続け!
チト「はい、行ってきます!」
ココ「気を付けてね!」
明くる朝。
この日、チトはカフェ・プリンセスではなく、土木関係の仕事をする人に呼ばれて、メレンゲ噴水へと向かいました。
おじん「お、来てくれたね」
チト「最近、水路や噴水の工事が忙しいね」
おじん「ナリキンさんのおかげだよ」
チト「あのクソ野郎に、さん、はもったないから止めておきなさい」
おじん「あの人は自分の地位と贅沢を優先するようなお人だけれど、こうして町を整備したり、食べ物やお酒を、他所からこの町へ流通してくれるから、どちらかと言えば、みんな感謝しているんだよ」
チト「ぼったくられてる事に気づいてないわけ?」
おじん「もちろんわかってるさ。でも、無理な価格ではない。あのお人は、そういった押し引きが上手なんだ。だからみんな、どこか憎めないんだよ」
チト「いつかきっと、いえ必ず、後悔する日が来るわ。私にはわかる」
おじん「そん時は、みんなで追い払ってやるまでよ」
チト「そうね。壊れるまで使えばいいか」
おじん「そんじゃま、さっそく君に仕事を頼もう」
チト「さすがに、これを修理なんて無理よ」
おじん「大丈夫、修理はおいらがやる。お前さんには、この部品と同じものを隣村の鍛冶屋にいる、ドルドンゴザルボーネさんから貰って来てほしいんだ」
チト「何て?」
おじん「このメモを持って行きなさい」すっ
チト「何だーお使いかー」ぶーぶー
おじん「そう言わずに頼むよ。ほら、これ昼食にどうぞ」はい
チト「いちごけーき!?」
おじん「おいらの奥さんの特製さ。それで頼んだよ!」ういんく
チト「まったくー、これを最初に出せよなー!仕様のないなー!」るんるん
そう言った後、クルリと一度回って。
チト「んふふ!」うきうき
チトは、踊るようにスキップしながら隣村を目指します。
その途中、町中で偶然にも、ココに会いました。
ココ「チト、何だか嬉しそうだね」
チト「見てよ、これ!」ぱか
ココ「いちごけーき!?」きらきら
チト「あら。あんた逹、いつの間にお友達になったの?」
ココの隣には、リートちゃん、オコゲくん、オカユちゃんがいました。
リート「最近、よく一緒に遊んでるよ!」
チト「そう。良かったね、ココ!」
ココ「うん!」
チト「そうだ。だったらこれ、みんなで食べなさい」
オカユ「いいの!?おねさん!」わあい!
オコゲ「こら、オカユ!チトさん、ごめんなさい。僕達にはとても貰えません」
チト「遠慮は正しいけれど、謝るのは間違いよ」
オコゲ「え?」
チト「この飢饉に貧困の時世ぐらい、子供らしく素直に貪欲でいなさい!」
リート「貪欲ってなあに?」くびかしげ
チト「あー、つまりは」
リート「つまりは?」くびかしげ
チト「希望を強く求め!たくましく生きよ!!ってことよ」
リート「そういうことかあ!」
チト「だからほら、さっさと受け取りなさい。私これでも急いでるの」はい
オカユ「おねさん優しいね!あーと!」ぺこり!
チト「お礼が言えて、えらいえらい!」なでなで
オコゲ「本当にありがとうございます!」ぺこり
チト「あなたがしっかり者のおかげね」なでなで
リート「私もありがとう!」ほっぺにちゅ!
チト「それ、ココにしちゃだめよ」なでなで
リート「しないよ!」
ココ「え!」
チト「ふふっ。じゃあね、遅くならないうちに帰りなさいよ」
ココ「うん!いつもありがとう、お姉ちゃん!」
チト「いいえ!」ぎゅう!
子供逹と別れ、チトは町を出ました。
それから心地よい風の吹く穏やかな原っぱを歩いていると、木陰でひとり休む、懐かしい姿を見つけました。
チト「遠回りすっかな……」そっーと
チシャノ「あ!」
チト「くっ……!」がくっ
チトは大袈裟にがっくりしながら、わざとらしくトボトボと、チシャノのもとへ向かいました。
チシャノ「や!」てをふりふり
チト「どうしたの?こんなところで」
チシャノ「あのね、みてね。ほら美味しそうだよ」
チシャノはそう言って、背負っていたカゴを降ろすと、その中にある、たくさんの葉っぱをチトに見せてあげました。
チト「その草、食べられるわけ?」
チシャノ「全部ね」
チト「へえ。意外と、食べられるものって、その辺りに色々あるのね」
チシャノ「そうなのね」
チト「ねー」
チシャノ「そうそう。今ね、お昼なの」
チト「そうなの。時計がないから気付かなかったわ」
チシャノ「食べる?」
チシャノはカゴの奥から、見るからにそれはそれは美味しそうな、ハムとチーズの塊を一つずつ取り出しました。
チト「食べる!!」く~
チシャノ「はい」
チト「え?」
チシャノ「チトちゃん、チーズ苦手なんだね」
チト「いやそうじゃなくて、めいめい半分にしてちょうだい」
チシャノ「そっか」
チシャノはハムとチーズ、それぞれ半分にすると、大きい方をチトに渡しました。
チト「チシャノ……」
チシャノ「んー?」もむもむ
チト「あ、ああ、あああああ……!アリがいるね」
チシャノ「可愛いねー」
チシャノはそう言って、アリさんにチーズを分けてあげました。
チト「私、あなたのこと好きよ」ぼそっ
チシャノ「ん?」
チト「何でもない!てか、このハムうめえなちくしょう!!」はむもむ
チシャノ「ママの手作りなんだね。私、大好きだよ」ふふっ
チト「ずいぶんと改心したみたいね、何よりだわ」あむ
淡い青空に、まるで羊毛のような雲が優しい風に乗って、小鳥と一緒にのんびりと飛んでいます。
よりそって、同じものを食べる二人の上で。
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