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❁かしこいロリニアエルゼ
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これは、別に書いた後日談になります。
主役はロリニアエルゼちゃんです。
彼女が生まれるキッカケとなった童話『かしこいエルゼ』の終わりがあまりに可哀想だったので、幸せになってほしいという思いから彼女は生まれました。
ฅ•ﻌ•ฅ
なだらかな山の麓にあり、大自然に囲まれた穏やかな村。
そこは変人が多いと有名な村で、村人達は主に、農業や牧畜、鉄の加工等をして生活しています。
ロリニアエルゼ。
彼女もその村の苺農家の娘として生まれました。
ロリニアは幼い頃より、かしこいロリニアエルゼと呼ばれ、家族にとても愛されて育てられました。
ロリニア「おかあさん!この苺病気だよ!」ほら
その呼ばれ始めは、ロリニアが四才の頃になります。
おかあさん「あら本当ね!」
おとうさん「ロリニアは賢いなあ」なでなで
幼くして病気の苺を見抜いたことで、家族から、かしこいロリニアエルゼと呼ばれるようになったのです。
また、彼女が少し大きくなって、村の人達もそう呼ぶようになりました。
ですが……。
男子「ロリニア!」
ロリニア「なに!」
男子「川に帽子が落ちたんだ」
取り巻きの男の子達は何故かクスクスと笑っています。
ロリニア「それって自分で取れないから、つまりワタクシに取ってほしいってこと?」くびかしげ
男子「そうだよ!」
ロリニア「わかった!」
ロリニアは笑顔で快諾し、男の子達について川へとやって来ました。
その川は子供には深く、日頃から大人達に入るなと警告されています。
それでも。
ロリニア「そうだ!木の枝を使えばいいんだ!」にっこるん!
ロリニアは木の枝を使って懸命に帽子を取ろうとしました。
しかし、彼女はバランスを崩してそのまま川に落ちてしまいました。
男子「賢いロリニアが川に落ちたぞ!」
それを合図に取り巻きの男の子達は、賢い癖に結局泳ぐのか、泳ぎ方も知らないなんて頭悪いな、等と次から次へと皆してロリニアを馬鹿にしました。
彼女はそれを、川のメロディに乗せた歌のようにボッーと聞いていました。
幸いにも、近くを通りかかった大人にロリニアは助けられましたが、気の毒なことに、この先も彼女は馬鹿にされ続けました。
ロリニア「それってワタクシは馬鹿だってことで、しかも使えない子だってことで、だからいらない子で、つまり死ねってことか」
女子「そうよ。あんたなんか死んじまえ」
村の子供達がいっせいに、死んじまえ、と繰り返しロリニアに冷たい声を突き刺しました。
すると彼女は頭を抱え。
ロリニア「うわあああああ!!」がくがく!
体を震わせて発狂し、やがて動かなくなりました。
この時にはもう、助けてくれる大人の人達も少なくなり、ロリニアはついに壊れてしまいました。
それでも家族には愛され、おかげで健やかに育ち、ロリニアは無事に十五才を迎えました。
そしてこの年、彼女は村の外から来たチトという少女と運命の出逢いを果たします。
ロリニア「あああああ!!」ぴょんぴょん!
しかしチトという少女もまた、苦しむロリニアを愉快に放置して村を去ってしまいました。
ところが運命とは不思議なもので、ロリニアと彼女は後に、また再開することになります。
それはある森の中で、また別の少女との運命の出逢いをキッカケに。
ロリニア「ここ……どこだ?」きょろりん
この日ロリニアは、孤独に森の中でさ迷っていました。
村人に馬鹿にされて我を失い、気が付いた時にはここにいたのです。
ロリニア「うぅ……」ぐすっ
涙が出そうなのをこらえていると、そこへ。
チシャノ「あ!」
ロリニア「あ!」
ロリニアはチシャノという少女と出逢いました。
チシャノ「ん?」
ロリニア「あのね、ね、そのなんだ」おろりん
チシャノ「そっか」
ロリニア「そういうことだ!」
意味なく訳なく意気投合した二人。
チシャノはロリニアの手を引いて、さっそく自宅へと招きました。
チシャノの家は高い塔の上にあり、彼女はそこで義理の母である老婆と二人暮らしをしています。
上から垂れる縄の梯子をスルスルと登り、二人は家の中へ。
ママ「チシャノ、また新しい友達かい?」
チシャノ「あのね、多分ね、迷子なんだね」
ママ「お前は確か、あの村で有名な……」
チシャノ「ママ、知ってるんだね」
ママ「お前は賢いロリニアエルゼか」
ロリニア「そうなんだ!」にっこるん!
ママ「今すぐ出ていきな!」
チシャノ「ママひどいんだ」ぷくー
ママ「この子といると不幸になるよ!」
チシャノ「ならない!」おこぷん
ロリニア「それってワタクシは悪魔の子だってことで、人間じゃないってことで、それは気味悪いってことで、つまり消えろってことだ」
チシャノ「そんなことないんだね!」
ロリニア「絶対そういうことだあああああ!!」がくがく!
発狂したロリニアを、老婆はそれ見ろと言わんばかりに、高い塔の上から容赦なく突き落としました。
チシャノ「きゃ!」
ママ「二度と来るな化物め!」
そう言われてもロリニアは梯子を登りました。
その度に突き落とされても、何度も必死に登りました。
彼女は求めていたのです。
チシャノ「やめてママ!!」
初めて大きな声をあげたチシャノに、老婆はハッとなりました。
チシャノ「私、今日はチトの家に行く!」
チシャノは急いで梯子を降りると、ロリニアを心配しました。
チシャノ「大丈夫?」
ロリニア「頑丈だから」
チシャノ「行こう、ロリニアちゃん!」
ロリニア「……うん!」
こうして、二人は仲良く手を繋いでチトの家に向かいました。
そしてそこで、ロリニアは。
チト、チシャノ、カナリィという少女達と、チトの弟のココ、それに喋る猫のカフェと、確かに友達になりました。
さて、それから一年後。
チトが町にやって来ることを村人から伝えられたロリニアは、さっそく苺のパイを焼くと、バスケットに入れたそれを両手で大事に抱えて、走って走って会いに行きました。
チト「チシャノ、カナリィ。久しぶりね」
チシャノ「ね!」
カナリィ「ここにロリニアがいれば、みんな勢揃いでしたのに残念です」
チト「いや、あいつはいなくていい」
チシャノ「ひどいんだ」ぷくー
カナリィ「あんまりです!」ぷい
チト「だってカササギみたいにうるさいし」
おーい!
チシャノ「あ!」
チトー!
チト「ちっ!」たたっ!
チトは本能的に逃げ出しました。
ロリニア「どうして逃げるんだー!」
カナリィ「ロリニア!」
ロリニアは二人の前を矢のように通り過ぎると、そのままチトを追いかけて見えなくなりました。
カナリィ「追いかけましょう!」
チシャノ「ん!」
ところで。
逃げ出したチトは、沈む太陽とは反対に、小高い岩山を登り始めていました。
ロリニア「どうして逃げるんだよー!」
チト「体が勝手に逃げるのよ!」よじよじ
ロリニア「それって恥ずかしいってことで、本当は照れているからで、どうしても我慢できないほどに、つまり好きってことだあああああ!!」がしがし!
チト「怖い恐い怖い恐い!」よじよじ!
ロリニアは虫のように岩肌を這い上がりましたが、いきなり足を滑らせて勢いよく地面に叩きつけられました。
チト「ロリニア!」
返事はありません。
チト「やっちまった……」
ロリニア「ああああああああああ!!」がばっ!
チト「!?」びくっ
ロリニアは覚醒したのか、再び凄い勢いで這い上がりました。
先に頂上についたチトは、狭いその頂でついに追い詰められました。
ロリニア「ああ……あああ……!」ふらりん
チト「もう逃げないから!落ち着け!」
ロリニア「どうしてえ……」ゆらりん
ロリニアは体を揺らしながら、ゆっくりとチトに歩み寄ります。
チト「それは正直言ってあなたが怖いからよ!」
ロリニア「!」ぴたっ
チト「あ、その……」
ロリニア「……そっか」
チト「ごめんなさい。違うの」
ロリニア「そういうことか!」
ロリニアが笑顔のまま一筋の涙を流したのを見て、チトは思わず強く抱き締めました。
ロリニア「チト……?」
チト「私はまた友達に酷いこと言って、泣かせて、本当にごめんなさい!」ぎゅ
チトも泣いていました。
ロリニアはその涙をやさしく拭ってあげます。
ロリニア「泣かないで!ほら、パイを焼いてきたんだ!」ぱか
チト「あら美味しそう」ぐすっ
ロリニア「きっと美味しいから、そしたらチトも笑顔になれるんだ!」
チト「思い返せば、あなたって、いつも私の為に一生懸命がんばってくれるよね」
ロリニア「もちろんだ!」ふふん!
チト「これ、あなたが焼いたわけ?」
ロリニア「つまり凄いんだ!」ふふふん!
チト「ありがとう、大好きなロリニア」にこっ
ロリニア「チト……チト!今!」
チト「何も言ってないし!」ぷい
ロリニア「絶対に言った!」
チト「それよりはやく食べましょう。走って腹が減ったわ」く~
と、ここでようやくチシャノが追い付きました。
チシャノ「ふ、二人とも……はや……だね……へへ……」ふらふら
カナリィ「チシャノ助けてくださーい!」
その声に三人が慌てて駆けつけると、カナリィは今にも落ちそうでした。
三人は揃って手を伸ばし、声を合わせて一緒に引き上げました。
カナリィ「助かりました!」
チト「あまり無茶しないの」
ロリニア「そうだ。落ちたら死ぬぞ」
チト「あなた死ななかったよね」じとー
チシャノ「さすがロリニアちゃんだね!」ぱちぱち
ロリニア「えへへ」てれりんこ
チト「いや、そこ褒めるとこでも照れるとこでもないし」
カナリィ「ふふふ!」くすくす
ロリニア「そうだ!みんなで食べよう!」ぱかっ
チシャノ「わあ!」
カナリィ「このパイ、ロリニアが焼いたのですか!」
ロリニア「どうだ!」えっへん!
カナリィ「やっぱり!あまり綺麗じゃないから、そうだと思いました!」
チト「こら。正直過ぎよ」しっー
カナリィ「ごめんなさい!」ぺこ
ロリニア「いいんだ。それって見た目が良くなくても」
みんなで一口、ぱくり。
ロリニア「つまり味は良いってことだ!」にっこるん!
まるでパイのような夕日に照らされ、三人の頬は苺色に染まりましたとさ。
主役はロリニアエルゼちゃんです。
彼女が生まれるキッカケとなった童話『かしこいエルゼ』の終わりがあまりに可哀想だったので、幸せになってほしいという思いから彼女は生まれました。
ฅ•ﻌ•ฅ
なだらかな山の麓にあり、大自然に囲まれた穏やかな村。
そこは変人が多いと有名な村で、村人達は主に、農業や牧畜、鉄の加工等をして生活しています。
ロリニアエルゼ。
彼女もその村の苺農家の娘として生まれました。
ロリニアは幼い頃より、かしこいロリニアエルゼと呼ばれ、家族にとても愛されて育てられました。
ロリニア「おかあさん!この苺病気だよ!」ほら
その呼ばれ始めは、ロリニアが四才の頃になります。
おかあさん「あら本当ね!」
おとうさん「ロリニアは賢いなあ」なでなで
幼くして病気の苺を見抜いたことで、家族から、かしこいロリニアエルゼと呼ばれるようになったのです。
また、彼女が少し大きくなって、村の人達もそう呼ぶようになりました。
ですが……。
男子「ロリニア!」
ロリニア「なに!」
男子「川に帽子が落ちたんだ」
取り巻きの男の子達は何故かクスクスと笑っています。
ロリニア「それって自分で取れないから、つまりワタクシに取ってほしいってこと?」くびかしげ
男子「そうだよ!」
ロリニア「わかった!」
ロリニアは笑顔で快諾し、男の子達について川へとやって来ました。
その川は子供には深く、日頃から大人達に入るなと警告されています。
それでも。
ロリニア「そうだ!木の枝を使えばいいんだ!」にっこるん!
ロリニアは木の枝を使って懸命に帽子を取ろうとしました。
しかし、彼女はバランスを崩してそのまま川に落ちてしまいました。
男子「賢いロリニアが川に落ちたぞ!」
それを合図に取り巻きの男の子達は、賢い癖に結局泳ぐのか、泳ぎ方も知らないなんて頭悪いな、等と次から次へと皆してロリニアを馬鹿にしました。
彼女はそれを、川のメロディに乗せた歌のようにボッーと聞いていました。
幸いにも、近くを通りかかった大人にロリニアは助けられましたが、気の毒なことに、この先も彼女は馬鹿にされ続けました。
ロリニア「それってワタクシは馬鹿だってことで、しかも使えない子だってことで、だからいらない子で、つまり死ねってことか」
女子「そうよ。あんたなんか死んじまえ」
村の子供達がいっせいに、死んじまえ、と繰り返しロリニアに冷たい声を突き刺しました。
すると彼女は頭を抱え。
ロリニア「うわあああああ!!」がくがく!
体を震わせて発狂し、やがて動かなくなりました。
この時にはもう、助けてくれる大人の人達も少なくなり、ロリニアはついに壊れてしまいました。
それでも家族には愛され、おかげで健やかに育ち、ロリニアは無事に十五才を迎えました。
そしてこの年、彼女は村の外から来たチトという少女と運命の出逢いを果たします。
ロリニア「あああああ!!」ぴょんぴょん!
しかしチトという少女もまた、苦しむロリニアを愉快に放置して村を去ってしまいました。
ところが運命とは不思議なもので、ロリニアと彼女は後に、また再開することになります。
それはある森の中で、また別の少女との運命の出逢いをキッカケに。
ロリニア「ここ……どこだ?」きょろりん
この日ロリニアは、孤独に森の中でさ迷っていました。
村人に馬鹿にされて我を失い、気が付いた時にはここにいたのです。
ロリニア「うぅ……」ぐすっ
涙が出そうなのをこらえていると、そこへ。
チシャノ「あ!」
ロリニア「あ!」
ロリニアはチシャノという少女と出逢いました。
チシャノ「ん?」
ロリニア「あのね、ね、そのなんだ」おろりん
チシャノ「そっか」
ロリニア「そういうことだ!」
意味なく訳なく意気投合した二人。
チシャノはロリニアの手を引いて、さっそく自宅へと招きました。
チシャノの家は高い塔の上にあり、彼女はそこで義理の母である老婆と二人暮らしをしています。
上から垂れる縄の梯子をスルスルと登り、二人は家の中へ。
ママ「チシャノ、また新しい友達かい?」
チシャノ「あのね、多分ね、迷子なんだね」
ママ「お前は確か、あの村で有名な……」
チシャノ「ママ、知ってるんだね」
ママ「お前は賢いロリニアエルゼか」
ロリニア「そうなんだ!」にっこるん!
ママ「今すぐ出ていきな!」
チシャノ「ママひどいんだ」ぷくー
ママ「この子といると不幸になるよ!」
チシャノ「ならない!」おこぷん
ロリニア「それってワタクシは悪魔の子だってことで、人間じゃないってことで、それは気味悪いってことで、つまり消えろってことだ」
チシャノ「そんなことないんだね!」
ロリニア「絶対そういうことだあああああ!!」がくがく!
発狂したロリニアを、老婆はそれ見ろと言わんばかりに、高い塔の上から容赦なく突き落としました。
チシャノ「きゃ!」
ママ「二度と来るな化物め!」
そう言われてもロリニアは梯子を登りました。
その度に突き落とされても、何度も必死に登りました。
彼女は求めていたのです。
チシャノ「やめてママ!!」
初めて大きな声をあげたチシャノに、老婆はハッとなりました。
チシャノ「私、今日はチトの家に行く!」
チシャノは急いで梯子を降りると、ロリニアを心配しました。
チシャノ「大丈夫?」
ロリニア「頑丈だから」
チシャノ「行こう、ロリニアちゃん!」
ロリニア「……うん!」
こうして、二人は仲良く手を繋いでチトの家に向かいました。
そしてそこで、ロリニアは。
チト、チシャノ、カナリィという少女達と、チトの弟のココ、それに喋る猫のカフェと、確かに友達になりました。
さて、それから一年後。
チトが町にやって来ることを村人から伝えられたロリニアは、さっそく苺のパイを焼くと、バスケットに入れたそれを両手で大事に抱えて、走って走って会いに行きました。
チト「チシャノ、カナリィ。久しぶりね」
チシャノ「ね!」
カナリィ「ここにロリニアがいれば、みんな勢揃いでしたのに残念です」
チト「いや、あいつはいなくていい」
チシャノ「ひどいんだ」ぷくー
カナリィ「あんまりです!」ぷい
チト「だってカササギみたいにうるさいし」
おーい!
チシャノ「あ!」
チトー!
チト「ちっ!」たたっ!
チトは本能的に逃げ出しました。
ロリニア「どうして逃げるんだー!」
カナリィ「ロリニア!」
ロリニアは二人の前を矢のように通り過ぎると、そのままチトを追いかけて見えなくなりました。
カナリィ「追いかけましょう!」
チシャノ「ん!」
ところで。
逃げ出したチトは、沈む太陽とは反対に、小高い岩山を登り始めていました。
ロリニア「どうして逃げるんだよー!」
チト「体が勝手に逃げるのよ!」よじよじ
ロリニア「それって恥ずかしいってことで、本当は照れているからで、どうしても我慢できないほどに、つまり好きってことだあああああ!!」がしがし!
チト「怖い恐い怖い恐い!」よじよじ!
ロリニアは虫のように岩肌を這い上がりましたが、いきなり足を滑らせて勢いよく地面に叩きつけられました。
チト「ロリニア!」
返事はありません。
チト「やっちまった……」
ロリニア「ああああああああああ!!」がばっ!
チト「!?」びくっ
ロリニアは覚醒したのか、再び凄い勢いで這い上がりました。
先に頂上についたチトは、狭いその頂でついに追い詰められました。
ロリニア「ああ……あああ……!」ふらりん
チト「もう逃げないから!落ち着け!」
ロリニア「どうしてえ……」ゆらりん
ロリニアは体を揺らしながら、ゆっくりとチトに歩み寄ります。
チト「それは正直言ってあなたが怖いからよ!」
ロリニア「!」ぴたっ
チト「あ、その……」
ロリニア「……そっか」
チト「ごめんなさい。違うの」
ロリニア「そういうことか!」
ロリニアが笑顔のまま一筋の涙を流したのを見て、チトは思わず強く抱き締めました。
ロリニア「チト……?」
チト「私はまた友達に酷いこと言って、泣かせて、本当にごめんなさい!」ぎゅ
チトも泣いていました。
ロリニアはその涙をやさしく拭ってあげます。
ロリニア「泣かないで!ほら、パイを焼いてきたんだ!」ぱか
チト「あら美味しそう」ぐすっ
ロリニア「きっと美味しいから、そしたらチトも笑顔になれるんだ!」
チト「思い返せば、あなたって、いつも私の為に一生懸命がんばってくれるよね」
ロリニア「もちろんだ!」ふふん!
チト「これ、あなたが焼いたわけ?」
ロリニア「つまり凄いんだ!」ふふふん!
チト「ありがとう、大好きなロリニア」にこっ
ロリニア「チト……チト!今!」
チト「何も言ってないし!」ぷい
ロリニア「絶対に言った!」
チト「それよりはやく食べましょう。走って腹が減ったわ」く~
と、ここでようやくチシャノが追い付きました。
チシャノ「ふ、二人とも……はや……だね……へへ……」ふらふら
カナリィ「チシャノ助けてくださーい!」
その声に三人が慌てて駆けつけると、カナリィは今にも落ちそうでした。
三人は揃って手を伸ばし、声を合わせて一緒に引き上げました。
カナリィ「助かりました!」
チト「あまり無茶しないの」
ロリニア「そうだ。落ちたら死ぬぞ」
チト「あなた死ななかったよね」じとー
チシャノ「さすがロリニアちゃんだね!」ぱちぱち
ロリニア「えへへ」てれりんこ
チト「いや、そこ褒めるとこでも照れるとこでもないし」
カナリィ「ふふふ!」くすくす
ロリニア「そうだ!みんなで食べよう!」ぱかっ
チシャノ「わあ!」
カナリィ「このパイ、ロリニアが焼いたのですか!」
ロリニア「どうだ!」えっへん!
カナリィ「やっぱり!あまり綺麗じゃないから、そうだと思いました!」
チト「こら。正直過ぎよ」しっー
カナリィ「ごめんなさい!」ぺこ
ロリニア「いいんだ。それって見た目が良くなくても」
みんなで一口、ぱくり。
ロリニア「つまり味は良いってことだ!」にっこるん!
まるでパイのような夕日に照らされ、三人の頬は苺色に染まりましたとさ。
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