『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅵ

Cannibalism

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 ウェルバーは井戸を見つけて少年の唇を濡らすように、ゆっくりと水を含ませてく。

 少年の両足の汚れを少し水で流すと傷だらけで、その傷口には泥や砂が入りかなり良くない状態だった。そのまま所どころで血が固まり、砂などの異物を取り込んだまま治癒してしまうとその部位の血流が悪くなったり、細菌が入ったままな場合だと骨まで腐ってしまう。ヘタをすれば切断しなきゃならない可能性もある。なんとか意識が戻れば傷口の洗浄と殺菌用の薬草を塗り込むなどをして、手当をしないと破傷風を起こし死んでしまう。

 ウェルバーは自分も十分に水分補給し、一息ついて、周囲を見渡す。
 周辺の家々は木材の支柱と石、土とで作られた壁。第6でも同じく中腹エリアの作りで簡単には朽ちることの無い家群の中に井戸があった。

 まだ夜明けから一時間も経ってはいない明朝。みんなまだ寝ているのか、それともここ中腹にすら誰も居ないのか。

 井戸から近い一軒の家を外から警戒しながら舐めるように見渡す。
 人の寝息すら聞こえない。人々の寝起きの朝食の匂い一つも漂うこともない。
 正にゴーストタウンのような不気味さを感じていた。

 その家の玄関前まで、息を殺しながら近づくと中から人影が動くのを目の端で捉えた。

「・・・おい」
 小さく声を掛ける。腰に添えた伐採用の手斧に手を置きながら。
 するとその影が勢いよくウェルバーを襲ってきた。
「うおぉ!!」
 ウェルバーは驚き、つい反射的に正体が分からぬままその使い慣れた手斧で反撃し影をなぎ倒した。手斧は右のこめかみから頭蓋を砕き、右目を飛び出させながら脳幹まで到達している。
 返り討ちにする前、その瞬間に見たその影の顔は完全に正気を失い、目の焦点も合わず口からは終始よだれを垂れ流すProberプローバーそのものだった。

 ウェルバーは嫌な予感をさせながら、その家屋の中に入って見るとそこにはやはり無残に食い散らかされたここの住人であろう二体分の死体の肉片がバラバラに転がり、テーブルの上にされていた。

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