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第2話
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「ぼ…、僕が…、ですか? いいんですか?」
「どうせみんなボロボロや。ノーコンはお前だけじゃなかったな。ともあれ、お前も人生の記念に、この晴れの舞台で、潔く押し出しをやってこい」
(監督はきっと何かを覚悟しているな…)
その固い表情から、そのとき僕は何かを感じ取った。
僕は子供のころから、「投げる」ことが好きで好きで仕方がなかった。
小学校のころ、家にはひからびた軟球と、古くてかび臭い大人用のグローブがあった。それで僕は家の近くのテニスコートで、誰もいないときはそこの「壁」で、延々とボール投げをした。僕の手はまだ小さくて、大人用のグローブは、がばがばだったけれど。
それから、学校からこっそり持って帰ったチョークで、壁に小さめの四角を描き、それはもちろんストライクゾーンで、それをめがけ、僕は延々とボールを投げたんだ。
四角を小さくしたのは、少しでもコントロールを良くしたかったから。
だけど僕は物凄いノーコンで、その四角の中にボールが行くことは滅多になかった。大抵は「抜けた」球とか、「引っ掛かった」球とか、それから何とも表現のしようのないでたらめな球だとか、バッターがいたなら見事にお尻に命中しそうな球だとか、バッターの背中を通る球だとか…
とにかくありとあらゆる「ろくでもない球」をたくさん投げ続け、そして思い出したころに「ぽん」と、ストライクが小さな四角のど真ん中に決まる。
本当に、奇跡的に決まるんだ。
そして僕はずっとそんな状態だった。いくら練習しても、いくらフォームをいろいろ変えてみても、考えても考えても、僕は決してそういうレベルからは脱出できなかった。
だけどそれだけじゃなかった。
ボールがあちこちに「とっちらかる」だけではなく、ボール自体もいろんな「表情」を見せたんだ。
もっとも僕は、全部「まっすぐ」を投げているつもりだったけれど、僕の投げる球は、ときに突然曲がるんだ。スライドしたり、シュートしたり、はたまた魔球のようにドスンと落ちたり。
とにかくいろんな「変化球」に、勝手に化けたんだ。多分、一球一球、ボールをリリースする加減もばらついていたんだろうね。
つまりコントロールが悪い上に、「球種」も勝手に変わってしまう。もうどうしようもなかった。だけど球自体は、同級生よりも結構速いつもりだったけどね。
とにかく延々とこんな状態で、僕は小学校を卒業した。
中学生になって、それでも野球が好きで好きで仕方がなかったので、もちろん野球部に入った。
僕は(中学校では投手やるぞ!)って、張り切っていたんだ。そして入部してしばらくして、キャプテンが「投手やりたいのいるか?」って言って、それで一年生数人が集まり、キャプテンが座って、みんなが次々とキャプテンに投球を披露した。
そして僕の番が来て、これまでの練習の成果を見せるんだ! そう思いながら…だけど僕はいつもよりひときわ緊張して投げた。
だからそのとき僕は、過去にも例を見ないようなめちゃくちゃな球を投げ、キャプテンは僕がたったの2球を投げただけで、あっさりと「はい次!」と言って、それで次に同級生がきれいに投げ、キャプテンは「おお、いいな。よし。お前、投手やれ!」と言った。
その同級生はとても晴れがましい顔をしていた。
とてもうらやましかった。
それで僕は意に反して「野手」の練習をやらされちゃったけれど、それまで守備なんてほとんどやっていなかったし、というか、僕は他の子みたいに少年野球チームにいた訳でもなく、ただただテニスコートでボール投げをしていただけなので、ころころとはね返って来た球を捕る以外、たいした守備もしたことはなかった。とはいっても、いろんな本で勉強して、野球のルール自体はほとんど知っていたんだけどね。
それはいいけれど、とにかくそういうわけで、守備練習をやって「捕る」までならある程度出来るようになったんだ。だけど送球が…、つまり投げると同級生よりも「少々速い球」が行くだけで、ファーストがジャンプしても捕れないような球ばかり。
本当にどうしようもない選手だったんだ。
それでも野球が大好きだったから、というか、僕にとって野球という「場所」は、とても居心地が良かった。だから部活はずっと続けて、それに僕はどういうわけか、バッティングだけは本能的に上手かったみたいで、時々試合に代打で出てはヒットもかっ飛ばした。
打つのって簡単だよ。
飛んで来たボールをバットで叩くだけじゃんって、僕はいつも思っていたし。
だけど不思議な事に、僕はバッティングには少しも興味がわかなかった。だって練習しなくても簡単に打てちゃうから。
それにくらべると、投げることの何と面白いことか。投げても投げても、思うような球を投げられない。だからどうやったら上手く投げられるのか。そう考えるだけでも、僕はわくわくしたんだ。
いつも寝るときだって、わくわくしながらそんなことを考えた。
とにかく僕は必死に投げた。投げるのはたいてい一人で、あのテニスコートで。暗くなってボールが見えなくなるまで。
それで僕は中学の野球部では補欠で、球拾いで、試合ではバット引きと、たまに代打。
それでも僕は十分に幸せだった。死ぬほど野球が好きだったから。
実はコントロールについては、いろんな先輩や顧問の先生なんかにも、いろいろとアドバイスを受けていた。
「相手の胸を狙って投げろ」
「相手のグローブから、決して目を離すな」
「肘から前に出るようにして腕を振るんだ」
「軽く投げてみろ」
「走り込んで下半身がしっかりしたら、コントロールは良くなる」
「コントロールが悪いのは、集中力が足りないせいなんだ」
「もっと丁寧に投げてみろ」
だけどそんな全ての言葉は、僕にとっては全く無意味だった。
相手の胸やグローブから目を離さなくたって、ボールは見事にあさっての方角へ飛んで行くし、肘から前にっていったって、肘にガクってきて何だか投げにくいし、軽く投げたらもっとひどいコントロールだし、走っても変り映えしなかったし、集中したって緊張するだけで、よけいに暴投したし、丁寧にっていわれても、僕はずっと真剣に、必死で丁寧に投げていたよ。
とにかくいろいろ言われたことは全部やったんだ。だけど全部ダメだったんだ。そしてコントロールは悪くなる一方だった。いやむしろ、暴投を繰り返すばかりだったんだ。
高校へ入っても、似たような感じだった。
ただ野球と、「投げる」ことが大好きなだけで、投手はもちろん、いかなるポジションでも、どうしようもなかった。たびたび暴投するのだから、野手としても致命的だったんだ。
いや、もしかして外野手なら、何とかなったのかも知れない。僕は結構足が速かったし、フライを捕るのだって、中学の頃よりはずいぶん上手くはなっていただろうし、それに外野なら、最低でもボールをカットマンに返すだけでもいいし。そのうえ僕は結構バッティングもいい。だから僕はきっと、そこそこの外野手にはなっていたのかも知れないね。
だけどやっぱり僕は打つことに興味が持てず、ひたすら投げる事が好きだったんだ。これはどうしようもなかった。そしてその頃の僕は、妙な意地も張っていた。とにかく投手以外のいかなるポジションも、絶対にやりたくなかった!
そんな頑なな僕に監督は、「外野は絶対に嫌なのか? 外野ならお前だってそこそこやれると思うが。それでも絶対に嫌なのか?」
そんな監督の、とても気を利かしてくれているであろうその言葉にも、僕はこちんこちんのかたくなな顔を変えなかった。ピッチャー以外、やるつもりはないと、顔に大きく書いてあったんだろう。
それで監督は「だったらもう、勝手にせい!」と言って豪快に僕を見放した。
だけど僕は死ぬほど野球が好きだったから、野球部は絶対にやめなかった。それで高校でも僕は補欠と球拾いと、代打その他…、つまり中学時代と全く変らない存在だった。
ただただ「自分は投手だ!」と信じているだけだった。
だから僕は、時間を見付けては、個人的にはあのテニスコートでの「壁投げ」はずっと続けていた。暗くなって、ボールが見えなくなるまで。
そんな僕の様子を、監督はとうに気付いているようだった。
そしてそれはある日。
僕が例のテニスコートで一心不乱にめちゃくちゃに投げているところに、偶然監督が通りかかり、そして僕のところへやってきたんだ。
それから監督は、
「お前…、投げるのめちゃくちゃだけど、でも、投げるのが本当に好きなんだな」と、感心したように言ってくれて、それからボールの握り方や、「目標から目を離すな」とかいう、僕にとっては全く意味のないアドバイスを丁寧にしてくれて、それから、
「そんなに好きなら、投げるのがんばれよ!」とも言ってくれた。
つまり監督は、決して僕のことを見放してはいなかったんだ。そして監督が僕の気持ちを理解してくれていたと知り、それはとても嬉しかった。
監督には今でもとても感謝しているし。まあ、アドバイスの内容はさておいて。
そして運命の日。
その日、僕は甲子園のマウンドへと向かって、ゆっくりと歩いていた。
「ぼ…、僕が…、ですか? いいんですか?」
「どうせみんなボロボロや。ノーコンはお前だけじゃなかったな。ともあれ、お前も人生の記念に、この晴れの舞台で、潔く押し出しをやってこい」
(監督はきっと何かを覚悟しているな…)
その固い表情から、そのとき僕は何かを感じ取った。
僕は子供のころから、「投げる」ことが好きで好きで仕方がなかった。
小学校のころ、家にはひからびた軟球と、古くてかび臭い大人用のグローブがあった。それで僕は家の近くのテニスコートで、誰もいないときはそこの「壁」で、延々とボール投げをした。僕の手はまだ小さくて、大人用のグローブは、がばがばだったけれど。
それから、学校からこっそり持って帰ったチョークで、壁に小さめの四角を描き、それはもちろんストライクゾーンで、それをめがけ、僕は延々とボールを投げたんだ。
四角を小さくしたのは、少しでもコントロールを良くしたかったから。
だけど僕は物凄いノーコンで、その四角の中にボールが行くことは滅多になかった。大抵は「抜けた」球とか、「引っ掛かった」球とか、それから何とも表現のしようのないでたらめな球だとか、バッターがいたなら見事にお尻に命中しそうな球だとか、バッターの背中を通る球だとか…
とにかくありとあらゆる「ろくでもない球」をたくさん投げ続け、そして思い出したころに「ぽん」と、ストライクが小さな四角のど真ん中に決まる。
本当に、奇跡的に決まるんだ。
そして僕はずっとそんな状態だった。いくら練習しても、いくらフォームをいろいろ変えてみても、考えても考えても、僕は決してそういうレベルからは脱出できなかった。
だけどそれだけじゃなかった。
ボールがあちこちに「とっちらかる」だけではなく、ボール自体もいろんな「表情」を見せたんだ。
もっとも僕は、全部「まっすぐ」を投げているつもりだったけれど、僕の投げる球は、ときに突然曲がるんだ。スライドしたり、シュートしたり、はたまた魔球のようにドスンと落ちたり。
とにかくいろんな「変化球」に、勝手に化けたんだ。多分、一球一球、ボールをリリースする加減もばらついていたんだろうね。
つまりコントロールが悪い上に、「球種」も勝手に変わってしまう。もうどうしようもなかった。だけど球自体は、同級生よりも結構速いつもりだったけどね。
とにかく延々とこんな状態で、僕は小学校を卒業した。
中学生になって、それでも野球が好きで好きで仕方がなかったので、もちろん野球部に入った。
僕は(中学校では投手やるぞ!)って、張り切っていたんだ。そして入部してしばらくして、キャプテンが「投手やりたいのいるか?」って言って、それで一年生数人が集まり、キャプテンが座って、みんなが次々とキャプテンに投球を披露した。
そして僕の番が来て、これまでの練習の成果を見せるんだ! そう思いながら…だけど僕はいつもよりひときわ緊張して投げた。
だからそのとき僕は、過去にも例を見ないようなめちゃくちゃな球を投げ、キャプテンは僕がたったの2球を投げただけで、あっさりと「はい次!」と言って、それで次に同級生がきれいに投げ、キャプテンは「おお、いいな。よし。お前、投手やれ!」と言った。
その同級生はとても晴れがましい顔をしていた。
とてもうらやましかった。
それで僕は意に反して「野手」の練習をやらされちゃったけれど、それまで守備なんてほとんどやっていなかったし、というか、僕は他の子みたいに少年野球チームにいた訳でもなく、ただただテニスコートでボール投げをしていただけなので、ころころとはね返って来た球を捕る以外、たいした守備もしたことはなかった。とはいっても、いろんな本で勉強して、野球のルール自体はほとんど知っていたんだけどね。
それはいいけれど、とにかくそういうわけで、守備練習をやって「捕る」までならある程度出来るようになったんだ。だけど送球が…、つまり投げると同級生よりも「少々速い球」が行くだけで、ファーストがジャンプしても捕れないような球ばかり。
本当にどうしようもない選手だったんだ。
それでも野球が大好きだったから、というか、僕にとって野球という「場所」は、とても居心地が良かった。だから部活はずっと続けて、それに僕はどういうわけか、バッティングだけは本能的に上手かったみたいで、時々試合に代打で出てはヒットもかっ飛ばした。
打つのって簡単だよ。
飛んで来たボールをバットで叩くだけじゃんって、僕はいつも思っていたし。
だけど不思議な事に、僕はバッティングには少しも興味がわかなかった。だって練習しなくても簡単に打てちゃうから。
それにくらべると、投げることの何と面白いことか。投げても投げても、思うような球を投げられない。だからどうやったら上手く投げられるのか。そう考えるだけでも、僕はわくわくしたんだ。
いつも寝るときだって、わくわくしながらそんなことを考えた。
とにかく僕は必死に投げた。投げるのはたいてい一人で、あのテニスコートで。暗くなってボールが見えなくなるまで。
それで僕は中学の野球部では補欠で、球拾いで、試合ではバット引きと、たまに代打。
それでも僕は十分に幸せだった。死ぬほど野球が好きだったから。
実はコントロールについては、いろんな先輩や顧問の先生なんかにも、いろいろとアドバイスを受けていた。
「相手の胸を狙って投げろ」
「相手のグローブから、決して目を離すな」
「肘から前に出るようにして腕を振るんだ」
「軽く投げてみろ」
「走り込んで下半身がしっかりしたら、コントロールは良くなる」
「コントロールが悪いのは、集中力が足りないせいなんだ」
「もっと丁寧に投げてみろ」
だけどそんな全ての言葉は、僕にとっては全く無意味だった。
相手の胸やグローブから目を離さなくたって、ボールは見事にあさっての方角へ飛んで行くし、肘から前にっていったって、肘にガクってきて何だか投げにくいし、軽く投げたらもっとひどいコントロールだし、走っても変り映えしなかったし、集中したって緊張するだけで、よけいに暴投したし、丁寧にっていわれても、僕はずっと真剣に、必死で丁寧に投げていたよ。
とにかくいろいろ言われたことは全部やったんだ。だけど全部ダメだったんだ。そしてコントロールは悪くなる一方だった。いやむしろ、暴投を繰り返すばかりだったんだ。
高校へ入っても、似たような感じだった。
ただ野球と、「投げる」ことが大好きなだけで、投手はもちろん、いかなるポジションでも、どうしようもなかった。たびたび暴投するのだから、野手としても致命的だったんだ。
いや、もしかして外野手なら、何とかなったのかも知れない。僕は結構足が速かったし、フライを捕るのだって、中学の頃よりはずいぶん上手くはなっていただろうし、それに外野なら、最低でもボールをカットマンに返すだけでもいいし。そのうえ僕は結構バッティングもいい。だから僕はきっと、そこそこの外野手にはなっていたのかも知れないね。
だけどやっぱり僕は打つことに興味が持てず、ひたすら投げる事が好きだったんだ。これはどうしようもなかった。そしてその頃の僕は、妙な意地も張っていた。とにかく投手以外のいかなるポジションも、絶対にやりたくなかった!
そんな頑なな僕に監督は、「外野は絶対に嫌なのか? 外野ならお前だってそこそこやれると思うが。それでも絶対に嫌なのか?」
そんな監督の、とても気を利かしてくれているであろうその言葉にも、僕はこちんこちんのかたくなな顔を変えなかった。ピッチャー以外、やるつもりはないと、顔に大きく書いてあったんだろう。
それで監督は「だったらもう、勝手にせい!」と言って豪快に僕を見放した。
だけど僕は死ぬほど野球が好きだったから、野球部は絶対にやめなかった。それで高校でも僕は補欠と球拾いと、代打その他…、つまり中学時代と全く変らない存在だった。
ただただ「自分は投手だ!」と信じているだけだった。
だから僕は、時間を見付けては、個人的にはあのテニスコートでの「壁投げ」はずっと続けていた。暗くなって、ボールが見えなくなるまで。
そんな僕の様子を、監督はとうに気付いているようだった。
そしてそれはある日。
僕が例のテニスコートで一心不乱にめちゃくちゃに投げているところに、偶然監督が通りかかり、そして僕のところへやってきたんだ。
それから監督は、
「お前…、投げるのめちゃくちゃだけど、でも、投げるのが本当に好きなんだな」と、感心したように言ってくれて、それからボールの握り方や、「目標から目を離すな」とかいう、僕にとっては全く意味のないアドバイスを丁寧にしてくれて、それから、
「そんなに好きなら、投げるのがんばれよ!」とも言ってくれた。
つまり監督は、決して僕のことを見放してはいなかったんだ。そして監督が僕の気持ちを理解してくれていたと知り、それはとても嬉しかった。
監督には今でもとても感謝しているし。まあ、アドバイスの内容はさておいて。
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