オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~

紫 和春

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第15話 データを回収しました

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 九王たちはトラックに乗り込み、高速道路を北上する。流山インターチェンジから常磐道に乗り、柏インターチェンジを横目に見ながら、ひたすら北上だ。

「それで、次の目的地はどこだ?」
「次はいよいよつくばです。案内通りに進んでください。この先に大きめのジャンクションがありますので注意してくださいね」
「あいよ」

 そうしてトラックはスピードを上げていく。道中、守谷サービスエリアに寄り道し、ガソリンスタンドで給油を行っていく。ウッマの邪魔にならない程度にガソリン携行缶を積み込んで、再びつくばを目指す。
 つくばジャンクションを進み、その先にある桜土浦インターチェンジで常磐道から下りる。そのまま九王の指示通りに大通りを進んでいけば、筑波研究学園都市に到着である。

「それで? 最初はどこに行くんだ?」
「まずは気象研究所です。私とウッマが初めて目覚め起動する前の気象データを回収する必要があります。データの積み重ねが、後々に聞いてくることがありますから」
「それ前に聞いた気がするな」
「確かに言いましたね。それだけ重要なことなんですよ。よく覚えておいてくださいね。……そこの門が気象研究所の入口です」

 九王の案内で、一行は気象研究所の建物の前へとやってきた。建物は今にも倒れそうなほど劣化が進んでいる。

「外壁もだいぶ剥がれてて、廃屋な感じを醸し出していますねぇ。これはこれで心霊現象が観測できそうで楽しみですねっ」
「楽しみってなぁ……。それは感想としてどうなんだ……?」
「僕はもう慣れたよ」

 九王が先頭になって、建物へと入っていく。中は昼間と言うのに真っ暗である。幾度となく使ってきた懐中電灯を使って、建物の中を照らして歩いていく。入口に掲示してあったフロアマップを確認して、サーバーのあると思われる部屋を目指していく。

「電話交換室……。ここに行けば、官公庁が使用しているサーバーに接続できるかもしれません」
「そんなあやふやな方針で大丈夫なのかよ……」
「みこねはずっとこんな感じだよ」

 今やウッマと小堀は、九王の駒のような存在になってきている。それが事実だからこそ、よりタチが悪い。
 九王の意見通り、電話交換室へと向かう。部屋の扉は分厚い鉄鋼で出来ていた。しかし、建物の一部が崩れていた影響か、扉の横にわずかな隙間が出来ているようだ。

「この隙間だと、私くらいしか通れないですね……。ちょっと中に入ってきますね」
「でも大丈夫なのか? 今にも崩れそうな場所だぞ?」
「その時はウッマがマスターキーで開けてくれますよ」
「そうだね。その時は任せて」
「いくらショットガンでも、出来ないものは出来ないと思うぞ……」

 そんな小堀のツッコミを無視して、九王は電話交換室の中に入っていく。
 電話交換室の中は何かしらの機械で詰まっていた。そんな中、官公庁のネットワークを担っているサーバーの一つを発見する。

「これは理研おうちにもあるヤツですね」

 九王は口を開き、ユニバーサル端子を長ーく引き出す。そして情報を引き出せそうな端子に繋ぐ。
 電源は入っていなかったが、別のユニバーサル端子を繋ぐことで無理やり電源を復旧させる。電圧電流を合わせるために、九王の体内にある電子回路が熱を帯び始めた。

(最大で1分が限界ですね……)

 九王はサーバー内部を超高速で検索しつつ、そんなことを考える。ものの10秒ほどで、サーバーに残っていたデータから過去50年分の気象データを抽出することに成功した。そして空いている数十秒で、有象無象のデータを回収する。
 九王はユニバーサル端子を回収し、さっさとその場を後にした。

「回収出来ました……、うぇっぷ……」
「おい、大丈夫か?」
「はい、ちょっと大量のデータを取得してグロッキーになりました……」
「機械がグロッキーになるってどうなんだ……?」

 九王はウッマに搭載されている大規模ストレージに、回収した気象データをそのまま流し込む。傍から見れば、馬の背中に向かって嘔吐しているような状態だ。

「ふぅー、すっきりしました。これでいつでも解析できますね」
「九王君を作った技術者の基準が分からねぇな……。なんで味覚機能をオミットしているのに、グロッキーな状態は理解できるようにしたんだよ……」
両親技術者はグロッキーという感情はインストールさせてませんよ?」
「えっ?」

 小堀は思わず声を上げる。

「じゃあなんでグロッキーってことが分かるんだ……?」
「なんででしょうね……? 私も分からないところで、いつの間にか取得していたようです」
「なんだそりゃ……?」

 小堀はもはや、驚きを通り越して呆れていた。

「なんか九王君について真面目に考えるのが馬鹿らしくなってくるよ」
「よく分かるよ、小堀」
「ウッマもそう思うか……」

 男性二人(?)が意気投合していた。
 その横で、九王は回収したデータを簡単に解析していた。

「ふーむ。過去50年のデータとはいえ、最後の更新日は『100秒の沈黙』戦争の終息日ですね。それまでは年々気温が上昇していたようです。私たちが起動起床した時のデータと一致します」
「それで、その後の気象はどうなっていったんだ?」
「だんだん寒冷化していきました。核の冬が訪れると同時に人類の活動が一切なくなったので、寒冷化のスピードは予想よりも早く進んでいます」
「なるほどなぁ……」

 小堀は少し考える。

「人類も、人類以外の生物もほぼ全て絶滅したということは、地球の未来は冷えていくってことでいいのか?」
「概ねその認識で問題ないでしょう」
「うーむ。そうなると早いところ入植しないと、俺たちが居住するのに適さない土地に鳴っちまうぜ……」

 小堀がそんなことを考えている横で、九王はあるデータに張り付けてあったテキストファイルを開く。どうやら理研のオカルト部が残したデータの一部だ。

『記録されたデータや映像の95%は科学的に説明できる』

 九王が注目したのは、95%という数字だ。

(逆に考えれば、5%は本物ということ……!)

 九王は少しワクワクした。
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