29 / 149
第29話 義勇軍その四
しおりを挟む
その後、分断された部隊と第九師団は、無事にバレンシア北部で合流した。
「それで、敵の勢力は分かっているのか?」
「偵察隊からの情報によりますと、バレンシア中心部から海岸に向けて移動しているようです」
「市街地を警戒しつつ、背水の陣である海岸線の部隊を確実に葬り去るつもりか。妥当な判断だ」
「山岡中将、いかがしましょう」
「それなら、やることは一つに決まってるだろう」
そういって一言、命令する。
「突撃だ」
その頃、海岸線にて防衛中の反乱軍の部隊は、物陰に隠れながら反撃の機を伺う。
『おい、弾薬残ってるか?』
『このクリップで最後だ』
『そっちのお前は?』
『最終手段のために用意してた拳銃しかない』
『クソッ、ここで野垂れ時ぬのか……』
そんな時、すぐ近くの建物の脇に積んでいた土嚢が爆散する。政府軍の歩兵砲が直撃したのだろう。土嚢の後ろに隠れていた兵士の体の一部が飛んでくる。
『あぁ、神よ……』
『もうダメだ、自害するしかない!』
そういって、拳銃の銃口を自分の口に入れる兵士。
『落ち着け! まだ分断された味方がいる! あいつらがこっちに来れば、まだ勝機はある!』
そのような光景が、至る所で行われていた。
そこに、接近してきた政府軍の兵士が怒鳴ってくる。
『こちらは共和国軍である。反乱軍の諸君、降伏するなら今のうちだ。あと三十分以内に投降しなければ、歩兵砲の餌食になるだろう』
降伏勧告を受ける反乱軍。これ以上の攻撃手段もなく、降伏する以外何もできないだろう。
『うぅ……、親父、お袋……。すまねぇ』
悲壮感が反乱軍全体を覆っていた。
その時だ。遠くのほうから砲撃音が聞こえてくる。
『なんだ? なんの砲撃音だ?』
『向こうの連中がついに動いたか?』
『誰か様子を見てきてくれないか?』
そんな話をしていると、人の声が聞こえてくる。しかもそれは、雄たけびのような感じだ。
その声の正体は、第九師団であった。政府軍の横から山砲による一斉射撃ののち、歩兵三個連隊による突撃が敢行されたのだ。
「敵の横っ腹を一点集中攻撃する! 全軍、突撃ィ!」
「うぉぉぉ!」
やり口が戦国時代の足軽そのものである。着剣した小銃で政府軍の真横に飛び掛かり、そのまま市街地の中をひっかきまわす。
山砲は次弾装填次第射撃を行い、歩兵砲の無力化を図る。そんな山砲の砲撃が行われている中を突撃する第九師団の歩兵は、命などどうでもいいと思っている者が多いからだろう。
歩兵の集団が一斉に襲い掛かってくるものだから、政府軍の対応は完全に後手に回った。
建物の陰から小銃による攻撃を行うものの、べらぼうに突っ込んでくる第九師団の姿を見ただけで、簡単に照準がブレる。
その隙をついて、第九師団は銃剣突撃で攻勢をかける。あちこちで政府軍の兵士の血が飛び交う。ある者は銃剣だけで数人を倒し、ある者は着剣状態で援護射撃、ある者は拳を振るうという暴挙に出ていた。
それでも、第九師団の士気が高かったためか、政府軍の兵士はどんどん減らされていく。中には、第九師団の勢いに怖気ついて逃亡する者もいた。
『なんなんだ、あいつらは……』
海岸線にいた反乱軍の部隊は、第九師団の猛攻に驚いていた。
そこへ、分断されていた反乱軍の片割れが合流する。
『お前ら! 無事だったか!』
『あぁ、そっちこそ無事だったんだな!』
そんな喜びを分かち合っていた。
「良かったですね」
国崎大佐が、山岡中将に声をかける。
「あぁ、そうだな。これでいい」
政府軍の戦線は完全に崩壊し、ほとんどが逃亡していた。
第九師団は勝利を確信する。その時だ。
遠くの空からエンジン音が聞こえてくる。
「この音は……」
国崎大佐がすぐに周囲を見渡す。すると、西の空から数個の黒い影を見つける。
特徴的な複葉機の航空機。ソ連で生産されたI-15である。
「敵戦闘機接近!」
戦闘機は機首を地面に向け、降下しながら第九師団に向けて機銃掃射を行う。
「うわぁぁぁ!」
思わず歩兵は、蜘蛛の子を散らしたようにバラバラになって逃げる。中には小銃で応戦する歩兵もいたが、分が悪すぎた。
あらかた機銃掃射した敵戦闘機は、一度高度を上げ、再び地面に向けて機銃を撃つ。地上にいる歩兵は、ただ逃げることしかできなかった。
「チッ、撤退……するにしても、この混乱ではまともにできないか。だがしないよりはマシだな」
山岡中将は、急いでやってきた自動車に乗り込む。そして命令を下す。
「全軍撤退! バレンシア北部で待機していば場所まで下がるんだ!」
その命令を通信兵が送ろうとした時だった。
今度は南のほうから、別のエンジン音が響き渡る。
「今度はなんだ?」
山岡中将が、窓の外を見る。するとそこには、見たことのある単葉機が飛んでいた。
「あれは、メッサーシュミットのBf109……!」
ドイツ空軍の航空機だ。
『こちらコンドル軍団先遣隊。目標の敵戦闘機を発見した。これより排除に向かう』
そのままコンドル軍団の戦闘機は、圧倒的な速度と攻撃力で、あっという間に政府軍の戦闘機を撃ち落としてしまった。
「あれがナチス・ドイツの実力か……」
山岡中将が、コンドル軍団の戦闘の様子を見て、呟く。
「正直、相手にはしたくないですね」
国崎大佐が、山岡中将に同意するように言う。
こうしてバレンシアでの戦闘は、第九師団の突撃で勝利を収めたのだった。
「それで、敵の勢力は分かっているのか?」
「偵察隊からの情報によりますと、バレンシア中心部から海岸に向けて移動しているようです」
「市街地を警戒しつつ、背水の陣である海岸線の部隊を確実に葬り去るつもりか。妥当な判断だ」
「山岡中将、いかがしましょう」
「それなら、やることは一つに決まってるだろう」
そういって一言、命令する。
「突撃だ」
その頃、海岸線にて防衛中の反乱軍の部隊は、物陰に隠れながら反撃の機を伺う。
『おい、弾薬残ってるか?』
『このクリップで最後だ』
『そっちのお前は?』
『最終手段のために用意してた拳銃しかない』
『クソッ、ここで野垂れ時ぬのか……』
そんな時、すぐ近くの建物の脇に積んでいた土嚢が爆散する。政府軍の歩兵砲が直撃したのだろう。土嚢の後ろに隠れていた兵士の体の一部が飛んでくる。
『あぁ、神よ……』
『もうダメだ、自害するしかない!』
そういって、拳銃の銃口を自分の口に入れる兵士。
『落ち着け! まだ分断された味方がいる! あいつらがこっちに来れば、まだ勝機はある!』
そのような光景が、至る所で行われていた。
そこに、接近してきた政府軍の兵士が怒鳴ってくる。
『こちらは共和国軍である。反乱軍の諸君、降伏するなら今のうちだ。あと三十分以内に投降しなければ、歩兵砲の餌食になるだろう』
降伏勧告を受ける反乱軍。これ以上の攻撃手段もなく、降伏する以外何もできないだろう。
『うぅ……、親父、お袋……。すまねぇ』
悲壮感が反乱軍全体を覆っていた。
その時だ。遠くのほうから砲撃音が聞こえてくる。
『なんだ? なんの砲撃音だ?』
『向こうの連中がついに動いたか?』
『誰か様子を見てきてくれないか?』
そんな話をしていると、人の声が聞こえてくる。しかもそれは、雄たけびのような感じだ。
その声の正体は、第九師団であった。政府軍の横から山砲による一斉射撃ののち、歩兵三個連隊による突撃が敢行されたのだ。
「敵の横っ腹を一点集中攻撃する! 全軍、突撃ィ!」
「うぉぉぉ!」
やり口が戦国時代の足軽そのものである。着剣した小銃で政府軍の真横に飛び掛かり、そのまま市街地の中をひっかきまわす。
山砲は次弾装填次第射撃を行い、歩兵砲の無力化を図る。そんな山砲の砲撃が行われている中を突撃する第九師団の歩兵は、命などどうでもいいと思っている者が多いからだろう。
歩兵の集団が一斉に襲い掛かってくるものだから、政府軍の対応は完全に後手に回った。
建物の陰から小銃による攻撃を行うものの、べらぼうに突っ込んでくる第九師団の姿を見ただけで、簡単に照準がブレる。
その隙をついて、第九師団は銃剣突撃で攻勢をかける。あちこちで政府軍の兵士の血が飛び交う。ある者は銃剣だけで数人を倒し、ある者は着剣状態で援護射撃、ある者は拳を振るうという暴挙に出ていた。
それでも、第九師団の士気が高かったためか、政府軍の兵士はどんどん減らされていく。中には、第九師団の勢いに怖気ついて逃亡する者もいた。
『なんなんだ、あいつらは……』
海岸線にいた反乱軍の部隊は、第九師団の猛攻に驚いていた。
そこへ、分断されていた反乱軍の片割れが合流する。
『お前ら! 無事だったか!』
『あぁ、そっちこそ無事だったんだな!』
そんな喜びを分かち合っていた。
「良かったですね」
国崎大佐が、山岡中将に声をかける。
「あぁ、そうだな。これでいい」
政府軍の戦線は完全に崩壊し、ほとんどが逃亡していた。
第九師団は勝利を確信する。その時だ。
遠くの空からエンジン音が聞こえてくる。
「この音は……」
国崎大佐がすぐに周囲を見渡す。すると、西の空から数個の黒い影を見つける。
特徴的な複葉機の航空機。ソ連で生産されたI-15である。
「敵戦闘機接近!」
戦闘機は機首を地面に向け、降下しながら第九師団に向けて機銃掃射を行う。
「うわぁぁぁ!」
思わず歩兵は、蜘蛛の子を散らしたようにバラバラになって逃げる。中には小銃で応戦する歩兵もいたが、分が悪すぎた。
あらかた機銃掃射した敵戦闘機は、一度高度を上げ、再び地面に向けて機銃を撃つ。地上にいる歩兵は、ただ逃げることしかできなかった。
「チッ、撤退……するにしても、この混乱ではまともにできないか。だがしないよりはマシだな」
山岡中将は、急いでやってきた自動車に乗り込む。そして命令を下す。
「全軍撤退! バレンシア北部で待機していば場所まで下がるんだ!」
その命令を通信兵が送ろうとした時だった。
今度は南のほうから、別のエンジン音が響き渡る。
「今度はなんだ?」
山岡中将が、窓の外を見る。するとそこには、見たことのある単葉機が飛んでいた。
「あれは、メッサーシュミットのBf109……!」
ドイツ空軍の航空機だ。
『こちらコンドル軍団先遣隊。目標の敵戦闘機を発見した。これより排除に向かう』
そのままコンドル軍団の戦闘機は、圧倒的な速度と攻撃力で、あっという間に政府軍の戦闘機を撃ち落としてしまった。
「あれがナチス・ドイツの実力か……」
山岡中将が、コンドル軍団の戦闘の様子を見て、呟く。
「正直、相手にはしたくないですね」
国崎大佐が、山岡中将に同意するように言う。
こうしてバレンシアでの戦闘は、第九師団の突撃で勝利を収めたのだった。
6
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
名もなき民の戦国時代
のらしろ
ファンタジー
徹夜で作った卒論を持って大学に向かう途中で、定番の異世界転生。
異世界特急便のトラックにはねられて戦国時代に飛ばされた。
しかも、よくある有名人の代わりや、戦国武将とは全く縁もゆかりもない庶民、しかも子供の姿で桑名傍の浜に打ち上げられる。
幸いなことに通りかかった修行僧の玄奘様に助けられて異世界生活が始まる。
でも、庶民、それも孤児の身分からの出発で、大学生までの生活で培った現代知識だけを持ってどこまで戦国の世でやっていけるか。
とにかく、主人公の孫空は生き残ることだけ考えて、周りを巻き込み無双していくお話です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる