107 / 149
第107話 対艦攻撃
しおりを挟む
バイルシュタイン艦隊は、イギリス哨戒艦隊を差し置いて北上を続ける。
しかし、イギリスも黙ってみているわけではない。バイルシュタイン艦隊の近くに航空基地があった。そこには、爆撃機でありながらも戦闘機として運用可能なモスキートが配備されていた。
時刻はすでに夕方。日が暮れるのも時間の問題だが、航空基地司令官は爆撃をするように指示を出す。
すぐにモスキートが航空基地を出発し、比較的低空で飛行する。
今回の爆撃隊には護衛がついていない。護衛機となりうるスピットファイアは、バトル・オブ・ブリテンのために別の基地へと出払っており、基地防衛のための機数しかおいてないのだ。しかし、今回はそんなに心配しなくても問題はない。相手は艦だ。戦闘機の出る幕はない。
モスキートの群れは、爆弾倉に五〇〇ポンド爆弾を四つ、パイロンに二つ抱え、バイルシュタイン艦隊へと接近していた。
残念ながらモスキートは魚雷を搭載できるようにはできておらず、またできるようになるには再設計のための時間が必要である。そのため、今回は爆弾のみでバイルシュタイン艦隊を何とかしなくてはならないのだ。
「敵のレーダーを気にすることもなく接近できるのは良いことだが、機銃掃射を受ける可能性があるのが難点だな。これがあるから艦艇への攻撃は嫌なんだ」
そんなことを、パイロットである軍曹がボヤく。
そこに、先頭を行く隊長機からの通信が入る。
『敵は動く上に反撃までしてくる。ここは緩降下爆撃で攻撃する。俺の後に続くように。ただし、命中しないようなら、各個が進路を変更して爆撃しろ』
そのように命令をする。
やがて、夕陽に照らされたバイルシュタイン艦隊を発見するだろう。その先頭を進むビスマルクに狙いを定め、モスキートの群れが襲い掛かる。
「敵の航空機がこっちに来たな。狩りの時間だ。対空戦闘用意」
ヴェルマー少将が全艦に命令を出す。対空機銃が上空のほうを向き、照準を定める。
「目標まで三〇〇〇メートル!」
「対空戦闘開始!」
機銃が一斉に火を噴く。曳光弾の光が夕陽に映えるだろう。
綺麗な光景とは裏腹に、そこでは命のやり取りが行われていた。
『そろそろだ! 緩降下開始! 目標を中央の艦に設定!』
隊長機から順番に、降下角度二十度程度で降りていく。
そのまま照準をプリンツ・オイゲンに定める。
「軍曹、もう少し左です」
「了解」
爆撃手が照準器で照準を合わせ、それを補正するようにパイロットが機体を操縦する。
「爆弾倉開きます」
スイッチを入れると、爆弾倉が開く。その時になると、対空砲の攻撃が激しくなる。一発二発ほど、機体をかすめていく。
「……投下!」
爆弾が投下され、モスキートは反転していく。この時点で墜とされたモスキートは一割にも上っていた。
爆弾は自由落下をし、ほとんどは海面に吸い込まれる。
しかしながら、その中でも数個はプリンツ・オイゲンに命中した。甲板上で爆発する爆弾。
だが、甲板は強固に作られており、五〇〇ポンドでは大きなダメージを与えることができなかった。いわゆる小破止まりである。
『これでもまともにダメージを与えられなかったか……』
隊長機から、残念そうな通信が入ってくる。
モスキートの群れは、そのまま帰っていく。
航空基地に戻って再装填しようとしたのだが、幸か不幸か、バイルシュタイン艦隊周辺にスコールが降り始めたのだ。
スコールが降っている上に、これから夜になる。これ以上の攻撃はできないだろう。その上、イギリス側はバイルシュタイン艦隊を見失った。
「これなら、次の目標にたどり着けるだろう」
そんなことを言っているときだった。レーダー探知に反応があった。
「前方に複数の船舶が見えます」
「船の種類は分かるか?」
「この大きさなら、おそらく商船でしょう」
「ふむ……。このスコールと暗闇では、まともに攻撃することはできないだろう。夜が明けたら、すぐに攻撃する」
このように決定される。
そして翌朝。スコールもどこかへ行き、商船の様子がはっきり見える。
「さぁ、攻撃開始だ」
その時である。複数の商船の一部が変形し、中から砲身が出てきた。
「時代錯誤のコイツで、どこまで行けるだろうか……」
そのように言うのは、イギリス商船に見せかけた軍用船、Qシップでの司令官であった。
Qシップは時代に合わせて、五インチ砲を搭載している。駆逐艦の砲で、どこまで戦えるのか。それは未知数であった。
しかし、イギリスも黙ってみているわけではない。バイルシュタイン艦隊の近くに航空基地があった。そこには、爆撃機でありながらも戦闘機として運用可能なモスキートが配備されていた。
時刻はすでに夕方。日が暮れるのも時間の問題だが、航空基地司令官は爆撃をするように指示を出す。
すぐにモスキートが航空基地を出発し、比較的低空で飛行する。
今回の爆撃隊には護衛がついていない。護衛機となりうるスピットファイアは、バトル・オブ・ブリテンのために別の基地へと出払っており、基地防衛のための機数しかおいてないのだ。しかし、今回はそんなに心配しなくても問題はない。相手は艦だ。戦闘機の出る幕はない。
モスキートの群れは、爆弾倉に五〇〇ポンド爆弾を四つ、パイロンに二つ抱え、バイルシュタイン艦隊へと接近していた。
残念ながらモスキートは魚雷を搭載できるようにはできておらず、またできるようになるには再設計のための時間が必要である。そのため、今回は爆弾のみでバイルシュタイン艦隊を何とかしなくてはならないのだ。
「敵のレーダーを気にすることもなく接近できるのは良いことだが、機銃掃射を受ける可能性があるのが難点だな。これがあるから艦艇への攻撃は嫌なんだ」
そんなことを、パイロットである軍曹がボヤく。
そこに、先頭を行く隊長機からの通信が入る。
『敵は動く上に反撃までしてくる。ここは緩降下爆撃で攻撃する。俺の後に続くように。ただし、命中しないようなら、各個が進路を変更して爆撃しろ』
そのように命令をする。
やがて、夕陽に照らされたバイルシュタイン艦隊を発見するだろう。その先頭を進むビスマルクに狙いを定め、モスキートの群れが襲い掛かる。
「敵の航空機がこっちに来たな。狩りの時間だ。対空戦闘用意」
ヴェルマー少将が全艦に命令を出す。対空機銃が上空のほうを向き、照準を定める。
「目標まで三〇〇〇メートル!」
「対空戦闘開始!」
機銃が一斉に火を噴く。曳光弾の光が夕陽に映えるだろう。
綺麗な光景とは裏腹に、そこでは命のやり取りが行われていた。
『そろそろだ! 緩降下開始! 目標を中央の艦に設定!』
隊長機から順番に、降下角度二十度程度で降りていく。
そのまま照準をプリンツ・オイゲンに定める。
「軍曹、もう少し左です」
「了解」
爆撃手が照準器で照準を合わせ、それを補正するようにパイロットが機体を操縦する。
「爆弾倉開きます」
スイッチを入れると、爆弾倉が開く。その時になると、対空砲の攻撃が激しくなる。一発二発ほど、機体をかすめていく。
「……投下!」
爆弾が投下され、モスキートは反転していく。この時点で墜とされたモスキートは一割にも上っていた。
爆弾は自由落下をし、ほとんどは海面に吸い込まれる。
しかしながら、その中でも数個はプリンツ・オイゲンに命中した。甲板上で爆発する爆弾。
だが、甲板は強固に作られており、五〇〇ポンドでは大きなダメージを与えることができなかった。いわゆる小破止まりである。
『これでもまともにダメージを与えられなかったか……』
隊長機から、残念そうな通信が入ってくる。
モスキートの群れは、そのまま帰っていく。
航空基地に戻って再装填しようとしたのだが、幸か不幸か、バイルシュタイン艦隊周辺にスコールが降り始めたのだ。
スコールが降っている上に、これから夜になる。これ以上の攻撃はできないだろう。その上、イギリス側はバイルシュタイン艦隊を見失った。
「これなら、次の目標にたどり着けるだろう」
そんなことを言っているときだった。レーダー探知に反応があった。
「前方に複数の船舶が見えます」
「船の種類は分かるか?」
「この大きさなら、おそらく商船でしょう」
「ふむ……。このスコールと暗闇では、まともに攻撃することはできないだろう。夜が明けたら、すぐに攻撃する」
このように決定される。
そして翌朝。スコールもどこかへ行き、商船の様子がはっきり見える。
「さぁ、攻撃開始だ」
その時である。複数の商船の一部が変形し、中から砲身が出てきた。
「時代錯誤のコイツで、どこまで行けるだろうか……」
そのように言うのは、イギリス商船に見せかけた軍用船、Qシップでの司令官であった。
Qシップは時代に合わせて、五インチ砲を搭載している。駆逐艦の砲で、どこまで戦えるのか。それは未知数であった。
1
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
現在1945年夏まで執筆
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる