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第21話 テスト
コラオル暦1710年8月4日。この日から雨宮はカタリナ嬢の教師として教育を施すことになった。1日2時間程度の授業を週に4回。これをこちらから提示し、向こうが了承した。
授業開始時間の少し前に、カタリナ嬢は研究室へ来る。
「おはようございます、カタリナお嬢様」
「やっと授業をする気になったのね。計画性がないわね」
そのような嫌味とも取れる発言を受けるも、雨宮は動じない。後ろでアリーが無言で頭を下げている。
「では、こちらの椅子に座ってください。以降が、カタリナお嬢様のお席になります」
カタリナ嬢はその言葉に従い、席に座る。
雨宮は座ったカタリナ嬢の前に、紙を一枚伏せた状態で差し出す。
「本日から週に1回程度、学力測定の小テストを解いてもらいます。本日はテストを受けて、不正解だった箇所の解説をしていくことにします。今後の授業の参考にもなりますので、真剣に解いてください。制限時間は20分です」
「分かりましたわ」
カタリナ嬢はかなりぶっきらぼうに返事をし、テストの紙をひっくり返す。
(今日の小テストは、ヌルベーイ先生やイリナの意見を参考に作成した、この時代に合った問題になっている。今日の間違えたポイントを解説する形で授業をすれば、教育の体裁は保てるだろう……)
そういった思惑が雨宮の中にあった。
テスト開始から15分。カタリナ嬢はペンを置く。
「ホイター先生、もう十分ですわ」
「もう全部解き終わったのですか? まだ時間はありますので、最後まで確認して━━」
「いえ、その必要はありませんわ」
カタリナ嬢の言葉には、溜息のようなマイナスの雰囲気が漂っていた。
「で、では、採点します。少々お待ちください」
そういって雨宮は模範解答とテスト用紙を確認する。
数分後、雨宮は驚きのあまり震えていた。
「ぜ、全問正解……」
一つのミスもなく、完全な解答をしていたのだ。
(なんということだ……! 今日のテストの範囲はかなり難しいはず……! 未来の俺でさえ解くことは困難な問題が含まれているのに……!)
雨宮が冷や汗をかいていると、カタリナ嬢が口を開く。
「私の回答に何か不備がありまして?」
「え、いや、そんなことはありません。解答は完璧です」
「そう、なら授業は必要ありませんね。本日は帰らせてもらいますわ」
そういってカタリナ嬢は席を立つ。
「あ、ちょ……」
雨宮の制止も空しく、研究室から出て行ってしまった。
残されたアリーが雨宮のフォローに回る。
「お伝えするのが遅くなりましたが、お嬢様はとても聡明で、勉学は姉妹の中でも一番なのです」
「その情報、もっと早く知りたかったです……」
「申し訳ございません」
そのような話をしていると、カタリナ嬢が研究室の外からアリーを呼ぶ。
「アリー? 何をしているの? 早く来なさい」
「ではホイター様、本日はこれで失礼します」
そういってアリーはカタリナ嬢の後を追いかける。
その様子を影から見ていたヌルベーイとイリナが、ホイターの元にやってくる。
「ホイター君、大丈夫?」
「レオ……」
雨宮は涙が出そうな雰囲気を堪えて、なんとか気分を持ちこたえさせる。
「いやぁ、あそこまでしっかり勉強されているとは、さすが貴族出身ですね」
「でもこれからどうするの? カタリナ様に勉強を教えられなければ、ここにいる意味ないし……」
「……本当にどうしましょう?」
やっぱり涙が出そうになった。
「しばらくは今日と同じように小テストを課して、できなかった分野を解説するって方法しかないと思う。それが駄目なら、僕たちの研究を手伝ってもらうとか?」
「ヌルベーイ先生、それ本気で言ってるんですか?」
イリナからジトッとした視線を浴びるヌルベーイ。
「でも、最後のは最終手段として……」
「先生……?」
「わ、分かってるよ。今は範囲を変えて小テストしてもらうしかないと思う」
「そう、ですね……」
今はこの方法しかない。受け持った生徒が優秀なのは良いことだが、優秀すぎるのも考え物ということを、雨宮は身をもって知ったのだった。
授業開始時間の少し前に、カタリナ嬢は研究室へ来る。
「おはようございます、カタリナお嬢様」
「やっと授業をする気になったのね。計画性がないわね」
そのような嫌味とも取れる発言を受けるも、雨宮は動じない。後ろでアリーが無言で頭を下げている。
「では、こちらの椅子に座ってください。以降が、カタリナお嬢様のお席になります」
カタリナ嬢はその言葉に従い、席に座る。
雨宮は座ったカタリナ嬢の前に、紙を一枚伏せた状態で差し出す。
「本日から週に1回程度、学力測定の小テストを解いてもらいます。本日はテストを受けて、不正解だった箇所の解説をしていくことにします。今後の授業の参考にもなりますので、真剣に解いてください。制限時間は20分です」
「分かりましたわ」
カタリナ嬢はかなりぶっきらぼうに返事をし、テストの紙をひっくり返す。
(今日の小テストは、ヌルベーイ先生やイリナの意見を参考に作成した、この時代に合った問題になっている。今日の間違えたポイントを解説する形で授業をすれば、教育の体裁は保てるだろう……)
そういった思惑が雨宮の中にあった。
テスト開始から15分。カタリナ嬢はペンを置く。
「ホイター先生、もう十分ですわ」
「もう全部解き終わったのですか? まだ時間はありますので、最後まで確認して━━」
「いえ、その必要はありませんわ」
カタリナ嬢の言葉には、溜息のようなマイナスの雰囲気が漂っていた。
「で、では、採点します。少々お待ちください」
そういって雨宮は模範解答とテスト用紙を確認する。
数分後、雨宮は驚きのあまり震えていた。
「ぜ、全問正解……」
一つのミスもなく、完全な解答をしていたのだ。
(なんということだ……! 今日のテストの範囲はかなり難しいはず……! 未来の俺でさえ解くことは困難な問題が含まれているのに……!)
雨宮が冷や汗をかいていると、カタリナ嬢が口を開く。
「私の回答に何か不備がありまして?」
「え、いや、そんなことはありません。解答は完璧です」
「そう、なら授業は必要ありませんね。本日は帰らせてもらいますわ」
そういってカタリナ嬢は席を立つ。
「あ、ちょ……」
雨宮の制止も空しく、研究室から出て行ってしまった。
残されたアリーが雨宮のフォローに回る。
「お伝えするのが遅くなりましたが、お嬢様はとても聡明で、勉学は姉妹の中でも一番なのです」
「その情報、もっと早く知りたかったです……」
「申し訳ございません」
そのような話をしていると、カタリナ嬢が研究室の外からアリーを呼ぶ。
「アリー? 何をしているの? 早く来なさい」
「ではホイター様、本日はこれで失礼します」
そういってアリーはカタリナ嬢の後を追いかける。
その様子を影から見ていたヌルベーイとイリナが、ホイターの元にやってくる。
「ホイター君、大丈夫?」
「レオ……」
雨宮は涙が出そうな雰囲気を堪えて、なんとか気分を持ちこたえさせる。
「いやぁ、あそこまでしっかり勉強されているとは、さすが貴族出身ですね」
「でもこれからどうするの? カタリナ様に勉強を教えられなければ、ここにいる意味ないし……」
「……本当にどうしましょう?」
やっぱり涙が出そうになった。
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イリナからジトッとした視線を浴びるヌルベーイ。
「でも、最後のは最終手段として……」
「先生……?」
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