異世界でエルフに転生したら狙われている件

紅音

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16.病名

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お昼になっても帰ってこないレオンさん達に、僕は溜息を吐きつつも、昼食の材料を買いに行くため、リヒトと一緒に街へ出た。

昨日も思ったが、この街は獣人をあまり見かけないあたり、人間が多いようだ。

「…にしてもファルコンの奴、昼になっても起きねぇとか、おかしくね?
ホント、ミリア姉さんがいねえとダメダメだな。」

八百屋で食材を買いながらぼやくリヒトをこら、と叱る。

「そんなことはありません。ファルコンさんは強いし、僕なんかに比べたら全然ダメな方ではありません。」

「いやいやいや。アルはまったくダメじゃないじゃん。自分のこと過小評価しすぎだって。」

もっと自信持って、と子供であるリヒトに慰められているとなんだか少し、惨めな気持ちになった。






宿に戻ると、さすがにレオンさん達も帰って来ていたが、レオンさんはどこかソワソワしていて落ち着かない様子だし、そんなレオンさんにミリアさんは何やらごにょごにょと囁いたり、たまに凄く強く背中を叩いていたり、最終的には夕方頃に二人でまた外に出て行ってしまった。


ちなみに、出て行く前にレオンさんのことが心配になって一度声を掛け、僕も一緒に行きますか、と聞いたら…

『いや、大丈夫だ。』

『でも、今日のレオンさん、なんだか少しおかしいです。もしかして、体調でも悪いんじゃないんですか?』

『ほ、ほんとに、大丈夫だから、その少し離れてくれ。』

『あ、ちょっと、僕も一緒に――』

『本当に大丈夫だから。…悪いが今は

などと言われ、そのまま出て行ってしまった。





そんなこんなで僕は今、とても落ち込んでいる。

「ミリアさんじゃないとダメ、って…、それに、何もあんなに強く言わなくても…。

ひょっとして、嫌われてしまったんでしょうか…」

部屋に籠って、ベッドに寝っ転がりながらそう口にすると、なんだか本当にそう思われていそうで気が気じゃなくなる。

どうしてレオンさんに嫌われていると思うとこんなに胸が苦しくなるのだろう。


誰かに嫌われるということは、確かに辛いことではあるが――慣れてはいた。

なにせ前世の僕は、実の母親に酷く嫌われていたから。


アルフレイドの中に白蓮の心だってあるのだ。
メンタルだってそう弱くない…はずなのだが。





「……夜風にでもあたって、少し落ち着きましょう」



日は暮れているが、その様子は昼とさほど変わらずヨルネの街は賑わっている。

人が少なく危険ということはまずないだろう。


僕は部屋を出て、下に降りると、受付の方に少し出てくると伝えて宿を出た。
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