空腹

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お腹がすいた

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お腹がすいた。
何かが食べたくて、周りを見渡す。
しかし、食べれるものがなく先ほどまで飲んでいた、コーラの赤い空き缶が机の上に転がっている。
そうしてひもじい思いをしていると、
パソコンのキーボードの上においしそうな肉の塊があった。
私はその肉塊を手に取って上唇の上に乗せ匂いを嗅いだ。
いいにおいがした。
幼いころ学校の給食として食べたウインナーのようなにおいだ。
私は、その肉塊で口元をなでながらしっくりと舌を出し、その肉を舐めて味を確かめる。
甘いようなしょっぱいような。
あまりにもの空腹感で口の中に含んで自身の牙をたてる。
肉は口の中で肉の塊は引き裂かれ肉汁があふれた。
おいしい、空腹だからなのかすごくおいしい
力を入れて、上下の前歯で肉を食いちぎる。
ゴギゴギと肉の骨が砕けるような音がした
骨からあふれる味がその肉の味を引き立てた。
甘くそしてしょっぱく、そして酸味のかかったような味、
私は、その肉を何度も咀嚼し喉の奥へと流し込む
空腹がま逃れて、満ち足りた気持ちに成りながら椅子の背も耐えに深く腰掛け、天井を見つめる
「はぁ……」

その味を堪能し、天井を見つめている私の顔は
おそらくとても満ち足りたものだろう。
しかし、そんな感情は、一時の刹那の瞬間でしか味わえなかった。
体のどこからか、ズキズキと痛みが走る。

麻酔から溶けていくように、どんどんと強くなる痛みに、悶絶し椅子から倒れ、木製の床で打ち上げられた鯉のように、華麗で汚らしくのたうち回った。
その中で、どこが痛いのか理解した右手である。
真っ赤に染まった右手を見ながら、数を数え始めた。
1234.…
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