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嫌味な姉に婚約者を譲ってあげた私…今更、人生台無しになったと泣きつかれても困ります。
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「勿論、あなたの婚約はおめでたいわ?でも何でかしらね…私だってあなたに負ないくらいの、美貌の持ち主なのに。あなたに声がかかって、私にそれが無かったのは不自然だと思わない?あなたもしかして、密かにお相手に金品でも送り付けたんじゃないの?そうじゃなきゃ…ちょっと、聞いてるの!?」
また始まった。
口を開けば、私の婚約が決まった事に対しネチネチと…。
本当に祝ってくれるなら、おめでとうの一言でいいのよ。
「お姉様…そうまで仰るなら、私の代わりにその方と婚約なさいます?実は私、まだ正式にそのお話をお受けする返事をしていないんです。」
「そうなの!?あなた、相変わらずグズなのねぇ。分かったわ…そういう事なら姉であるこの私が、その方に良いお返事をしてあげましょう!」
「でもねお姉様、私がすぐに返事をしなかったのは─」
「あなたの気持ちなど、どうでもいいわよ!私、急いで彼の家にお返事しに行きたいから、また後で聞くわ!」
そう言って、姉は家を飛び出して行ってしまった。
…まぁ、良いか。
戻って来てからでも─。
※※※
やった…妹から彼の婚約者の座を奪う事が出来たわ!
実は私は、以前から美形でお金持ちな彼の事が、密かに好きだった。
だから彼から妹に婚約話が来たと聞いた時、嫉妬でどうにかなりそうだったけど…結局彼と結ばれるのは、この私って事よ─!
「それで、妹ではなく私があなたの婚約者としてお世話になりますので。」
彼は、私の顔をじっと見て何か考え込んでいた。
「じゃあ、俺の妹にも挨拶してくれ。妹が君を認めたら、正式に君を俺の婚約者として認めよう。」
「妹?」
そう言えば、最近彼に血の繋がらない妹が出来たと聞いたような?
何で妹の了承が必要なのよ…これだから、小姑って鬱陶しいわね。
まぁいいわ…私がこの家で暮らす事になったら、虐め抜いて追い出してやる─!
「お兄様、その方が婚約者に?約束してた娘とは違うけど…これはこれで美人だし、私は構わないわ。」
な、何この生意気な女…ちょっと可愛いからって、この私を「これ」ですって!?
「私はあなたの姉になるのよ?もう少し敬って─」
「うるさいわね…私が用があるのはその顔だけよ。」
「え?」
妹が私の顔に手を伸ばし、何やら呪文のようなものを唱えた。
すると突然眩しい光に包まれ、私は思わず目を瞑った。
「見て、お兄様!私、また美しくなったでしょう?」
「流石だな、お前の魔法は!」
見れば、妹の顔は先程よりも目が大きく鼻は高くなり…顔全体が美しくなっている。
と言うか…私にどことなく似てる?
私は、ふと窓に自分の顔を映した。
するとそこには、若さが失われ一気に老け込み…老婆の様な顔が映し出されていた。
「い、いやあぁ─!」
私は恐ろしくなり、彼の家を飛び出し自身の家に逃げ帰った─。
※※※
「あ、あなたね、何て男を譲ってくれたのよ!私の美しい顔が、なくなっちゃったじゃない!?」
「彼の義妹が違法な魔法を使い、美しい娘の顔を奪うという噂があったんですが…本当だったんですね。私はちゃんとお教えしようと思いましたよ?でも、お姉様が後でいいと言うから…。」
「そ、それはそうだけど…!それで、私の顔は一体どうすれば元に戻るの?」
「お医者様では無理ですので、同じく魔力を持った者に治して貰うしか…。でも…恐らく義妹が使ったのは、彼女が独自に生み出した魔法だと思うから…現状では、解決方法はないかも知れません。」
「嘘…これじゃあ私の人生台無しじゃないの、どうしてくれるのよ…!?」
「私に言われても困ります。というかお姉様…さっきお父様に聞いたんですが、あなたは家同士の約束で、婚約相手が既に決まってたんですね?それなのに、私の婚約者に喜んで会いに行くなど…そんなふしだらな行動をするから罰が当たったんですよ、きっと。」
「そ、そんなぁ…。」
姉はその後、そんな顔になった事と別の男に会いに行った事が婚約者に知られてしまい、婚約破棄されてしまった。
私は、姉の件を憲兵に通報…元婚約者と義妹は捕らえられ、厳しい罰を受ける事に─。
そして私の予想通り、あの魔法は義妹が考えたもので、姉の顔を元に戻す方法は今の所ない事が判明した。
それを聞いた姉は絶望し、自ら山奥の修道院へと旅立って行った。
ちょっと気の毒だけど…もうネチネチ嫌味を言われる事もないし…新しく決まった私の婚約を邪魔される事がないと思うと、これで一安心ね─。
また始まった。
口を開けば、私の婚約が決まった事に対しネチネチと…。
本当に祝ってくれるなら、おめでとうの一言でいいのよ。
「お姉様…そうまで仰るなら、私の代わりにその方と婚約なさいます?実は私、まだ正式にそのお話をお受けする返事をしていないんです。」
「そうなの!?あなた、相変わらずグズなのねぇ。分かったわ…そういう事なら姉であるこの私が、その方に良いお返事をしてあげましょう!」
「でもねお姉様、私がすぐに返事をしなかったのは─」
「あなたの気持ちなど、どうでもいいわよ!私、急いで彼の家にお返事しに行きたいから、また後で聞くわ!」
そう言って、姉は家を飛び出して行ってしまった。
…まぁ、良いか。
戻って来てからでも─。
※※※
やった…妹から彼の婚約者の座を奪う事が出来たわ!
実は私は、以前から美形でお金持ちな彼の事が、密かに好きだった。
だから彼から妹に婚約話が来たと聞いた時、嫉妬でどうにかなりそうだったけど…結局彼と結ばれるのは、この私って事よ─!
「それで、妹ではなく私があなたの婚約者としてお世話になりますので。」
彼は、私の顔をじっと見て何か考え込んでいた。
「じゃあ、俺の妹にも挨拶してくれ。妹が君を認めたら、正式に君を俺の婚約者として認めよう。」
「妹?」
そう言えば、最近彼に血の繋がらない妹が出来たと聞いたような?
何で妹の了承が必要なのよ…これだから、小姑って鬱陶しいわね。
まぁいいわ…私がこの家で暮らす事になったら、虐め抜いて追い出してやる─!
「お兄様、その方が婚約者に?約束してた娘とは違うけど…これはこれで美人だし、私は構わないわ。」
な、何この生意気な女…ちょっと可愛いからって、この私を「これ」ですって!?
「私はあなたの姉になるのよ?もう少し敬って─」
「うるさいわね…私が用があるのはその顔だけよ。」
「え?」
妹が私の顔に手を伸ばし、何やら呪文のようなものを唱えた。
すると突然眩しい光に包まれ、私は思わず目を瞑った。
「見て、お兄様!私、また美しくなったでしょう?」
「流石だな、お前の魔法は!」
見れば、妹の顔は先程よりも目が大きく鼻は高くなり…顔全体が美しくなっている。
と言うか…私にどことなく似てる?
私は、ふと窓に自分の顔を映した。
するとそこには、若さが失われ一気に老け込み…老婆の様な顔が映し出されていた。
「い、いやあぁ─!」
私は恐ろしくなり、彼の家を飛び出し自身の家に逃げ帰った─。
※※※
「あ、あなたね、何て男を譲ってくれたのよ!私の美しい顔が、なくなっちゃったじゃない!?」
「彼の義妹が違法な魔法を使い、美しい娘の顔を奪うという噂があったんですが…本当だったんですね。私はちゃんとお教えしようと思いましたよ?でも、お姉様が後でいいと言うから…。」
「そ、それはそうだけど…!それで、私の顔は一体どうすれば元に戻るの?」
「お医者様では無理ですので、同じく魔力を持った者に治して貰うしか…。でも…恐らく義妹が使ったのは、彼女が独自に生み出した魔法だと思うから…現状では、解決方法はないかも知れません。」
「嘘…これじゃあ私の人生台無しじゃないの、どうしてくれるのよ…!?」
「私に言われても困ります。というかお姉様…さっきお父様に聞いたんですが、あなたは家同士の約束で、婚約相手が既に決まってたんですね?それなのに、私の婚約者に喜んで会いに行くなど…そんなふしだらな行動をするから罰が当たったんですよ、きっと。」
「そ、そんなぁ…。」
姉はその後、そんな顔になった事と別の男に会いに行った事が婚約者に知られてしまい、婚約破棄されてしまった。
私は、姉の件を憲兵に通報…元婚約者と義妹は捕らえられ、厳しい罰を受ける事に─。
そして私の予想通り、あの魔法は義妹が考えたもので、姉の顔を元に戻す方法は今の所ない事が判明した。
それを聞いた姉は絶望し、自ら山奥の修道院へと旅立って行った。
ちょっと気の毒だけど…もうネチネチ嫌味を言われる事もないし…新しく決まった私の婚約を邪魔される事がないと思うと、これで一安心ね─。
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