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川のウミウシ
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「ウミウシは、海の生き物ですよね?」
Eさんは、私に尋ねてきた。
「そうだと思いますけど…。」
「私、小学生のころ川で不思議な生き物を見たことがあるんです。」
そう言って、次のような話をしてくれた。
あれは私が小学二年生の時でした。
夏休みのラジオ体操の帰り道、私は友達や近所の子たちと用水路の脇の道を歩いていました。
わいわいとおしゃべりをしていると、突然一人が大きな声を上げました。
「おい、これ見ろよ!」
そう言って、用水路を指差しています。
私たちが一斉に用水路を覗き込むと、そこには不思議な生き物がいました。
それは長さ15センチ、幅5センチほどで、真っ黒で光沢がある体をしていました。
そして全身がビラビラとしたひだのようなもので覆われていて、それをひらひらと動かし泳いでいました。
ただ川の流れに流されているのではなく、石や水草の塊をうまく避けて泳いるのです。
こんな生き物を、私は川で見たことがありませんでした。
それは他の子たちも同じだったようで、口々に何だこれ?と言って不思議がっていました。
みんな気にはなるものの、誰も網や籠を持ち合わせていないので捕まえることができません。
そういう状態で私たちは50メートル程、その生き物を追いかけて用水路を下っていきました。
そして最後はどうすることもできず、その生き物が泳いでいく後姿を静かに見送りました。
その後、生物図鑑で川の生き物を調べましたが、ああいった生き物は載っていませんでした。
大人になった今でも、インターネットで「川 ひらひらの生き物」などと検索して調べているのですが、それらしいものは発見できていません。
その中で似ているなと思った生き物が、先ほど挙げたウミウシなんですけど、ウミウシは海の生き物ですもんね…。
あの生き物のことを、私は「川のウミウシ」と呼び、今でも調べています。
そして、それを調べている時だけは、無邪気な子供のころに戻れたような気がするんです-。
Eさんは、私に尋ねてきた。
「そうだと思いますけど…。」
「私、小学生のころ川で不思議な生き物を見たことがあるんです。」
そう言って、次のような話をしてくれた。
あれは私が小学二年生の時でした。
夏休みのラジオ体操の帰り道、私は友達や近所の子たちと用水路の脇の道を歩いていました。
わいわいとおしゃべりをしていると、突然一人が大きな声を上げました。
「おい、これ見ろよ!」
そう言って、用水路を指差しています。
私たちが一斉に用水路を覗き込むと、そこには不思議な生き物がいました。
それは長さ15センチ、幅5センチほどで、真っ黒で光沢がある体をしていました。
そして全身がビラビラとしたひだのようなもので覆われていて、それをひらひらと動かし泳いでいました。
ただ川の流れに流されているのではなく、石や水草の塊をうまく避けて泳いるのです。
こんな生き物を、私は川で見たことがありませんでした。
それは他の子たちも同じだったようで、口々に何だこれ?と言って不思議がっていました。
みんな気にはなるものの、誰も網や籠を持ち合わせていないので捕まえることができません。
そういう状態で私たちは50メートル程、その生き物を追いかけて用水路を下っていきました。
そして最後はどうすることもできず、その生き物が泳いでいく後姿を静かに見送りました。
その後、生物図鑑で川の生き物を調べましたが、ああいった生き物は載っていませんでした。
大人になった今でも、インターネットで「川 ひらひらの生き物」などと検索して調べているのですが、それらしいものは発見できていません。
その中で似ているなと思った生き物が、先ほど挙げたウミウシなんですけど、ウミウシは海の生き物ですもんね…。
あの生き物のことを、私は「川のウミウシ」と呼び、今でも調べています。
そして、それを調べている時だけは、無邪気な子供のころに戻れたような気がするんです-。
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