癒され怪談。SS集

coco

文字の大きさ
上 下
10 / 24

火の玉、各種

しおりを挟む
 私の祖父、祖母、父は火の玉を見たことがあるそうです。

 祖父の場合は、オレンジ色の火の玉でした。
 小学生のころ、遊びに行った帰り道に見たとそうです。
 燃えるようなオレンジ色で、ゆらゆらと田んぼの上で揺れていたといいます。

 祖母の場合は、銀色をしていたそうです。
 祖母の兄と一緒に、家の敷地しきち内で見たのです。
 離れと母屋の間を、スッと抜けていったといいます。

 父の場合は、青白い色をしていました。
 中学一年生のお使いの帰りに見たそうです。
 道を歩いていたら急に頭の上が明るくなったので、驚いて上を見上げると、父の上にそれが浮かんでいました。
 父が声を上げると、それは父の方へ向かってきたといいます。
 怖くなった父は、走って家まで逃げ帰ったしうです。

 そのどれにも共通して言えることは、火の玉を見た場所は決してお墓の上ではなかったということです。
 昔は人が亡くなると土葬どそうされ、その時亡くなった人の体からリンという科学物質が出てきて雨水と反応して光る。
 それが火の玉の正体だと言われていますが、見た場所からしてその説はこの3人には当てはまりません。
 また火の玉の正体は、ホタルなどの昆虫や光る植物を見間違えた、電気現象、自然の中でガスが発生したものに火がついたなどいろいろありますが、さて本当のところは何なのでしょうか。

 いずれにしても、色や動き方や見た場所といい、それぞれ違いがあって面白い…そんな火の玉のお話です。
しおりを挟む

処理中です...