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あなたを幸せにする為に存在していた私を裏切った婚約者は、今は不幸のどん底に居ます。
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「気味の悪い髪だ!」
そう言って、私から目を背ける婚約者。
「そんな不気味な髪の色を持つ女とは、もう婚約破棄だ!この家からも出て行け!」
「…分かりました。」
私の髪は、真っ赤な色をしている。
こんな色を持つ人間は、国中どこを探しても他に居ない。
しかも、婚約してから私の髪の色は変わってしまったのだ。
でもこれには、ちゃんと理由があるのに…。
私は、これまでの事を思い返していた─。
※※※
「その髪…また色が濃くなったんじゃないか?」
「…えぇ。」
「実はお前の髪の事で、ある噂を聞いたんだが…。」
「…噂?」
「お前が魔女の末裔だとか、呪われた血が流れているとか…それは本当なのか?」
「いいえ、違います。」
しかし、婚約者は納得していない様だった。
そして彼は、いつからか他の女に走る様になった─。
「あいつの髪は、まるで血の様だ。一緒に居るのが恐ろしいよ。」
「フフッ…きっとあの女は、寝てる間にあなたの生き血を吸ってるのよ。」
「おいおい、冗談はよしてくれよ。…俺はもうあいつを捨て、可愛い君を選ぶよ。」
そして、彼は愛人をギュッと抱きしめた─。
確かあの女は、この国で一番可愛いと評判だけれど…でも、その正体は─。
あんな女を選び、この私を捨てる?
そんな事をして、どうなっても知らないんだから─。
※※※
「…そうか、受け入れてくれるか。じゃあ、さっさと出て行ってくれ。」
「はい。でも…あなたはもう今後幸せは訪れなくなりますが…それも仕方ないですよね。」
「ど、どういう事だ!?」
「実は私には、ある不思議な力があるんです。それは、愛する者の不幸を幸せに変える力。私はあなたとの婚約が決まると、あなたの不幸を幸せに変えてきました。それで髪の色が変わったんです。」
「そ、そんな!ではお前は、魔女でも呪われても…。」
「えぇ、違いますとも。でもあなたは、私の言葉を一切信じませんでしたけどね。それにしても…あなたは不幸に愛された男ですね。あなたを襲う不幸が沢山あるから、私の髪の色はこんな血のような赤に染まってしまった。ですから私が居なくなれば、あなたはすぐに不幸のどん底に叩き落とされるでしょう。では、私はもう行きます…後は、ご自分でどうにかなさって?」
私は彼に背を向け、部屋を出て行こうとした。
「ま、待ってくれ、行かないでくれ!俺を見捨てるのか!?」
「自業自得よ。私を捨て、あんな女に走った、ね。あの女は…それこそあなたが恐れた、魔女の末裔。呪われた女ですよ?」
「…え?」
「あなたは、本当に呪われた女と、それこそ身も心も結ばれてしまったのです。」
私の言葉に、彼はその場で卒倒してしまった─。
※※※
それから、元婚約者は何度も不幸に襲われた。
あの女を恐れ別れたものの、彼女は魔女の末裔。
自分を捨てた彼を恨み、黒魔術で彼に様々な呪いをかけた。
そのせいで、彼は病に倒れもがき苦しみ…しかもそんな最中、自身の従者に裏切られ…財産を全て持って行かれた上に、屋敷に火を付けられた。
結果彼は、財産も家も、全て一度に無くしてしまったのだ。
それが余程ショックだったのだろう…彼は病が悪化し、そのまま田舎の療養所に入る事となった。
そして今では、赤色を異常に恋しがり泣き喚く、異常者になってしまったという。
一方私は、新しい恋人が出来て幸せな日々を送っている。
あの男と別れた事で、私の髪の色は元の金色に戻ったのだが…今の恋人は、余程心が綺麗で、その魂まで徳が高いのか…私の髪はそれは見事な金色になり、まさに黄金の輝きを放って居る。
そしてそれを見た彼は、私を誰よりも美しいと褒め、より一層深い愛を私に捧げてくれるようになり…こうして私は、幸せな日々を送っている─。
そう言って、私から目を背ける婚約者。
「そんな不気味な髪の色を持つ女とは、もう婚約破棄だ!この家からも出て行け!」
「…分かりました。」
私の髪は、真っ赤な色をしている。
こんな色を持つ人間は、国中どこを探しても他に居ない。
しかも、婚約してから私の髪の色は変わってしまったのだ。
でもこれには、ちゃんと理由があるのに…。
私は、これまでの事を思い返していた─。
※※※
「その髪…また色が濃くなったんじゃないか?」
「…えぇ。」
「実はお前の髪の事で、ある噂を聞いたんだが…。」
「…噂?」
「お前が魔女の末裔だとか、呪われた血が流れているとか…それは本当なのか?」
「いいえ、違います。」
しかし、婚約者は納得していない様だった。
そして彼は、いつからか他の女に走る様になった─。
「あいつの髪は、まるで血の様だ。一緒に居るのが恐ろしいよ。」
「フフッ…きっとあの女は、寝てる間にあなたの生き血を吸ってるのよ。」
「おいおい、冗談はよしてくれよ。…俺はもうあいつを捨て、可愛い君を選ぶよ。」
そして、彼は愛人をギュッと抱きしめた─。
確かあの女は、この国で一番可愛いと評判だけれど…でも、その正体は─。
あんな女を選び、この私を捨てる?
そんな事をして、どうなっても知らないんだから─。
※※※
「…そうか、受け入れてくれるか。じゃあ、さっさと出て行ってくれ。」
「はい。でも…あなたはもう今後幸せは訪れなくなりますが…それも仕方ないですよね。」
「ど、どういう事だ!?」
「実は私には、ある不思議な力があるんです。それは、愛する者の不幸を幸せに変える力。私はあなたとの婚約が決まると、あなたの不幸を幸せに変えてきました。それで髪の色が変わったんです。」
「そ、そんな!ではお前は、魔女でも呪われても…。」
「えぇ、違いますとも。でもあなたは、私の言葉を一切信じませんでしたけどね。それにしても…あなたは不幸に愛された男ですね。あなたを襲う不幸が沢山あるから、私の髪の色はこんな血のような赤に染まってしまった。ですから私が居なくなれば、あなたはすぐに不幸のどん底に叩き落とされるでしょう。では、私はもう行きます…後は、ご自分でどうにかなさって?」
私は彼に背を向け、部屋を出て行こうとした。
「ま、待ってくれ、行かないでくれ!俺を見捨てるのか!?」
「自業自得よ。私を捨て、あんな女に走った、ね。あの女は…それこそあなたが恐れた、魔女の末裔。呪われた女ですよ?」
「…え?」
「あなたは、本当に呪われた女と、それこそ身も心も結ばれてしまったのです。」
私の言葉に、彼はその場で卒倒してしまった─。
※※※
それから、元婚約者は何度も不幸に襲われた。
あの女を恐れ別れたものの、彼女は魔女の末裔。
自分を捨てた彼を恨み、黒魔術で彼に様々な呪いをかけた。
そのせいで、彼は病に倒れもがき苦しみ…しかもそんな最中、自身の従者に裏切られ…財産を全て持って行かれた上に、屋敷に火を付けられた。
結果彼は、財産も家も、全て一度に無くしてしまったのだ。
それが余程ショックだったのだろう…彼は病が悪化し、そのまま田舎の療養所に入る事となった。
そして今では、赤色を異常に恋しがり泣き喚く、異常者になってしまったという。
一方私は、新しい恋人が出来て幸せな日々を送っている。
あの男と別れた事で、私の髪の色は元の金色に戻ったのだが…今の恋人は、余程心が綺麗で、その魂まで徳が高いのか…私の髪はそれは見事な金色になり、まさに黄金の輝きを放って居る。
そしてそれを見た彼は、私を誰よりも美しいと褒め、より一層深い愛を私に捧げてくれるようになり…こうして私は、幸せな日々を送っている─。
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