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21 さようなら、世界。
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「…ルーイン、どうして黙ってたの?」
「世界に嫌われるのが怖かったのです…世界崩壊の原因を作った、恐ろしい存在だと思われたくなかった。」
「俺はルーインのこと、そんなふうに思わないよ…。」
「おい、男。お前はもう下がれ、邪魔をするなら容赦しない!」
勇者が俺に剣を向けたその瞬間、ルーインが俺に向けて呪文を唱えた。
『障壁・創造』
「…私は魔王の器ではなかった。いくら魔力が桁違いに高くても、争いごとが嫌い、戦いで血が流れるのは嫌…そんな情けない魔王では、魔族は治められない。でもそんな私でも必要なんだと、誰かに言ってもらいたかった。世界、あなたは言ってくれた…君しかいないと。私にもあなたしかいない。だから、あなたを守る。…守るために、私は魔界に帰ります。このままでは、あなたを巻き込んでしまう。」
「ルーイン行くな、死んじゃうかもしれないんだぞ!」
俺は自分を守っている障壁を、必死に叩いたがびくともしなかった。
ルーインはそんな俺に近づくと、そっと障壁に手を添えた。
俺はそれに自分の手を合わせた…彼女の温もりは伝わってこなかった。
「世界…家に帰ったら、机の上を見て下さいね。私はあなたが好きです。どんなに離れても、命が無くなっても…最期の瞬間まで、あなたが好き。」
そして、そっと唇を重ねると、勇者の元へ歩いて行った。
「さようなら、世界。」
2人が魔方陣の上に立つと再び強い光が放たれ、その光が消えた時…もう2人の姿はそこに無かった。
「ルーイン!」
その瞬間障壁は消え、俺は自由になった。
慌てて魔法陣があった所に駆け寄ったが、そこには既に何もなく、ただ乾いたグラウンドが広がっているだけだった。
俺は自分の不甲斐なさに、その場に膝をついて泣いた。
「下野君、やはりルーインは行ってしまったのね。」
「先導さん…知ってたの?こうなるって。知ってたならどうして言ってくれなかったの?」
「知ってても、どうにもならないことはある。ルーインがああしなかったら、あなたは勇者に殺されていた。あなたの死で、ルーインの魔王の力が暴走…この世界はとんでもないことになっていた。それが私が夢で見た、もう一つの未来。それは絶対に避けねばならない。」
「何だよそれ…俺は、最後までルーインに助けられたのか。俺はもう、ルーインを助けることができないのに…。」
「…下野君。」
「世界に嫌われるのが怖かったのです…世界崩壊の原因を作った、恐ろしい存在だと思われたくなかった。」
「俺はルーインのこと、そんなふうに思わないよ…。」
「おい、男。お前はもう下がれ、邪魔をするなら容赦しない!」
勇者が俺に剣を向けたその瞬間、ルーインが俺に向けて呪文を唱えた。
『障壁・創造』
「…私は魔王の器ではなかった。いくら魔力が桁違いに高くても、争いごとが嫌い、戦いで血が流れるのは嫌…そんな情けない魔王では、魔族は治められない。でもそんな私でも必要なんだと、誰かに言ってもらいたかった。世界、あなたは言ってくれた…君しかいないと。私にもあなたしかいない。だから、あなたを守る。…守るために、私は魔界に帰ります。このままでは、あなたを巻き込んでしまう。」
「ルーイン行くな、死んじゃうかもしれないんだぞ!」
俺は自分を守っている障壁を、必死に叩いたがびくともしなかった。
ルーインはそんな俺に近づくと、そっと障壁に手を添えた。
俺はそれに自分の手を合わせた…彼女の温もりは伝わってこなかった。
「世界…家に帰ったら、机の上を見て下さいね。私はあなたが好きです。どんなに離れても、命が無くなっても…最期の瞬間まで、あなたが好き。」
そして、そっと唇を重ねると、勇者の元へ歩いて行った。
「さようなら、世界。」
2人が魔方陣の上に立つと再び強い光が放たれ、その光が消えた時…もう2人の姿はそこに無かった。
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その瞬間障壁は消え、俺は自由になった。
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「知ってても、どうにもならないことはある。ルーインがああしなかったら、あなたは勇者に殺されていた。あなたの死で、ルーインの魔王の力が暴走…この世界はとんでもないことになっていた。それが私が夢で見た、もう一つの未来。それは絶対に避けねばならない。」
「何だよそれ…俺は、最後までルーインに助けられたのか。俺はもう、ルーインを助けることができないのに…。」
「…下野君。」
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