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婚約者の本当の気持ちを知ったら、自分が不幸な女だと分かりましたが…それは間違いでした。

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 私は婚約者から、いつも冷たくされていた。
 婚約してから、一度も愛してると言われた事が無い。

 いや…婚約する前も、好きだと言われた事は無かったか。

 所詮は家同士が決めた婚約相手、そう思っているのかしら…。

 彼の気持ちを知りたい。
 本当は私の事、どう思っているの─?

※※※

 これなら、どこからどう見ても幼馴染だわ…。
 私は、変化魔法で彼女になった。
 
 私の幼馴染は、皆から好かれる人気者だ。
 そして、彼とも仲が良かった。

 彼女になら、私に対する正直な気持ちを語ってくれるはず─。

「どうした、俺に話があるんだって?」

「あなたの、婚約者の事なんだけど…。」

「分かってる、あいつとは必ず別れるよ。待たせてごめんな。」

「…え?」

「元々俺はお前と婚約したかったんだが、俺の父が反対して仕方なく婚約したのは話しただろう?でも、お前と愛し合う方法があると分かったんだ。」

「そ…それは、どんな?」

「あいつを亡き者にしてしまえばいいんだ。そうなった所で、俺とお前は結ばれる。いい案だと思わないか?」

「そう、ね…。」

「何だ…俺と結ばれるのが、泣く程嬉しいのか?可愛い女だな…俺は、そんなお前を愛してるよ。」

 私が初めて聞いた彼の愛してるは…とても残酷な言葉だった。

 私は、なんて不幸な女なの…。
 婚約者に愛されて居ないどころか、命さえ狙われていたなんて…。

 でも、これでどうしたいか決まったわ。

 私は、あなたを許さない。
 幼馴染と、幸せになんてしてあげない─!

※※※

「お前が領主の息子だな、そして恋人の女というのはお前か?」

「な、何だお前たちは!」

 俺とあいつの幼馴染が密会している場に、突如兵たちが入ってきた。

 そしてそのまま俺たちは、王の居る城へと連れて行かれた─。 

「お前たちは、貴重な魔力持ちの娘を殺そうと企んでいるらしいな。そう、訴えがあったぞ?」

「な、何を言います!」

「もう、調べはついているんだ。」

 すると、俺の隣にいるはずの彼女が部屋に入って来た。

「わ、私がもう一人…?どういう事?」

「そのドレス、お前はあの時の…。」

「私は…あなたの婚約者です。彼女が何を着てたか、あなたはちゃんと覚えてるのね。私がどんなにおしゃれをしても、見向きもしなかった癖に…。」

 私は、魔法を解いて元の姿に戻って見せた。

「お前…俺を罠に嵌めたな!」

「違うわ…私はただ、あなたの口から本当の気持ちを聞きたかっただけよ。でももういいわ、私を裏切った男の愛なんて、もう要らない。私を裏切る幼馴染なんて、もう要らない。」

「魔力持ちは、この国の宝…それをお前たちの身勝手な愛で、亡き者にされては困るからな。お前たちは、今日をもってこの国から追放だ─!」

※※※

「そ、そんなの嫌よ!」

「俺の計画が…。」

 泣き叫ぶ幼馴染と、うなだれる婚約者は、兵に抱えられ去って行った─。

 その後、彼らはすぐに城を追い出され、そして国からも去って行った。

 二人は、いずれ共に生きて行く約束をしていたけれど…それがまさか、こんな形で叶えられる事になるなんて、夢にも思って居なかっただろう。

 そして私は王により、その時偶々お城に帰還していた騎士団の団長を紹介され…そして、近く婚約する事となった。

 彼はとても逞しくて凛々しくて…そして真面目で一途で、容姿も性格も申し分のない方だった。

彼の気持ちを知りたいが為に幼馴染の姿になったら、それがこんな素敵な出会いに繋がるなんて…私はちっとも不幸じゃなかった…むしろ、幸運な女だったわ─。
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