穢れた身の私は呪い子だと罵られ婚約破棄に…ですがそんな私にも、運命の相手は居ました。

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穢れた身の私は呪い子だと罵られ婚約破棄に…ですがそんな私にも、運命の相手は居ました。

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「俺に触れるな、呪いが移る!」

 その言葉に、私は払い除けられた手よりも心が痛かった。

「…あなたも、私の事をそんなふうに思ってたの?」
 
「やはり呪い子とは愛し合えない、もう婚約破棄してくれ。」

 そして彼は、私の元から去って行った─。

※※※

 私が呪い子と言われているのは、黒く染まった手と、腕にある無数の黒い斑点のせいだ。
 幼い頃のある出来事により、私はこんな体になった。

 この地には、黒沼と呼ばれる沼がある。
 その沼は黒く濁り底が見えず、危険な場所なのだが…。

 私がその近くを通りかかった時、獣の鳴き叫ぶ声が聞こえた。
 見ればそこには、溺れかけている一匹の獣が─。

 私は近くに落ちていた木の枝で、その獣を助けようとした。
 何とか獣が枝に掴まってくれた為、岸辺まで寄せる事は出来たが…その子は、自力で岸に上がる事が出来なかった。

 私は意を決し、その獣に手を差し伸べると沼から抱き上げた。

 漸く地上へ戻る事が出来た獣は、そのまま草むらの中へ消えて行った。

 安心した私はそのまま家路に着き、その汚れた体を清めたが…どんなに洗っても拭いても、その黒い汚れは落ちなかった。

 お医者様に見せてもどうにもならず、最後は神官に見て頂いた。
 するとこれは、沼の呪いを受けた為だと言う。
 
 私の身体は、呪いによって穢れてしまったのだ。

 だからと言って、あの子を助けた事は後悔していない。
 ただ…こんな穢れた身では、彼だけではなくもう誰にも愛されないのだろう。
 それだけが、酷く悲しい─。

※※※

 そんなある日の事。
 私の家を、ある客人が訪ねて来た。

「君が、俺の大事な守護聖獣を助けてくれたんだね。お礼に来るのが遅くなり申し訳ない。」

 それは立派な衣装を身に纏った、美しい青年だった。
 そしてその傍らには、真っ白な獣が─。

「守護、聖獣?それはその子の事でしょうか。でも私、このような美しい獣を見たのは初めてです。」

「あの時この子は沼に落ち、真っ黒な姿になってしまっていたから…分からないのも無理はないね。」

 そこまで言われ、私は漸くこの子があの時助けた子だと理解した。

「昔この国を訪れた際、ある事情で離れ離れになってしまってね。見つけた時はかなり弱っていたけど…でも、君に救われたおかげで命を失わずに済んだ。ただ…そのせいで、君には大変な苦労を掛ける事になってしまったね。」

 彼は、私の腕をじっと見た。

「普段は手袋で隠してるんですが…申し訳ありません、お見苦しい物を…。」

 すると彼は、私よりも少し大きな手で、私の手を優しく包み込んだ。

「だ、駄目です。私の穢れが─!」

「君は穢れてなんかない…とても心の美しい娘だ。」

 彼が聖獣を呼ぶと、それはゆっくりとこちらにやって来て…私の手をペロリと舐めた。

 するとどうだろう、私の黒かった手はみるみる白くなり…元の透き通った肌に戻った。
 気付けば、腕の黒い斑点も消えている。

「守護聖獣の力だよ。この子はずっと君を心配し、会いたがっていた。そして俺も、恩人である君の事をずっと探していたんだ。」

「そう、だったんですか…。ありがとう、あなたのおかげで私の身体から穢れが消えたわ。これでやっと、呪いから解放された。」

 私は涙を流し、守護聖獣を抱きしめた。
 
 彼はそんな私の涙をそっと拭い、こう言った。

「俺は、隣国の第二王子だ。君に頼みがある…俺の妃になってはくれないだろうか?」

 驚く私に、自分たちは運命で結ばれている、そう守護聖獣が教えてくれたのだと王子は言った。

「私の様な穢れた女には、そんな相手は居ないと…居ても結ばれる訳ないと思ってました。」

「俺は、絶対に君を幸せにすると誓う。だからどうか、俺と一緒に来てくれ。そして、俺の妃に─。」

 私は頷き、彼の胸に飛び込んだ─。

※※※

 私は彼と共に隣国に向かい、彼の妃となった。
 
 しかし…隣国へ来る事になったのは、私だけではなかった。
 私の元婚約者も、兵によって捕らえらえここに連れて来られたのだ。

 というのも、実は王子の聖獣があの沼で溺れたのは、幼い彼の悪戯だった事が判明したからだ。

 彼は珍しい獣が居ると言って聖獣を捕え、酷い暴力を振るい…それに飽きたら証拠隠滅の為に、あの黒沼に聖獣を投げ捨て逃げたのだ。

 まさか聖獣だと、王子のものとは思わなかったと彼は言い訳を繰り返したが…勿論それで許されるはずもなく、近く処刑される事となった。

 まさか、彼がそんな非道な人だとは思わなかった。
 彼が私の運命の相手でなくて本当に良かったと、今は心の底から思えるわ─。
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