婚約者が浮気ばかりで私に目を向けてくれないので、もうこの家から追放する事にしました。

coco

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婚約者が浮気ばかりで私に目を向けてくれないので、もうこの家から追放する事にしました。

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 私は昔から望んでいた通り、彼の婚約者になる事が出来た。
 そして、そんな私は何て幸せ者だろう。

 そう、思っていたのに…全ては、幻にすぎなかったのだ─。

※※※

 あの人ったら、また愛人たちを集め夜通し遊ぶつもりね…。

「さぁ、今夜も楽しくやろう!」

「領主様、私をこの屋敷に呼んで下さり光栄ですわ。」

「私もです!でも領主様は、最近ご婚約なされたんじゃ…。」

「まぁな。形式上はあいつが婚約者だが、俺の心の中はいつも美しい君たちで一杯だ。そもそも、地味で暗いあいつが俺の婚約者に選ばれたのは、家同士の約束があったから…でなければ、誰があんな女選ぶか。」

 彼と婚約してからというもの、彼はこうして浮気ばかりで、私にちっとも目を向けてくれない。
 それどころか、こうして愛人たちと一緒になり、私の容姿や性格を小馬鹿にするのだ。

 そして更に、私を傷付けたのは─。

 ある夜、私は彼の部屋から聞こえてくる声に目を覚ました。

 その声は、何やら艶を含んだいやらしいもので…私はベッドを抜け出し、彼の部屋に近づいた。

 そこで、彼と私の妹が行為に及んでいる所を見てしまったのだ。

「…やはり君は美しいな。俺の愛人の中で一番素敵だ。どうせなら…あの女でなく、君を婚約者に迎えたかったよ。」

「私だって、お姉様より自分の方があなたにふさわしいと思うわ。なのに、私たちの両親は、お姉様をあなたのお相手にしてしまって…。」

「あの女…いっそ死んでくれればいいのに。そしたら、俺はすぐにでも君を婚約者にして─…」
 
 私が、死ねばいい─?
 今まで、どんな事を言われても耐えて来たけど…流石に、これは耐えられないわ。

 そこまで言うんですもの。
 あなたはどうあっても、私を見てくれる事は…愛してくれる事は無いのね。

 だったらもう、そんなあなたは要らない。
 もう、この家から出て行ってよ─。

 そして…そんな私に降り立った光は、そうだと答えるように、私の身体にピタリと寄り添った─。

※※※

「ど、どうして俺がこの家を出て行かねばならない!?」

 私の言葉に、彼は信じられないと言った顔で大声を上げた。

「あなたが心の腐った…魂まで穢れ切った男だからです。そしてこの地を守護する神に、領主失格だと判断されたからよ。」

「何故、お前にそんな事が分かる…!」

「それは…私がこの地の神に愛された…加護と祝福を受けた娘だからです。私は物心ついた時には既に神の神託により、いずれはこの地の領主様と二人で、この地を守って行くように役目を授かったのです。その為、あなたのお相手に選ばれたというのに…肝心のあなたがそんなふうでは…。」

「お、俺が一体何をしたと─」

「愛人を大勢作り、その上私の妹とも関係を持ったじゃないですか。そんな身も心も穢れた男が私の傍に居ては、私にまでその穢れが移るわ。神は、その事をとても怒って居ます。」

「そ、そんな…。」

「このままこの家に、この地に居れば、あなたはいずれ天罰を受け破滅します。それが嫌なら…もうこの家を出て行けという事です。」

 私の言葉に、彼は真っ青になりワナワナと震えた。

「お、俺が居なくなったら、次の領主は…弟は、家を出たきり帰って来てないし─」

「そうですね。自分より優秀な弟君を妬んだあなたの嫌がらせにより、彼は随分前にこの家を出て行ってしまいました。ですが…あなたが居なくなるなら、喜んで戻って来てくれるそうです。そして、あなたに代わり領主も務めると仰ってます。」

 私の言葉に、彼はガクリとその場に崩れ落ちた─。

※※※

 それから数日後、彼の弟君は無事この地にお戻りになられた。

 そしてそれと入れ替わるように、元婚約者と…彼と関係があった女たちは皆、この地から出て行く事になった。

 その中には、勿論私の妹も居て…彼女は私を見るなり、泣いて縋りついてきたが…私はその手を叩き落とした。

 この子の男好きには、前から嫌な思いをさせられていたし、こんなふしだらな女が妹など恥ずかしいもの。
 あの男共々、縁を切るにはちょうどいい機会だわ。

 彼らはこの地を出る事により、この地の神の加護を一切失ってしまうから、この先無事生きられるかどうか分からないけど…でも、それも自業自得よね。

 そして私は、新しく領主様となった弟君の婚約者となり、彼と共にこの地を守って行く事になった。

 彼は兄と違い、とても真面目で誠実な方で…神に愛された娘である私を敬うと同時に、一途な愛を捧げて下さる。

 今まで全く見向きもされず、愛を与えられない辛い日々を送っていたから…私はこの幸せを、これからも大切にしていこうと思っているわ─。
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