上 下
86 / 114
本音

結果

しおりを挟む
 あたしたちの結果は銅賞だった。観客の帰った体育館で、冷えた床にお尻をつけて座って、銅賞、という言葉をマイク越しに聞いた。あたしには嫌に乾いた感情しかなくて。やっぱり、なんてことも思った。あたしの前に座っているたっちゃんは、自分たちの結果にちょっと体を震わせた。あたしたちが教室の外で聴いた木管五重奏は、金賞を取った。珠ちゃんのいたクラリネット八重奏は、金賞の上に木管部門での最優秀賞だった。浜島たちパーカッションパートだけが、うちの学校で銀賞を手に入れた。何年ぶりだろうね。後ろに座っていたサックスパートたちがしゃべっていた。誰かのお姉ちゃんのとき以来じゃないの。なんて、どうでもいい話を聞いた。あたしのアンコンは、それで終わった。
 会場の片づけをして、若山のねぎらいを聞いて、すぐに解散をする。明日と明後日の部活は休みだ。いつも、大会の後はしばらく部活が休みになる。反省は休みの後で。だからうちの学校は弱いんだろうな。そんなことを考えながら、一人で帰宅する。たっちゃんはあたしが帰る準備をしている隙にさっさと行ってしまったから。家には、お母さんもお父さんも仕事でいなかった。
 誰もいない家で、食器洗いをしていると、外からザーザーという音が聞こえる。濡れた手でロールカーテンをめくると、雨が強く降り出していた。洗濯物、先に取り込んでおいてよかった。そう思って、ロールカーテンから手を離した。
しおりを挟む

処理中です...