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本音
受け入れられない
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たっちゃんを蹴ったことに少しの後悔も感じないまま、あたしはじっとたっちゃんを見つめる。たっちゃんは今まで見たことがないくらい痛がっていて、見開かれた目には涙が滲んでいた。
「……英里佳、なんで」
やがて、痛みが引いてきたのか、たっちゃんはあたしに尋ねた。あたしはたっちゃんの前に、仁王立ちをする。たっちゃんの涙目が、あたしを見上げた。
「僕のこと好きなんでしょ。知ってるよ。そんなの、昔から。なのになんで」
「たっちゃんが嫌がってるから」
あたしを押し倒したたっちゃんは、全身であたしを拒絶していた。たっちゃんにとって、男の子として女の子を抱くなんて身を引き裂かれるぐらいつらいことで、そんなことをたっちゃんが望むわけがない。自分でも分かっているはずだ。たっちゃんを睨むと、彼はわなわなと唇を震わせた。
「でも、でも、もう僕にはこれしかないんだ。英里佳を幸せにしてあげるしかないんだ」
「こんなの幸せじゃない」
「幸せだよ! 好きな人とひとつになれるんだよ? 幸せじゃなきゃ何なの!」
「じゃあたっちゃんはあたしのハダカ見れるの?」
ぷつんと、たっちゃんは黙った。あ、あ、と、言葉にならない言葉を絞りだそうとしている。あたしを傷つけない方法を、必死で探している。
「見てよ。たっちゃん」
あたしは何だか吹っ切れて、何のためらいもなく上を脱いだ。パジャマと、下のタンクトップを一緒に。そして、くっついたままのそれをたっちゃんに投げつけた。
「見てよ!」
今度はズボンを脱ぐ。たっちゃんは何度も何度も、激しく首を横に振っている。
「見なよ! 見ろ!」
ブラジャーを乱暴に外し、パンツも脱いだ。それも全部、たっちゃんに投げつける。たっちゃんはハダカのあたしを見ないように両手で目を押さえ、とうとう泣き出した。
「ごめん……ごめんなさい……ごめんなさ……」
「謝らないで」
冷静になり、たっちゃんの頭に引っかかっている服を手に取る。自分に嫌気がさしながら、それを着た。あたしが服をきちんと着終わるころに、たっちゃんも落ち着いてくる。
「……英里佳、なんで」
やがて、痛みが引いてきたのか、たっちゃんはあたしに尋ねた。あたしはたっちゃんの前に、仁王立ちをする。たっちゃんの涙目が、あたしを見上げた。
「僕のこと好きなんでしょ。知ってるよ。そんなの、昔から。なのになんで」
「たっちゃんが嫌がってるから」
あたしを押し倒したたっちゃんは、全身であたしを拒絶していた。たっちゃんにとって、男の子として女の子を抱くなんて身を引き裂かれるぐらいつらいことで、そんなことをたっちゃんが望むわけがない。自分でも分かっているはずだ。たっちゃんを睨むと、彼はわなわなと唇を震わせた。
「でも、でも、もう僕にはこれしかないんだ。英里佳を幸せにしてあげるしかないんだ」
「こんなの幸せじゃない」
「幸せだよ! 好きな人とひとつになれるんだよ? 幸せじゃなきゃ何なの!」
「じゃあたっちゃんはあたしのハダカ見れるの?」
ぷつんと、たっちゃんは黙った。あ、あ、と、言葉にならない言葉を絞りだそうとしている。あたしを傷つけない方法を、必死で探している。
「見てよ。たっちゃん」
あたしは何だか吹っ切れて、何のためらいもなく上を脱いだ。パジャマと、下のタンクトップを一緒に。そして、くっついたままのそれをたっちゃんに投げつけた。
「見てよ!」
今度はズボンを脱ぐ。たっちゃんは何度も何度も、激しく首を横に振っている。
「見なよ! 見ろ!」
ブラジャーを乱暴に外し、パンツも脱いだ。それも全部、たっちゃんに投げつける。たっちゃんはハダカのあたしを見ないように両手で目を押さえ、とうとう泣き出した。
「ごめん……ごめんなさい……ごめんなさ……」
「謝らないで」
冷静になり、たっちゃんの頭に引っかかっている服を手に取る。自分に嫌気がさしながら、それを着た。あたしが服をきちんと着終わるころに、たっちゃんも落ち着いてくる。
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