104 / 114
本音
たっちゃんへ
しおりを挟む
「たっちゃんに連絡とるから。話しに行こう」
ポケットからスマホを出す。宇野が、ん、と、緊張したような返事をした。そっとあたしの手をすり抜ける。電話をかけると、たっちゃんはすぐに出た。
「たっちゃん。今、家?」
「違うよ」
「じゃあどこ?あたし、学校の近くにいるんだけど、そっち行ってもいい?」
「いいよ。私、海にいるから」
え、海?この真冬に? あたしの困惑を察したのか、たっちゃんはケラケラ笑い、優しく説明してくれる。
「海って言っても、防波堤があるだけのあそこのちっちゃい場所だよ。一年のとき、学校でボランティアにきたじゃん。ほら、海岸清掃のさ。そっちからなら、自転車で二十分もあればつくでしょ」
「う、うん。じゃあ今から行く」
「了解。待ってるね」
ふふ、と笑い、たっちゃんは電話を切る。あたしは二、三秒画面を見つめて、それから宇野を見た。
「どこって?」
宇野が訪ねる。
「海だって」
「海。なんでまた」
「知らない。とにかく、行こうよ」
首を傾げる宇野をよそに、あたしは駐輪場に向かう。宇野が慌てて後をついてきた。
ポケットからスマホを出す。宇野が、ん、と、緊張したような返事をした。そっとあたしの手をすり抜ける。電話をかけると、たっちゃんはすぐに出た。
「たっちゃん。今、家?」
「違うよ」
「じゃあどこ?あたし、学校の近くにいるんだけど、そっち行ってもいい?」
「いいよ。私、海にいるから」
え、海?この真冬に? あたしの困惑を察したのか、たっちゃんはケラケラ笑い、優しく説明してくれる。
「海って言っても、防波堤があるだけのあそこのちっちゃい場所だよ。一年のとき、学校でボランティアにきたじゃん。ほら、海岸清掃のさ。そっちからなら、自転車で二十分もあればつくでしょ」
「う、うん。じゃあ今から行く」
「了解。待ってるね」
ふふ、と笑い、たっちゃんは電話を切る。あたしは二、三秒画面を見つめて、それから宇野を見た。
「どこって?」
宇野が訪ねる。
「海だって」
「海。なんでまた」
「知らない。とにかく、行こうよ」
首を傾げる宇野をよそに、あたしは駐輪場に向かう。宇野が慌てて後をついてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる