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2話
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「へぇ、新しいゲームが出るのか。『ムゲンセカイ』評価もめちゃくちゃ高いし面白そうだな・・・」
仕事が終わり自宅についてパソコンを見てみると面白そうなゲームの記事を見つけた。学生の頃はよく遊んでいたがここ最近はゲームはしていなかったしVRMMOも興味はあったが触れる機会はなかった。
「そういえば子供の頃はこんなゲームしたいなって妄想してたよなぁ、それがもう35歳か」
地元の小さな土木管理会社に入社して今年で17年、4年前に現場で怪我をしてからは事務員として8時から17時まで事務所で受注業務等を担当している。作業員の頃よりも給料は下がり、趣味のパチンコで毎月の生活はギリギリ。今月もパチンコで負けが込み給料日まであと2日を大人しく家に帰って来て1本の缶ビールを飲んでやり過ごしているような寂しい1人暮らしのおっさんだ。
「どうせ金が無くなるなら形に残る機械でも買ったほうがマシか、月額も安いし、何よりも時間はいくらでもあるからな」
現状を考えると悲しい笑い声が漏れてしまうが自業自得だし、後悔はちょっとだけしている。ハマれるようならパチンコにも行かなくなるだろうし、ギャンブルから足を洗ういい機会になるかもしれないと考えてすぐに申し込みをする事にした。それから3日後の着払いでVRセットを購入し、ネットの情報を漁り続けた。
そして3日後機械のセットとインストールが終わりいよいよゲームの開始となる。
「よし、スタート・・・」
まず流れるのはゲームのオープニング。ちょっと言葉では言い表せないような壮大なシーンだ、なんだろうあえて例えるならビックバン?宇宙が誕生し、沢山の惑星が生まれてその一つ一つに生命が誕生するという感じだろうか。そしてその星それぞれに独自の生命が生まれ進化し、発展するシーン。それが体感で3分くらいにギュっと詰め込まれていた。
それから自分のキャラクタークリエイトが始まる。やりたいプレイスタイルは3日間の間にある程度絞り込んできたのでその場のインスピレーションで変えながら作り上げていこう。
まず種族は犬の獣人、犬種もいろいろ選べるのだが昔飼っていたのがシベリアンハスキーに似た雑種だったのでハスキー系に。白に黒で縁取られた耳とふさふさの尻尾、目は白くすると違和感を感じたので日本人的な黒目に、それから鼻もあえて日本人風に低めにしておいた。髪の毛は黒のオールバックに若干の白メッシュを、眉毛はあえて太めに、それから最後にちょっとだけアゴ髭を足してみた。
体型はリアルとあまり変わらない170cm、それなりに筋肉がついていてシュっとした感じで仕上げてみた。結構ワイルドな青年になったと思う。
次にジョブは1stジョブに狩人、2stジョブに旅人、この2つだけにした。ネットで見るとジョブ自体はいくつでも付けられるらしいのだが増える度に初期ステータスへの補正倍率が下がる事、それから恐らく成長倍率も下がっているっぽいという検証が出ていて最適なのは3つまでという記事を見たからだ。
自分の場合、プレイスタイルとしては『まったり』で行こうと思っている。ゲーム自体にブランクがあるので最前線で戦うとかは考えていないし、今の所パーティーを組むつもりもない。1人で旅をしながら綺麗な景色を見て適度に楽しめればいいのでこれで十分だろう。
それぞれの特徴は狩人は中衛系戦闘職に分類されていて遠距離からの物理攻撃がメインのアタッカーになる。メイン武器は弓か銃、高威力が売りだがコストも掛かり、近接戦闘に弱いという面もある。
狩人最大の特徴は相棒システムで、いくつかの候補の中から戦闘に役立つ相棒を使役出来る事だろう。犬、猫、鳥、馬等がいるが今回は鷹を選んでいる。
旅人も中衛戦闘職に分類されるのだが、どちらかといえば非戦闘職に近く殆どの武器と一部の魔法に適性がある代わりにその適性は他の戦闘職に比べると一段も2段も劣る。どちらかと言えばサボート系のスキルの方が適性が高くなっているが苦手な事はないという感じだ。ただし、現状のテンプレ構成には絶対に入らないのでパーティーを前提としたプレイヤーからは地雷扱いされるらしい。俺の場合はソロでやるつもりなので逆に何でも1人で出来ないと困るからね、このジョブを選びました。
次がスキルの選択。まずは自動的に取得される特性で獣人は『危機察知』、犬獣人の特性が『嗅覚強化』、狩人の特性は『遠距離ダメージ補正』、旅人が『旅人の心得』となっている。それぞれ簡単に説明すると危機察知はその名の通り強い敵や危険が迫るとそれが何となく分かるようにアラームが鳴る。嗅覚強化は臭いで敵との距離やモノの良し悪しがなんとなく分かるようになる。旅人の心得はNPCのショップを利用する際に5%値引きされるスキルになっている。
次は任意で選べるスキル、これもネットでオススメやテンプレを調べてある。まず狩人に必須なのが『隠密』と『暗殺』、この2つがないと始まらないと言っても過言ではない。隠密はその名の通り身を隠し敵から視覚と聴覚により発見される確率を減らす事が出来る。暗殺は敵の急所を表示し、その部位に攻撃する事でダメージを上げる、もしくは即死させるスキルだ。このゲームはリアル&ライフポイントシステムという仕組みが導入されており、現実と同じ様に急所にそれなりのダメージを負えば即死もするしチマチマした攻撃でも敵のライフポイントさえ削り切れば倒せる様に敵毎に調整されている。狩人はこのシステムを利用して敵の急所を突いて一撃で倒すスタイルが推奨されている。一応システムサポートが働くので素人でも最低限の命中率は確保出来るし専用技を使えば自動的に動いてくれるので楽ではあるんだけど、戦士みたいに前衛で剣を振る自信がなかったっていうのも狩人を選んだ理由のひとつになるかな。
後は『HP自動回復』と『逃走』の4つでいい。逃走は敵から距離が離れれば離れるほど逃げやすくなる効果があって旅人とかいくつかのジョブしか選べないスキルでソロならあると便利らしい。
ワールドは王道ファンタジーで魔王なし、ダンジョンなしの一番広大な世界にしました。ファンタジー系のワールドだけでも10個くらいはあるので結構迷ったんだけど一番のんびり出来そうな所を選んでみた、それぞれのワールドでオリジナルのシナリオがあったりするらしいのだがあくまでも雰囲気重視で。
「後は最後に自分のゲーム内でのプロフィールを入力して終了かな?」
ある程度決めていたとはいえ、結構な時間が掛かってしまった。あとは考えていたプロフィールをいれてサクっと始めちゃおう。
~プレイヤー名:モリオン
~性別:男 年齢:35歳 種族:犬獣人族(シベリアンハスキー)
~ジョブ:狩人・旅人
~特性:危機察知・嗅覚強化・遠距離ダメージ補正・旅人の心得
~スキル:隠密・暗殺・HP自動回復・逃走
~相棒:マルコ(鷹)所持スキル『鷹の目』『風魔法』
~騎獣:馬(初期設定)
~出身地:オーバーワールド・ファース大陸・名も無き村
~ワールドボイス:あり
~システムサポート:あり
仕事が終わり自宅についてパソコンを見てみると面白そうなゲームの記事を見つけた。学生の頃はよく遊んでいたがここ最近はゲームはしていなかったしVRMMOも興味はあったが触れる機会はなかった。
「そういえば子供の頃はこんなゲームしたいなって妄想してたよなぁ、それがもう35歳か」
地元の小さな土木管理会社に入社して今年で17年、4年前に現場で怪我をしてからは事務員として8時から17時まで事務所で受注業務等を担当している。作業員の頃よりも給料は下がり、趣味のパチンコで毎月の生活はギリギリ。今月もパチンコで負けが込み給料日まであと2日を大人しく家に帰って来て1本の缶ビールを飲んでやり過ごしているような寂しい1人暮らしのおっさんだ。
「どうせ金が無くなるなら形に残る機械でも買ったほうがマシか、月額も安いし、何よりも時間はいくらでもあるからな」
現状を考えると悲しい笑い声が漏れてしまうが自業自得だし、後悔はちょっとだけしている。ハマれるようならパチンコにも行かなくなるだろうし、ギャンブルから足を洗ういい機会になるかもしれないと考えてすぐに申し込みをする事にした。それから3日後の着払いでVRセットを購入し、ネットの情報を漁り続けた。
そして3日後機械のセットとインストールが終わりいよいよゲームの開始となる。
「よし、スタート・・・」
まず流れるのはゲームのオープニング。ちょっと言葉では言い表せないような壮大なシーンだ、なんだろうあえて例えるならビックバン?宇宙が誕生し、沢山の惑星が生まれてその一つ一つに生命が誕生するという感じだろうか。そしてその星それぞれに独自の生命が生まれ進化し、発展するシーン。それが体感で3分くらいにギュっと詰め込まれていた。
それから自分のキャラクタークリエイトが始まる。やりたいプレイスタイルは3日間の間にある程度絞り込んできたのでその場のインスピレーションで変えながら作り上げていこう。
まず種族は犬の獣人、犬種もいろいろ選べるのだが昔飼っていたのがシベリアンハスキーに似た雑種だったのでハスキー系に。白に黒で縁取られた耳とふさふさの尻尾、目は白くすると違和感を感じたので日本人的な黒目に、それから鼻もあえて日本人風に低めにしておいた。髪の毛は黒のオールバックに若干の白メッシュを、眉毛はあえて太めに、それから最後にちょっとだけアゴ髭を足してみた。
体型はリアルとあまり変わらない170cm、それなりに筋肉がついていてシュっとした感じで仕上げてみた。結構ワイルドな青年になったと思う。
次にジョブは1stジョブに狩人、2stジョブに旅人、この2つだけにした。ネットで見るとジョブ自体はいくつでも付けられるらしいのだが増える度に初期ステータスへの補正倍率が下がる事、それから恐らく成長倍率も下がっているっぽいという検証が出ていて最適なのは3つまでという記事を見たからだ。
自分の場合、プレイスタイルとしては『まったり』で行こうと思っている。ゲーム自体にブランクがあるので最前線で戦うとかは考えていないし、今の所パーティーを組むつもりもない。1人で旅をしながら綺麗な景色を見て適度に楽しめればいいのでこれで十分だろう。
それぞれの特徴は狩人は中衛系戦闘職に分類されていて遠距離からの物理攻撃がメインのアタッカーになる。メイン武器は弓か銃、高威力が売りだがコストも掛かり、近接戦闘に弱いという面もある。
狩人最大の特徴は相棒システムで、いくつかの候補の中から戦闘に役立つ相棒を使役出来る事だろう。犬、猫、鳥、馬等がいるが今回は鷹を選んでいる。
旅人も中衛戦闘職に分類されるのだが、どちらかといえば非戦闘職に近く殆どの武器と一部の魔法に適性がある代わりにその適性は他の戦闘職に比べると一段も2段も劣る。どちらかと言えばサボート系のスキルの方が適性が高くなっているが苦手な事はないという感じだ。ただし、現状のテンプレ構成には絶対に入らないのでパーティーを前提としたプレイヤーからは地雷扱いされるらしい。俺の場合はソロでやるつもりなので逆に何でも1人で出来ないと困るからね、このジョブを選びました。
次がスキルの選択。まずは自動的に取得される特性で獣人は『危機察知』、犬獣人の特性が『嗅覚強化』、狩人の特性は『遠距離ダメージ補正』、旅人が『旅人の心得』となっている。それぞれ簡単に説明すると危機察知はその名の通り強い敵や危険が迫るとそれが何となく分かるようにアラームが鳴る。嗅覚強化は臭いで敵との距離やモノの良し悪しがなんとなく分かるようになる。旅人の心得はNPCのショップを利用する際に5%値引きされるスキルになっている。
次は任意で選べるスキル、これもネットでオススメやテンプレを調べてある。まず狩人に必須なのが『隠密』と『暗殺』、この2つがないと始まらないと言っても過言ではない。隠密はその名の通り身を隠し敵から視覚と聴覚により発見される確率を減らす事が出来る。暗殺は敵の急所を表示し、その部位に攻撃する事でダメージを上げる、もしくは即死させるスキルだ。このゲームはリアル&ライフポイントシステムという仕組みが導入されており、現実と同じ様に急所にそれなりのダメージを負えば即死もするしチマチマした攻撃でも敵のライフポイントさえ削り切れば倒せる様に敵毎に調整されている。狩人はこのシステムを利用して敵の急所を突いて一撃で倒すスタイルが推奨されている。一応システムサポートが働くので素人でも最低限の命中率は確保出来るし専用技を使えば自動的に動いてくれるので楽ではあるんだけど、戦士みたいに前衛で剣を振る自信がなかったっていうのも狩人を選んだ理由のひとつになるかな。
後は『HP自動回復』と『逃走』の4つでいい。逃走は敵から距離が離れれば離れるほど逃げやすくなる効果があって旅人とかいくつかのジョブしか選べないスキルでソロならあると便利らしい。
ワールドは王道ファンタジーで魔王なし、ダンジョンなしの一番広大な世界にしました。ファンタジー系のワールドだけでも10個くらいはあるので結構迷ったんだけど一番のんびり出来そうな所を選んでみた、それぞれのワールドでオリジナルのシナリオがあったりするらしいのだがあくまでも雰囲気重視で。
「後は最後に自分のゲーム内でのプロフィールを入力して終了かな?」
ある程度決めていたとはいえ、結構な時間が掛かってしまった。あとは考えていたプロフィールをいれてサクっと始めちゃおう。
~プレイヤー名:モリオン
~性別:男 年齢:35歳 種族:犬獣人族(シベリアンハスキー)
~ジョブ:狩人・旅人
~特性:危機察知・嗅覚強化・遠距離ダメージ補正・旅人の心得
~スキル:隠密・暗殺・HP自動回復・逃走
~相棒:マルコ(鷹)所持スキル『鷹の目』『風魔法』
~騎獣:馬(初期設定)
~出身地:オーバーワールド・ファース大陸・名も無き村
~ワールドボイス:あり
~システムサポート:あり
応援ありがとうございます!
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