月へと翔てく

秋(とき)

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月へと翔てく

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日が落ちて
何気なく空を見上げると
薄暗い中に見える高い空と
黒い雲たちの中に
輝くばかりの半月が
存在感を放っている

髪を結い上げて
現れているうなじを
夏の匂いのする風が
掠めていく

心の中にすとんと
落ちた想い

不思議と
泣くでもなく 苦しむでもなく

ただ
私はあの月を眺めている
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