お忘れ物ですよ

ハチママ

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お忘れ物ですよ

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私はコインロッカーが、ずらーっと並ぶ場所に来ていた

確か疲れてベッドに倒れ込んだと思ったんだけど…

夢でも見ているのかなぁ


一人の青年が声をかけてきた

「お忘れ物ですよ」

なにも忘れ物などしていないと答えると

「いいえ 確かに忘れてますよ」
と彼は言った

なにか落としたのかと辺りを見渡したが何も無かった

「アナタの感情を お忘れです」

感情と言われて思い当たることがあった

「置いて行っていいのですか?
大切な感情ですよ」

いいの…それが居ると辛いから…

「またひとつ お人形さんに近づきましたね…そうでもしないと 
ご自分を保(たも)てないのでしょう…」

私は、頷く

「わかりました…約束して下さい!
心に余裕が出来たら 
この感情を迎えに来ると」 

うん…わかった

「ほら、アナタが置き忘れた感情が 
いま、産声(うぶごえ)をあげました」

見ると、彼の腕の中で可愛らしい赤ん坊が泣いていた

「この子が完全に成長する前に 
迎えに来てあげてくださいね」

迎えに来れるだろうか…
愛すると言う感情を
あの人に裏切られ捨てられた私が
再び人を愛せるだろうか…

「心配そうですね
大丈夫ですよアナタなら
きっと迎えに来れます
現にいま此処に来れてるじゃないですか!?」

驚いて彼を見ると彼は優しく、こう言った

「ワタクシは、アナタの感情ですよ… 
10年前に置き忘れて行ったね…」

ああ、思い出した
あの時も此処に来ている
そうだったんだ 
彼は…あの時に生まれた赤ん坊

「信じてくれるのですね!
ワタクシという存在を! 感情を!」

ええ、信じるわ!信じますもの!!

「ありがとう! 迎えに来てくれて 
ずっと待ってました」

彼が、すーっと入ってくる
私の中に入ってくる

「ただいま!!
そう、ワタクシは 〚信じる〛というアナタの感情です」

彼は私の中に居る
ぽかぽか と暖かく穏やかな気持ちになった

おかえりなさい



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