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1章 ヒキニート、異世界で戦乙女になるってよ

ひょんな出会い

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 「あ~…くっそだりぃ……。」
 度々襲ってくる憂鬱感がピークを迎え、6日ぶりにノーパソを閉じ、睡眠を取ろうとした。
 今は昼の11時。良い子は学校に行っている時間だ。そもそも、私は学校に行ってないんだけどね。やっぱり、寝れなくて、スマホをちらっと見る。ネトゲの公式アカウントを見て気付く。………あれ?今日って………。慌てて飛び起き、思いっきり叫ぶ。そう……今日は……

イベント開始日じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!

 私は、櫻木心々桜(さくらぎこころ)。女。17歳。無職。処女。ヒキニート。ニートになったのは二年前。授業がつまらなすぎて、学校サボったのがきっかけ。親はもう既に死んでおり、私は実質一人暮らしだった。床をどんどんすればご飯が出てくる訳でもない。だから、毎日、部屋を出て、料理を作らなければいけない。それが、めんどくさすぎて、萎える…。めんどくせぇ…( ˘ω˘ ) スヤァ…。

 それはさておき、今、物凄い勢いで全パソコンを起動している。しょうがないでしょ!!今日はP◯◯2、シャ◯バ、刀◯◯舞、艦◯れのイベントが始まるんだもん!!私にはもう、ネトゲしかないのよ…。

 いつの間にか身に付いたゲーマースキルを駆使し、右手はとうらぶを起動したPCを、左手は艦これを、両足はPSO2を、とうらぶか艦これをやっているどちらかの手が空いたら、すぐさまシャドバを…。これらを四六時中、365日、くり返し行っている。その結果、私の快進撃は止まらず、イベントは必ず上位到達かラストステージクリアまでやってしまうのである。そう、いつの間にか、周りから見ても、立派なダメ人間となっていたのである。

 ネトゲばっかりしていても、唯一の保護者であるおばあちゃんは、私の生活を支えてくれている。高校に行かなくなっても、叱らなかった。むしろ、私の不幸(親が事故死したこと)に、悲しんでいるようであった。だから、私は働くことなく、1年中、ずぅーっとネトゲやネットをやっているのである。おばあちゃんには申し訳ないけどね。

 「っしゃぁ!!全オーダークリアっ!!」
 ようやくPSO2のイベントキャラクターのオーダーが終わった。報酬ザックザク…ふぅ…満足ぅ…。とうらぶのイベントもようやく終盤を迎えた。Yes!!包平!!

 一区切りついた所に、ピロンッと音を立ててスマホが通知を表示した。どうやらLINEが来たらしい。素早く操作し、LINEを送ってきた人物の元に返信をする。

 LINEを送ってきたのは「友達」。自らそう名乗る人だ。だから、私は「友達」のことをあまり知らない。「友達」から届いたのは「今空いてる?」というメッセージだった。「空いてる」と、返信を送り、私はPCに目をやった。「友達」が好きなPSO2。その中でも、アークス(PSO2で作ったキャラクターのこと)同士で戦う『バトルアリーナ』が大好きらしい。
 早速「友達」とマッチングし、試合開始。私はブレイバー。「友達」はハンター。これなら勝てるっ…!!そう思い、私は、殴って叩いて斬って斬って斬りまくってフルボッコだドン!!をした。最初は優勢だった「友達」だったが、最後は私に敗れた。ふぃ……疲れた…。
「やっぱり強いね、ココロ。」
「貴方もね。」
 そう「友達」とチャットをし、私はため息を付いた。最近、面白いネトゲに会えていないのだ。新しく出たものも、すぐ攻略してしまうので、『本気で楽しんだ』ということが無いのだ。
「貴方、面白いゲーム知らない?最近のゲームに飽きたの。」
 すると直ぐに返信が来た。その返信には、URLも付いていた。
「このゲームやってみれば?凄く楽しいよ…すっごくね…。但し、戻れなくなっても知らないよ?」
 その返信に、私は少し違和感を感じた。URLの裏に、「友達」のニヤリとした顔が見えたような気がした。だが、私は気にせず、URLをコピーし、ググった。だが、表れたのは、真っ黒な画面だった。—ガセネタか。そう思い、私はウィンドウを閉じた。その瞬間、デスクトップから、禍々しいオーラを纏った空間が現れた。その中から何者かがやって来て、私にこう言った。
「僕っちのなんかよく分からない超パワーで、君を満足させるような『ゲーム』をさせてあげる!だから、僕っちを満足させるようなプレイをしてよね!!」

 目を開けた瞬間、私は、何処か分からないところに辿り着いていた…。ここで言うべきは一つである……。さぁ皆さんご一緒に!

「此処はWhere!?私はWho!?」

  
 『戦記』は、ここから始まるのであった。
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