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前編
part 7
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「ほら彼女、来たよ。音楽部の」
律村にそう伝えて、愛は一歩後ろに下がる。
彼に近づく空橋玲葉の姿は、間近で見るとかなり背が高かった。
肩まで届かないほどに短い髪先は、夜でも分かるほど明るい色をしている。
おそらく、彼女の着ている浅葱色の浴衣に合わせ、少し染めているのだろう。
「会話に割り込んじゃったかな、ごめんなさい……」
空橋玲葉が、少し気まずそうに顔を伏せたので、愛の方から玲葉の顔を覗いて笑って見せる。
玲葉の瞳には、花火が打ち上がる前の、深く、神秘的で、静かな紺色の空が映っており、ラピスラズリのような輝きが秘められていた。
愛は「はじめまして」という定型挨拶から入って、それから「律村君と日枯 君がお世話になってます」と付けたした。
その言葉で、玲葉も「あっ!」と思い出したように「日枯 君にお世話になっているのはこちらの方こそで」と丁寧に頭を下げた。
「ううん、気にしないで! この土地で楽しい時間を過ごせているのは音楽部の皆のおかげって日枯 君も言っていたから!」
愛の溌溂とした声に、玲葉は「それなら、私も嬉しいです」と気恥ずかしげに、丁寧な笑みをみせる。
それに釣られるように、愛も笑ってしまい、思わず「この子、律村にはもったいない」という言葉を、なんとか喉の底に押し込めた。
律村にそう伝えて、愛は一歩後ろに下がる。
彼に近づく空橋玲葉の姿は、間近で見るとかなり背が高かった。
肩まで届かないほどに短い髪先は、夜でも分かるほど明るい色をしている。
おそらく、彼女の着ている浅葱色の浴衣に合わせ、少し染めているのだろう。
「会話に割り込んじゃったかな、ごめんなさい……」
空橋玲葉が、少し気まずそうに顔を伏せたので、愛の方から玲葉の顔を覗いて笑って見せる。
玲葉の瞳には、花火が打ち上がる前の、深く、神秘的で、静かな紺色の空が映っており、ラピスラズリのような輝きが秘められていた。
愛は「はじめまして」という定型挨拶から入って、それから「律村君と日枯 君がお世話になってます」と付けたした。
その言葉で、玲葉も「あっ!」と思い出したように「日枯 君にお世話になっているのはこちらの方こそで」と丁寧に頭を下げた。
「ううん、気にしないで! この土地で楽しい時間を過ごせているのは音楽部の皆のおかげって日枯 君も言っていたから!」
愛の溌溂とした声に、玲葉は「それなら、私も嬉しいです」と気恥ずかしげに、丁寧な笑みをみせる。
それに釣られるように、愛も笑ってしまい、思わず「この子、律村にはもったいない」という言葉を、なんとか喉の底に押し込めた。
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