6 / 38
本編
寂しさはわからない
しおりを挟む
「こちらが正面バルコニーです」
そう言いながらバルコニーへの戸を開けたセスに促されて光の降り注ぐ外へと踏み出す。
白い石で造られた手すりや床は、外にあることを忘れそうなくらい綺麗に保たれている。
手すりに手を置いて真下に広がる城の庭園を眺めると、専属の庭師が手入れをしている種類の豊富なバラや色とりどりの草花が見事に咲き誇っていた。
しかし花の色には統一感があり、派手というより落ち着いた雰囲気がオーウェンの印象に合っている。
「すごい……」
昨日から俺は、この城での生活に早く慣れるようセスに城の中を案内してもらっていた。
オーウェンの城は日本で暮らしてきた俺には想像もできないほど広くて、一日では回りきれなかったため今日もセスに案内を頼んでいる。
案内される途中や移動した先で見かける使用人の多さにも驚いた。
メイドや使用人、衛兵などの従者は俺の姿を見ると皆丁寧なお辞儀をするため、なんだか申し訳ない気持ちになる。
俺は別に王族でもないし、突然この城に現れただけだというのに。
この城で過ごすうちにこの対応にも慣れていくのだろうか。
初めて見る城の外にきょろきょろと辺りを見渡していると、城から出てすぐのところにオーウェンの姿を見つけた。
衛兵らしき男性と何か話している。
オーウェンとのディナーから二日が経つが、あれから彼との食事はなく、姿を見るのも初めてだった。王子というのは本当に忙しいらしい。
それとも俺との時間は必要ないのだろうかと思ったところで慌てて思考を止めた。
そんなふうに考えてもただ悪い結果になるだけだ。
「オーウェン王子にお会いできなくて辛いですよね」
何かを衛兵に指示しているオーウェンを眺めていると、深刻な声でセスが言う。
オーウェンに会わないと自分が存在する必要がないんじゃないかと思うだけで、別に会えないことが辛いというわけでもなかったけどそうは言えなくて苦笑いで誤魔化した。
「次の場所に向かおうか」
手すりから体を離しバルコニーからまた城の中へ戻る。
戸を閉めたセスが次に向かう場所へと歩き出し、俺もその後に続いた。
「あのさ、セス」
「はい、なんでしょう」
「王子のこと、なんて呼んだらいいかな? オーウェン王子? オーウェン様?」
オーウェン自体が厳かな雰囲気を持っているのもあるが、城の従者がオーウェンのことを王子やオーウェン様と呼んでいるため同じように呼んだらいいのか、オーウェンは俺のことを名前で呼ぶから俺もオーウェンと呼べばいいのかわからなくて、出会って数日経つというのにいまだに俺はオーウェンの名前を呼べずにいた。
「ユキ様が呼びたいようにお呼びして大丈夫だと思いますよ。ユキ様でしたらオーウェン王子も気にしないはずです」
そんなことないでしょ、とは思っても口には出さないで柔らかなほほ笑みを浮かべるセスの後ろを歩く。
なんと呼ぶか答えの出ないまま、次の目的地へとたどり着いた。
「ここは王族に関する書物や、この国の土地、歴史に関する書物を保管している図書館です」
セスが開けてくれた扉から中に入れば、高い天井と、壁一面に並べられた数多くの本に圧倒される。
部屋自体も広いため、かなりの数の書物が保管されていることがわかった。
「すごい数だね」
「重要な書物から国民の間で人気の小説なんかもあるんですよ。オーウェン王子のご配慮で仕えている者も利用させていただけるんです」
「へぇ、セスも使ったことあるの?」
「はい、読書も好きですし、使用人に必要な知識の本も揃っているのでここでよく勉強していました」
本棚の間に置かれている大きなテーブルには人の姿はないため、どうやら今は俺達以外にここを使っている人はいないようだった。
たっぷりと日の光を差し込む窓は大きく本棚に囲まれているのに開放感もあり、勉強や読書をするにはうってつけだと感じる部屋だ。
「何か読んでみていいかな?」
「もちろんです」
セスの返事に取り敢えず通りがかった本棚を眺めて、近くにあった大きくて重みのある本を手に取る。
いつのまにかセスが俺が座るためのイスを引いていてくれたため、そこに座りテーブルに本を置き開いた。
どうやら本はこの国の土地をまとめたものだったらしく、黒いインクで描かれた地図とその地方の説明が並んでいる。
話す言葉もそうだけど文字も普通に読むことができて安心した。
「紅茶を用意しましょうか」
「ありがとう。でもここで飲んでいいの?」
「貴重な書物の辺りでは禁止されていますがここでは大丈夫ですよ」
じゃあお願い、との俺の言葉を聞くとセスは紅茶の用意のために部屋から出て行った。
最近はまったく読めていなかったけど読書は好きな方だし、この世界のことを知れる機会を喜びながらページをめくる。
こんなに広い図書館を独り占めしてセスの紅茶を飲みながら本を読めるなんて最高の気分だった。
かすかな布擦れの音が耳に触れて沈んでいた意識が浮上する。
まだ眠気の残るまま瞼を持ち上げると、信じられない人物がいて夢の中なのかと錯覚した。
「起きたのか、ユキ」
しかし聞こえた声と呼ばれた名前にいっきに意識が覚醒し、テーブルに伏せていた上半身を起こす。
俺の隣には何故かオーウェンが座っていた。
「オーウェン様? どうしてここに?」
従者に倣ってオーウェン様と呼んでみた俺に呼ばれた当人は少しだけ眉をひそめたように見えたものの、特に何も言われなかった。
この呼び方でいいということなんだろうか。
「ちょうどここの前を通りがかったらユキの姿が見えた」
俺の姿が見えたからこの部屋に入って、寝ている俺を起こさずに隣に座っていたということだろうか。
オーウェンの言葉がしめすことを読み取ると、自分が思っている以上に大切にしてもらっているのかもしれないという考えが頭に浮かぶ。
それと同時に、胸の辺りに甘くて切ない痛みが走った。
俺との距離を詰めようとしてくれているのを感じて俺も今日オーウェンを見かけたことを話してみようかと思ったが、何かに気づいたオーウェンはイスから腰を上げた。
彼の視線の先を追うと、王子付きの執事が扉の脇に立っているのが目に入る。
どうやらもう時間のようだ。
「気に入った本があれば自由に持ちだして構わない」
「ありがとうございます」
待っている執事の方へと歩いて行くオーウェンは振り返らずに部屋をでて、すぐに背中は見えなくなる。
オーウェンと会えないことを特に辛いとは感じていなかったが、オーウェンと会えて、話しをすることができたことを嬉しく思っている自分に気づく。
忙しいなか作れた短い時間を俺に会うことに使ってくれたことへの喜び、さっきまでそばにいたオーウェンの存在が薄れていく寂しさを感じながら開いたままだった本を閉じた。
本のそばに紅茶の入ったティーカップがあり、触るとぬるくなっていた。
俺が寝ていてもセスが離れることは考えにくいため、オーウェンが入ってきてから部屋を出て行ったのだろうか。
俺のために用意してくれたぬるくなっても美味しい紅茶を飲みながら、セスが迎えに来てくれるのを待った。
そう言いながらバルコニーへの戸を開けたセスに促されて光の降り注ぐ外へと踏み出す。
白い石で造られた手すりや床は、外にあることを忘れそうなくらい綺麗に保たれている。
手すりに手を置いて真下に広がる城の庭園を眺めると、専属の庭師が手入れをしている種類の豊富なバラや色とりどりの草花が見事に咲き誇っていた。
しかし花の色には統一感があり、派手というより落ち着いた雰囲気がオーウェンの印象に合っている。
「すごい……」
昨日から俺は、この城での生活に早く慣れるようセスに城の中を案内してもらっていた。
オーウェンの城は日本で暮らしてきた俺には想像もできないほど広くて、一日では回りきれなかったため今日もセスに案内を頼んでいる。
案内される途中や移動した先で見かける使用人の多さにも驚いた。
メイドや使用人、衛兵などの従者は俺の姿を見ると皆丁寧なお辞儀をするため、なんだか申し訳ない気持ちになる。
俺は別に王族でもないし、突然この城に現れただけだというのに。
この城で過ごすうちにこの対応にも慣れていくのだろうか。
初めて見る城の外にきょろきょろと辺りを見渡していると、城から出てすぐのところにオーウェンの姿を見つけた。
衛兵らしき男性と何か話している。
オーウェンとのディナーから二日が経つが、あれから彼との食事はなく、姿を見るのも初めてだった。王子というのは本当に忙しいらしい。
それとも俺との時間は必要ないのだろうかと思ったところで慌てて思考を止めた。
そんなふうに考えてもただ悪い結果になるだけだ。
「オーウェン王子にお会いできなくて辛いですよね」
何かを衛兵に指示しているオーウェンを眺めていると、深刻な声でセスが言う。
オーウェンに会わないと自分が存在する必要がないんじゃないかと思うだけで、別に会えないことが辛いというわけでもなかったけどそうは言えなくて苦笑いで誤魔化した。
「次の場所に向かおうか」
手すりから体を離しバルコニーからまた城の中へ戻る。
戸を閉めたセスが次に向かう場所へと歩き出し、俺もその後に続いた。
「あのさ、セス」
「はい、なんでしょう」
「王子のこと、なんて呼んだらいいかな? オーウェン王子? オーウェン様?」
オーウェン自体が厳かな雰囲気を持っているのもあるが、城の従者がオーウェンのことを王子やオーウェン様と呼んでいるため同じように呼んだらいいのか、オーウェンは俺のことを名前で呼ぶから俺もオーウェンと呼べばいいのかわからなくて、出会って数日経つというのにいまだに俺はオーウェンの名前を呼べずにいた。
「ユキ様が呼びたいようにお呼びして大丈夫だと思いますよ。ユキ様でしたらオーウェン王子も気にしないはずです」
そんなことないでしょ、とは思っても口には出さないで柔らかなほほ笑みを浮かべるセスの後ろを歩く。
なんと呼ぶか答えの出ないまま、次の目的地へとたどり着いた。
「ここは王族に関する書物や、この国の土地、歴史に関する書物を保管している図書館です」
セスが開けてくれた扉から中に入れば、高い天井と、壁一面に並べられた数多くの本に圧倒される。
部屋自体も広いため、かなりの数の書物が保管されていることがわかった。
「すごい数だね」
「重要な書物から国民の間で人気の小説なんかもあるんですよ。オーウェン王子のご配慮で仕えている者も利用させていただけるんです」
「へぇ、セスも使ったことあるの?」
「はい、読書も好きですし、使用人に必要な知識の本も揃っているのでここでよく勉強していました」
本棚の間に置かれている大きなテーブルには人の姿はないため、どうやら今は俺達以外にここを使っている人はいないようだった。
たっぷりと日の光を差し込む窓は大きく本棚に囲まれているのに開放感もあり、勉強や読書をするにはうってつけだと感じる部屋だ。
「何か読んでみていいかな?」
「もちろんです」
セスの返事に取り敢えず通りがかった本棚を眺めて、近くにあった大きくて重みのある本を手に取る。
いつのまにかセスが俺が座るためのイスを引いていてくれたため、そこに座りテーブルに本を置き開いた。
どうやら本はこの国の土地をまとめたものだったらしく、黒いインクで描かれた地図とその地方の説明が並んでいる。
話す言葉もそうだけど文字も普通に読むことができて安心した。
「紅茶を用意しましょうか」
「ありがとう。でもここで飲んでいいの?」
「貴重な書物の辺りでは禁止されていますがここでは大丈夫ですよ」
じゃあお願い、との俺の言葉を聞くとセスは紅茶の用意のために部屋から出て行った。
最近はまったく読めていなかったけど読書は好きな方だし、この世界のことを知れる機会を喜びながらページをめくる。
こんなに広い図書館を独り占めしてセスの紅茶を飲みながら本を読めるなんて最高の気分だった。
かすかな布擦れの音が耳に触れて沈んでいた意識が浮上する。
まだ眠気の残るまま瞼を持ち上げると、信じられない人物がいて夢の中なのかと錯覚した。
「起きたのか、ユキ」
しかし聞こえた声と呼ばれた名前にいっきに意識が覚醒し、テーブルに伏せていた上半身を起こす。
俺の隣には何故かオーウェンが座っていた。
「オーウェン様? どうしてここに?」
従者に倣ってオーウェン様と呼んでみた俺に呼ばれた当人は少しだけ眉をひそめたように見えたものの、特に何も言われなかった。
この呼び方でいいということなんだろうか。
「ちょうどここの前を通りがかったらユキの姿が見えた」
俺の姿が見えたからこの部屋に入って、寝ている俺を起こさずに隣に座っていたということだろうか。
オーウェンの言葉がしめすことを読み取ると、自分が思っている以上に大切にしてもらっているのかもしれないという考えが頭に浮かぶ。
それと同時に、胸の辺りに甘くて切ない痛みが走った。
俺との距離を詰めようとしてくれているのを感じて俺も今日オーウェンを見かけたことを話してみようかと思ったが、何かに気づいたオーウェンはイスから腰を上げた。
彼の視線の先を追うと、王子付きの執事が扉の脇に立っているのが目に入る。
どうやらもう時間のようだ。
「気に入った本があれば自由に持ちだして構わない」
「ありがとうございます」
待っている執事の方へと歩いて行くオーウェンは振り返らずに部屋をでて、すぐに背中は見えなくなる。
オーウェンと会えないことを特に辛いとは感じていなかったが、オーウェンと会えて、話しをすることができたことを嬉しく思っている自分に気づく。
忙しいなか作れた短い時間を俺に会うことに使ってくれたことへの喜び、さっきまでそばにいたオーウェンの存在が薄れていく寂しさを感じながら開いたままだった本を閉じた。
本のそばに紅茶の入ったティーカップがあり、触るとぬるくなっていた。
俺が寝ていてもセスが離れることは考えにくいため、オーウェンが入ってきてから部屋を出て行ったのだろうか。
俺のために用意してくれたぬるくなっても美味しい紅茶を飲みながら、セスが迎えに来てくれるのを待った。
55
あなたにおすすめの小説
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる