18 / 93
長門と有間 Ⅲ
しおりを挟む
千歳と千尋はお互い笑みを浮かべながら睨み合う、二人の表情とは裏腹に周りにはピリピリとした空気が漂い千尋を傍で見守る美琴は思わず息を飲んだ。
そして二人がお互い地を蹴り二人の初撃が繰り出されそうとしたその時、銃声がひとつ鳴り響き咄嗟に二人は脚を止める。
「おいお前ら、俺がいねぇっつのになーに始めようとしてんだ。」
声の方を向くとそこにはバイクに跨りゴーグルを額にかけた千悟がリボルバー銃を構えていた。
「千悟・・・」
千尋が後ろめたいような声色で千悟の名前を呼ぶと、千悟は『ふっ』と笑いながら右手に持っているリボルバーをクルッと1回まわす。
「勘違いすんなよ千尋、別に俺はお前を責めに来たわけじゃねぇ。ただ初代でも二代目でも、有間と長門の決闘を見届けてるのは狭間なんだよ。」
「・・・そうだったな。」
千尋の反応を見たあと千悟は千歳の方を見る。
「まあ、千歳が俺の助太刀が必要だってんなら・・・」
「いらんいらん。」
千歳の言葉にも『だよな!』とにこやかに笑うと千悟はリボルバーをしまい、跨っていたバイクから降りて腕を組んで立ちながら千歳と千尋の二人を見ている。千尋は美琴を戦いに巻き込まないように離れた場所に行かせ、千歳と再び向き合う。
ーーーーー
ーーー
ー
ところ変わり鬼恐山の屋敷前、魁の部下達と万尋たちの戦闘が行われているなか、万歳と魁は向き合い睨み合っている。
「魁、なぜお前はそこまで千歳を、長門を嫌う?」
万歳の問いに魁は小さく微笑みながら眼鏡を外し胸ポケットからハンカチを出してレンズを拭く。
「単純に、弱く無能な人間が嫌いなだけです。それが敬愛する有間の『友人』だと戯れ言を言っているのであれば、なおさらです。」
そう言いながら魁は眼鏡をかけ直し、指でクイッと押す。
「逆にお聞きします、ご隠居。なぜあの長門千歳をそこまで信用できるのです?」
「さっきも言ったろう、あやつが千尋の親友だからだ。そして儂の名前を一文字でも継いでおるのだ、このくらいやってもらわねばな。」
万歳の言葉に思わず魁は一瞬、顔を顰める。だがすぐに表情を戻し、不敵な笑みを浮かべながら魔力を身に纏う。
「ではその信頼が間違いだということを、僭越ながら私がご教授させていただきます。」
「若造が、儂に説法など十年どころか三、四十年早いわ。『加具土命』!」
万歳が号令をかけると紅い炎が燃え上がり、その炎は万歳の背後に鬼のような、仏ともとれるような姿を創る。
これが万歳の神性体質の能力、千尋は雷の神である建御雷を宿しているが、万歳は炎の神である『加具土命』を身体に宿している。
厳かでありつつ神々しい光景に鬼山は『素晴らしい』とただ不敵に笑っていた。
そして二人がお互い地を蹴り二人の初撃が繰り出されそうとしたその時、銃声がひとつ鳴り響き咄嗟に二人は脚を止める。
「おいお前ら、俺がいねぇっつのになーに始めようとしてんだ。」
声の方を向くとそこにはバイクに跨りゴーグルを額にかけた千悟がリボルバー銃を構えていた。
「千悟・・・」
千尋が後ろめたいような声色で千悟の名前を呼ぶと、千悟は『ふっ』と笑いながら右手に持っているリボルバーをクルッと1回まわす。
「勘違いすんなよ千尋、別に俺はお前を責めに来たわけじゃねぇ。ただ初代でも二代目でも、有間と長門の決闘を見届けてるのは狭間なんだよ。」
「・・・そうだったな。」
千尋の反応を見たあと千悟は千歳の方を見る。
「まあ、千歳が俺の助太刀が必要だってんなら・・・」
「いらんいらん。」
千歳の言葉にも『だよな!』とにこやかに笑うと千悟はリボルバーをしまい、跨っていたバイクから降りて腕を組んで立ちながら千歳と千尋の二人を見ている。千尋は美琴を戦いに巻き込まないように離れた場所に行かせ、千歳と再び向き合う。
ーーーーー
ーーー
ー
ところ変わり鬼恐山の屋敷前、魁の部下達と万尋たちの戦闘が行われているなか、万歳と魁は向き合い睨み合っている。
「魁、なぜお前はそこまで千歳を、長門を嫌う?」
万歳の問いに魁は小さく微笑みながら眼鏡を外し胸ポケットからハンカチを出してレンズを拭く。
「単純に、弱く無能な人間が嫌いなだけです。それが敬愛する有間の『友人』だと戯れ言を言っているのであれば、なおさらです。」
そう言いながら魁は眼鏡をかけ直し、指でクイッと押す。
「逆にお聞きします、ご隠居。なぜあの長門千歳をそこまで信用できるのです?」
「さっきも言ったろう、あやつが千尋の親友だからだ。そして儂の名前を一文字でも継いでおるのだ、このくらいやってもらわねばな。」
万歳の言葉に思わず魁は一瞬、顔を顰める。だがすぐに表情を戻し、不敵な笑みを浮かべながら魔力を身に纏う。
「ではその信頼が間違いだということを、僭越ながら私がご教授させていただきます。」
「若造が、儂に説法など十年どころか三、四十年早いわ。『加具土命』!」
万歳が号令をかけると紅い炎が燃え上がり、その炎は万歳の背後に鬼のような、仏ともとれるような姿を創る。
これが万歳の神性体質の能力、千尋は雷の神である建御雷を宿しているが、万歳は炎の神である『加具土命』を身体に宿している。
厳かでありつつ神々しい光景に鬼山は『素晴らしい』とただ不敵に笑っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる