22 / 93
長門と有間 Ⅶ
しおりを挟む
千歳が放った黒い斬撃を千尋が避けると、千歳は棒状の黒い影を構え地面を蹴りその場から跳び棒状の影を千尋に向かって振り下ろす。
千尋は咄嗟に建御雷を顕現させ、建御雷の腕で防ぐと千歳はニヤリと笑い再び棒状の影に魔力を集め始め、次の瞬間には先程と同じ黒い斬撃を今度はほぼゼロ距離で放ち黒い影が千歳と千尋の二人を巻き込み硝煙があがる。
千尋はすぐに跳び上がり煙から脱出するが煙の中から黒い影が伸び千尋の脚を掴むとそのまま地面に叩きつける、勢いよく叩きつけられた千尋は嗚咽の声をもらす。
そして千歳が千尋の眼前に立つと棒状の影を振りかざし魔力を集めると、千尋に向かって振り下ろす。千尋は体の前で腕を交差させ、防御の体勢をとる。
しかし、棒状の影は千尋の目の前で止まる。黒い斬撃が放たれることもなく、千尋が千歳の顔を見ると目はこちらを見ているのにどこか虚ろで、まるで目を開けたまま寝ているようだった。
ーーーーー
ーーー
ー
「まずい、どうしよう・・・」
ソファーに座り頬杖をつきながら千歳はぼやく。
夢の中なので『飲み物が飲みたい』と心で思えば飲み物が出てくる、それを飲みながら再び黒い影が現れるのを待っているのだが、黒い影は一向に姿を見せず目が覚めるような気配もないため千歳は焦りを感じる。
(・・・ちょっと試してみよう)
千歳はソファーから立ち上がり頭の中で刃物をイメージする、すると千歳の手に鍔も柄もない刀が現れたので茎を持ち刃を自分に向ける。夢の中で自身に衝撃を与えれば目が覚めるのではと考えていた千歳だったが、夢の中とはいえやはり刃物を自分に向けるのは心穏やかではなかった。
千歳はギュッと目を瞑り自分の心臓目掛けて刀を勢いつけて刺そうとすると、黒い影が現れ刀を持った千歳の手の手首をガシッと掴む。
刺さる一歩手前だったが影が現れたことに千歳は安堵のため息をつき、千歳が刀をポイっと投げ捨てると刀は床に当たると同時に黒い砂となって霧散する。
「あのさ、招待してもらったとこ悪いんだけど、俺いま親友と戦ってるんだ。だからこの夢から覚めないと・・・」
千歳の言葉に黒い影の目が禍々しく光る、それに対し千歳は霊写しの眼を開き睨みかえす。
「頼むよ、あいつは俺が止めないと。他の誰でもない、俺が。」
しばらく睨み合っていると影の眼光が消え、千歳の身体が黒い砂になりぼろぼろと崩れていく。千歳は『ありがとう。』と言葉を残し白い空間から消え去る。
真っ白な空間、残っているのは千歳が座っていた二人掛けのソファーだけ、一人になった黒い影はソファーに寝転んだ。
ーーーーー
ーーー
ー
意識が戻った千歳の目に写ったのは地面に倒れ伏している千尋の姿だった。
「・・・なにやってんの、お前。」
自分が倒れたところで記憶が途絶えているので思わずこんな言葉を千尋に投げかけてしまうほどに千歳は混乱していた。
「・・・どんな夢見たらあんな暴れ方するんだよ。」
千尋自身もどう答えていいかわからず冗談まじりに返しながら立ち上がり後方へ跳ぶ、千歳の持っていた棒状の影は千歳が意識をとりもどしたと同時に霧散した。
千歳は右手に、千尋は左手に魔力を集め睨み合う、お互いこの拳の一発が最後だと確信していた。
千尋は咄嗟に建御雷を顕現させ、建御雷の腕で防ぐと千歳はニヤリと笑い再び棒状の影に魔力を集め始め、次の瞬間には先程と同じ黒い斬撃を今度はほぼゼロ距離で放ち黒い影が千歳と千尋の二人を巻き込み硝煙があがる。
千尋はすぐに跳び上がり煙から脱出するが煙の中から黒い影が伸び千尋の脚を掴むとそのまま地面に叩きつける、勢いよく叩きつけられた千尋は嗚咽の声をもらす。
そして千歳が千尋の眼前に立つと棒状の影を振りかざし魔力を集めると、千尋に向かって振り下ろす。千尋は体の前で腕を交差させ、防御の体勢をとる。
しかし、棒状の影は千尋の目の前で止まる。黒い斬撃が放たれることもなく、千尋が千歳の顔を見ると目はこちらを見ているのにどこか虚ろで、まるで目を開けたまま寝ているようだった。
ーーーーー
ーーー
ー
「まずい、どうしよう・・・」
ソファーに座り頬杖をつきながら千歳はぼやく。
夢の中なので『飲み物が飲みたい』と心で思えば飲み物が出てくる、それを飲みながら再び黒い影が現れるのを待っているのだが、黒い影は一向に姿を見せず目が覚めるような気配もないため千歳は焦りを感じる。
(・・・ちょっと試してみよう)
千歳はソファーから立ち上がり頭の中で刃物をイメージする、すると千歳の手に鍔も柄もない刀が現れたので茎を持ち刃を自分に向ける。夢の中で自身に衝撃を与えれば目が覚めるのではと考えていた千歳だったが、夢の中とはいえやはり刃物を自分に向けるのは心穏やかではなかった。
千歳はギュッと目を瞑り自分の心臓目掛けて刀を勢いつけて刺そうとすると、黒い影が現れ刀を持った千歳の手の手首をガシッと掴む。
刺さる一歩手前だったが影が現れたことに千歳は安堵のため息をつき、千歳が刀をポイっと投げ捨てると刀は床に当たると同時に黒い砂となって霧散する。
「あのさ、招待してもらったとこ悪いんだけど、俺いま親友と戦ってるんだ。だからこの夢から覚めないと・・・」
千歳の言葉に黒い影の目が禍々しく光る、それに対し千歳は霊写しの眼を開き睨みかえす。
「頼むよ、あいつは俺が止めないと。他の誰でもない、俺が。」
しばらく睨み合っていると影の眼光が消え、千歳の身体が黒い砂になりぼろぼろと崩れていく。千歳は『ありがとう。』と言葉を残し白い空間から消え去る。
真っ白な空間、残っているのは千歳が座っていた二人掛けのソファーだけ、一人になった黒い影はソファーに寝転んだ。
ーーーーー
ーーー
ー
意識が戻った千歳の目に写ったのは地面に倒れ伏している千尋の姿だった。
「・・・なにやってんの、お前。」
自分が倒れたところで記憶が途絶えているので思わずこんな言葉を千尋に投げかけてしまうほどに千歳は混乱していた。
「・・・どんな夢見たらあんな暴れ方するんだよ。」
千尋自身もどう答えていいかわからず冗談まじりに返しながら立ち上がり後方へ跳ぶ、千歳の持っていた棒状の影は千歳が意識をとりもどしたと同時に霧散した。
千歳は右手に、千尋は左手に魔力を集め睨み合う、お互いこの拳の一発が最後だと確信していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる