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Lunch
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椎名家の前で待ち合わせた千歳と紗奈は2人で並んで歩いていた、紗奈に『行きたいところがある。』とだけ言われていた千歳だったがどうにも歩いている道順に妙な胸騒ぎがして仕方がなかった。
立ち止まると、そこは公園の入口だった。以前に千歳が訪れ異形達と戦った、まだ小さかった頃の千歳と紗奈が異形に襲われたあの公園である。
紗奈は呆然としている千歳の手を引いて公園の中へと歩いていく、以前のように黒と黄色の縞模様のテープが入口に張り巡らされて立ち入りを禁止されている様子はなく、普通に解放されているようだった。
紗奈が立ち止まり千歳の手を離したのはあの噴水のある広場だった。もしやと思い千歳が噴水前の床を見ると、あの血痕はまだ残っていた。
「ちっちゃい頃さ、ちぃちゃんとよくこの公園で遊んでたよね。」
そう言いながら紗奈は2人がけのベンチに座り、持参していた少し大きめなバッグの中から蓋の閉まっているタッパーを2つ、水筒を1本とコップを2つ取り出す。
「あぁ、懐かしいね。遊具は充実してたし、そこの噴水で水を掛け合ってたりしてたっけ。」
そう言って千歳もベンチに座りタッパーを1つとお茶の注がれたコップを紗奈から受け取る、タッパーの蓋を開けるとそこにはサンドイッチが中にぎっしりと詰められていた。千歳はお茶を飲んで喉を潤してからサンドイッチを1つ手に取り、パクッと一口食べる。
「ん~美味しい、紗奈ちゃんって料理上手だよね。」
「お母さんがすごく上手だからそれで教わってるんだ、うちのお父さんもお母さんの作るご飯が美味しくて惚れたんだって。」
『男の心を掴むには、まず胃袋を掴め』と、紗奈はよく母親に言われているらしい。
ーーーーー
ーーー
ー
「ご馳走様でした。」
美味しさのあまりあっという間に食べ終えてしまった千歳は名残惜しげに手を合わせたあとお茶を一口飲む。
「お粗末様でした、全部食べてくれたね~。」
紗奈の言葉に『残すはずないでしょ。』と心の中でツッコミを入れる千歳、味が良かったのはもちろんだがなにより『紗奈の手作り』というのが千歳の食欲を刺激していたのだった。
「・・・また今度、作ったら食べてくれる?」
「もちろんだよ、紗奈ちゃんが作ってくれたものならいつでも。」
千歳の言葉に紗奈は嬉しそうに少し頬を赤らめる、そして千歳はここに来てからずっと抱いていた疑問を紗奈に問うことにした。
「ご飯はめっちゃ美味しかったけど、今日はなんだってこの公園に?」
「昨日までずっと閉鎖っていうか立ち入り禁止だったんだけど、今日から公園に入れるっていうのをお母さんから聞いてさ。真っ先にちぃちゃんと遊びにくること考えちゃった。」
紗奈の言葉が意外だったのか、千歳は不思議に思った。あんな事があったのだ、もしこの公園が解放されたことを聞いたとしても千歳は自ら進んでここに来ようとはしなかっただろう。むしろ前もって知っていればここに来ることは避けていたはずだ。
「そう・・・なんだ。でもほら、昔に事故あったし怖くないの?」
「ん~たしかにちょっと不安だったけど、私ってここには楽しい思い出の方が多いからさ。怖い思い出のまま記憶に残したくないっていうか・・・リベンジっていうか・・・。」
紗奈が言葉を探して悩んでいる。千歳がこの公園を避けていたのは紗奈があの事故を思い出してあの恐怖の記憶が甦るのを防ぐためだった、千歳にとっても苦い思い出だがあの事故を境に紗奈を守る思いが強まった。それゆえにこの公園であった紗奈と過ごした楽しい時間の記憶をいつの間にか忘れていた。
以前は苔だらけで水も流れていなかった噴水が今となっては綺麗に掃除され、透明に澄みきった水が流れ出ている。それを見た千歳は今まさに楽しい思い出ができたこの公園を疎ましく思っていたのがバカバカしくなって思わず笑ってしまい、それにつられた紗奈も優しく微笑んだ。
立ち止まると、そこは公園の入口だった。以前に千歳が訪れ異形達と戦った、まだ小さかった頃の千歳と紗奈が異形に襲われたあの公園である。
紗奈は呆然としている千歳の手を引いて公園の中へと歩いていく、以前のように黒と黄色の縞模様のテープが入口に張り巡らされて立ち入りを禁止されている様子はなく、普通に解放されているようだった。
紗奈が立ち止まり千歳の手を離したのはあの噴水のある広場だった。もしやと思い千歳が噴水前の床を見ると、あの血痕はまだ残っていた。
「ちっちゃい頃さ、ちぃちゃんとよくこの公園で遊んでたよね。」
そう言いながら紗奈は2人がけのベンチに座り、持参していた少し大きめなバッグの中から蓋の閉まっているタッパーを2つ、水筒を1本とコップを2つ取り出す。
「あぁ、懐かしいね。遊具は充実してたし、そこの噴水で水を掛け合ってたりしてたっけ。」
そう言って千歳もベンチに座りタッパーを1つとお茶の注がれたコップを紗奈から受け取る、タッパーの蓋を開けるとそこにはサンドイッチが中にぎっしりと詰められていた。千歳はお茶を飲んで喉を潤してからサンドイッチを1つ手に取り、パクッと一口食べる。
「ん~美味しい、紗奈ちゃんって料理上手だよね。」
「お母さんがすごく上手だからそれで教わってるんだ、うちのお父さんもお母さんの作るご飯が美味しくて惚れたんだって。」
『男の心を掴むには、まず胃袋を掴め』と、紗奈はよく母親に言われているらしい。
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「ご馳走様でした。」
美味しさのあまりあっという間に食べ終えてしまった千歳は名残惜しげに手を合わせたあとお茶を一口飲む。
「お粗末様でした、全部食べてくれたね~。」
紗奈の言葉に『残すはずないでしょ。』と心の中でツッコミを入れる千歳、味が良かったのはもちろんだがなにより『紗奈の手作り』というのが千歳の食欲を刺激していたのだった。
「・・・また今度、作ったら食べてくれる?」
「もちろんだよ、紗奈ちゃんが作ってくれたものならいつでも。」
千歳の言葉に紗奈は嬉しそうに少し頬を赤らめる、そして千歳はここに来てからずっと抱いていた疑問を紗奈に問うことにした。
「ご飯はめっちゃ美味しかったけど、今日はなんだってこの公園に?」
「昨日までずっと閉鎖っていうか立ち入り禁止だったんだけど、今日から公園に入れるっていうのをお母さんから聞いてさ。真っ先にちぃちゃんと遊びにくること考えちゃった。」
紗奈の言葉が意外だったのか、千歳は不思議に思った。あんな事があったのだ、もしこの公園が解放されたことを聞いたとしても千歳は自ら進んでここに来ようとはしなかっただろう。むしろ前もって知っていればここに来ることは避けていたはずだ。
「そう・・・なんだ。でもほら、昔に事故あったし怖くないの?」
「ん~たしかにちょっと不安だったけど、私ってここには楽しい思い出の方が多いからさ。怖い思い出のまま記憶に残したくないっていうか・・・リベンジっていうか・・・。」
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