38 / 93
Lunch in pool
しおりを挟む
「はい紗奈ちゃん、ソース焼きそばの紅生姜抜き。りんごジュースも置いとくね。」
「・・・ありがと。」
朝に入館し昼前までプールで遊んでいた千歳たちはプールサイドから少し離れたフードコートで各々昼食と休憩をとっていた、そしてプールサイドで若葉や若葉の姉と話したあたりから紗奈の機嫌が少し悪い。
千歳は少々おどおどしながらテーブルに紗奈の焼きそばと自分のカレーライスを置き、紗奈の向かいに座る。
「紗奈ちゃん、なんか怒ってる?」
「・・・怒ってないよ。」
言葉ではそう言いつつ紗奈の声色から機嫌の悪さが伺える、どうしたものかと千歳が考えているとそこへ若葉がやって来て千歳に背後から抱きつく。
「兄さ~んお腹減りました、なんかお昼ご飯買ってきてくださ~い。」
「ちょ、コラッ!濡れてんじゃん身体拭きなさい!」
タオルを持っていない若葉に千歳が自分の座っていた椅子にかけていたタオルを手渡す、千歳は椅子から立ち若葉に食べたいものを聞くとそれを買いにその場から離れる。
「・・・橘さん、ちょっとそこに座ってくれる?」
千歳の姿が見えなくなると紗奈は千歳のタオルで濡れた髪と上半身を拭いている若葉に声をかける、若葉は礼儀良く返事をしながら千歳の座っていた椅子に座る。
「・・・橘さんって、ちぃちゃんのことどう思ってるの?」
「え、優しいお兄ちゃん・・・です。」
若葉の答えに紗奈は『ふーん』と、声をあげ頬杖をつく。
(まぁ、『兄さん』なんて呼び方してるしそんな感じか・・・。)
と、紗奈が納得していると、若葉がおそるおそる口を開く。
「もしかして椎名先輩、兄さんのこと好きなんですか?」
「へぇあ!?」
若葉の問に紗奈は思わず声をあげ、椅子に座ったまま逃げるように後ずさる。その態度から若葉は察したのかニヤニヤと口角が上がる。
「安心してください。確かに兄さんのことは好きですが、恋愛の対象じゃないです。」
「あ、そ、そうなの?」
若葉の言葉に紗奈は安堵し、座っている椅子を前にずらす。
「むしろ椎名先輩が兄さんのことを好きであるならば、私は椎名先輩を応援しますよ!兄さんと椎名先輩は傍から見てもお似合いカップルです!」
「そ・・・そう?」
紗奈は頬を赤らめながら満更でも無い様子でもじもじしている。
・・・
・・
・
若葉から頼まれたカレーライスを載せたお盆を両手で持ち、紗奈と若葉が待つテーブルに向かう千歳。店員が『若いから』と笑顔で気を利かせて多めに入れてくれたカレーのルーが皿から漏れないように千歳は慎重に歩きながら、どうしたら紗奈に機嫌を直してもらえるか考えていた。
しかしテーブルに戻った千歳が見たのは紗奈と若葉が仲良く談笑している光景だった、千歳は不思議に思いながら2人の話の邪魔にならぬようにゆっくり近づき両手で持っていたお盆をテーブルに置く。
「若葉ちゃんお待たせー、ほいカレーライスとコーラ。」
「ありがとうございます兄さん、わぁ美味しそう~」
よほどお腹が減っていたのか若葉はすぐさま手を合わせるとカレーライスを一口、また一口とパクパク口に運んでいく。
千歳はその様子を見て微笑ましく思いながら空いている椅子に座り、おそるおそる紗奈の顔を見ると紗奈がニコッとしながら『おかえり~』と千歳に優しく微笑みかける。紗奈の機嫌が直ったようで千歳は不思議に思いながらも安堵し、自分の分のカレーライスを食べる。
「・・・ありがと。」
朝に入館し昼前までプールで遊んでいた千歳たちはプールサイドから少し離れたフードコートで各々昼食と休憩をとっていた、そしてプールサイドで若葉や若葉の姉と話したあたりから紗奈の機嫌が少し悪い。
千歳は少々おどおどしながらテーブルに紗奈の焼きそばと自分のカレーライスを置き、紗奈の向かいに座る。
「紗奈ちゃん、なんか怒ってる?」
「・・・怒ってないよ。」
言葉ではそう言いつつ紗奈の声色から機嫌の悪さが伺える、どうしたものかと千歳が考えているとそこへ若葉がやって来て千歳に背後から抱きつく。
「兄さ~んお腹減りました、なんかお昼ご飯買ってきてくださ~い。」
「ちょ、コラッ!濡れてんじゃん身体拭きなさい!」
タオルを持っていない若葉に千歳が自分の座っていた椅子にかけていたタオルを手渡す、千歳は椅子から立ち若葉に食べたいものを聞くとそれを買いにその場から離れる。
「・・・橘さん、ちょっとそこに座ってくれる?」
千歳の姿が見えなくなると紗奈は千歳のタオルで濡れた髪と上半身を拭いている若葉に声をかける、若葉は礼儀良く返事をしながら千歳の座っていた椅子に座る。
「・・・橘さんって、ちぃちゃんのことどう思ってるの?」
「え、優しいお兄ちゃん・・・です。」
若葉の答えに紗奈は『ふーん』と、声をあげ頬杖をつく。
(まぁ、『兄さん』なんて呼び方してるしそんな感じか・・・。)
と、紗奈が納得していると、若葉がおそるおそる口を開く。
「もしかして椎名先輩、兄さんのこと好きなんですか?」
「へぇあ!?」
若葉の問に紗奈は思わず声をあげ、椅子に座ったまま逃げるように後ずさる。その態度から若葉は察したのかニヤニヤと口角が上がる。
「安心してください。確かに兄さんのことは好きですが、恋愛の対象じゃないです。」
「あ、そ、そうなの?」
若葉の言葉に紗奈は安堵し、座っている椅子を前にずらす。
「むしろ椎名先輩が兄さんのことを好きであるならば、私は椎名先輩を応援しますよ!兄さんと椎名先輩は傍から見てもお似合いカップルです!」
「そ・・・そう?」
紗奈は頬を赤らめながら満更でも無い様子でもじもじしている。
・・・
・・
・
若葉から頼まれたカレーライスを載せたお盆を両手で持ち、紗奈と若葉が待つテーブルに向かう千歳。店員が『若いから』と笑顔で気を利かせて多めに入れてくれたカレーのルーが皿から漏れないように千歳は慎重に歩きながら、どうしたら紗奈に機嫌を直してもらえるか考えていた。
しかしテーブルに戻った千歳が見たのは紗奈と若葉が仲良く談笑している光景だった、千歳は不思議に思いながら2人の話の邪魔にならぬようにゆっくり近づき両手で持っていたお盆をテーブルに置く。
「若葉ちゃんお待たせー、ほいカレーライスとコーラ。」
「ありがとうございます兄さん、わぁ美味しそう~」
よほどお腹が減っていたのか若葉はすぐさま手を合わせるとカレーライスを一口、また一口とパクパク口に運んでいく。
千歳はその様子を見て微笑ましく思いながら空いている椅子に座り、おそるおそる紗奈の顔を見ると紗奈がニコッとしながら『おかえり~』と千歳に優しく微笑みかける。紗奈の機嫌が直ったようで千歳は不思議に思いながらも安堵し、自分の分のカレーライスを食べる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる