超絶ゴミ恩恵『消毒液』で無双する

びゃくし

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第四十八話 謎の人物と落札結果

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「フードを被ったままでは失礼だったね」

 意外にもあっさりと顔を隠すフードを取り払う謎の人物。
 金貨千百枚なんて大金を簡単に出すと宣言するなんて一体何者なんだ?

 会場中の注目が集まる中でゆっくりと顔を隠すフードを捲る。
 現れたのは……。

「んん? 誰アレ」

「おい、アイツ見たことあるか? ただのおっさんにしか見えねぇぞ」

「あんな冴えないおっさんが金貨千百枚ぃ? どうせブラフだろ。おい、おっさん冷やかしなら帰れよな!」

「おーい! 落札する気がねぇなら引っ込めーー!!」

「おっさんに用なんかねぇぞ!」

「「「帰れ! 帰れ! 帰れ!」」」

 ざわめく混乱からの飛び交う罵詈雑言。
 帰れコールまで出てるし。

 いやいや、予想外の知らない人物とはいえそこまで言わなくても。

 というかホントにあれ誰なんだ?

 無精髭を生やした茶髪の冴えないおっさん。
 立っている姿からもまるで覇気が感じられない頼りない姿。
 纏う黒色のローブこそ小綺麗に見えたけど中身があれとは予想がつかねえよ。

 師匠とラーツィアに視線を移しても首を横に振るばかり。
 心当たりはなさそうだな。

「これはこれはフードの下から現れたのは……誰ですかね?」

「おい、私に聞くな。知る訳ないだろあんな汚いオッサン」

 ジーエックスもステリラちゃんも知らないの?
 でもこんな目立つ場でラーツィアのお姉さんと相対する覚悟がある人物。
 冷やかしにしては奇妙だが……。

 その時、考え込んでいたラーツィアのお姉さんがハッとした顔で呟く。

「まさか……『破軍』か?」

「?」

 なにそれ。

「『破軍』!? 『破軍』! まさかのSランク冒険者ですかぁ!!」

 ジーエックスの叫びと共に伝播する驚愕。
 え、Sランク冒険者ぁ!?

「Sランク? あんな汚いおっさんがぁ!?」

「はぁ? どうなってんだよ。『破軍』なんて一騎当千で有名な冒険者じゃねぇかよ」

「あれか! 傭兵上がりの冒険者! 千の敵を射抜いたとかいう噂話をどっかで聞いたことがあるぞ!」

 ラーツィアのお姉さんが現れた時とはまた違った興奮に包まれるオークション会場。

 さっきまでの険悪な雰囲気じゃない、期待以上の有名人の登場に皆我を忘れていた。

「『破軍』――――魔力によって様々な素材で構成された複合弓を作り出す恩恵『コンポジットボウ』を駆使して戦う弓使いのSランク冒険者。射掛ける魔力の矢は変幻自在の軌道と圧倒的物量の攻撃を可能にする強者。数多の敵を天より降り注ぐ無窮の弓矢で屠ってきた筈の男がなぜこんな辺鄙なところへ?」

「そりゃあお姫さんも同じでしょうよ」

「大規模ダンジョン、か」

 頷くおっさん。

 睨み合う二人。

「恩恵が弓である以上接近戦に使う魔剣柄などいらないと思うが落札する必要などあるのか?」

「おじさんの弓も万能じゃないからね。それに目に見える弱点を強化するのは当然だ。あの魔法具は属性魔力でさらに使い勝手が変わりそうだし……中々面白そうだ。欲しくなるのも当たり前だと思うけど?」

「嘘をつくな。Sランク冒険者に弱点などある筈がない。よしんばそれが本当だったとしてもとっくの昔に克服している。自分の弱みをそのままにしておく強者などいない」

「はは、それはおじさんを買い被り過ぎてると思うけどなぁ。お姫さんこそ、確か特大剣『グレートソード』の恩恵を持っているんだろう? 今更あの魔法具が必要な場面なんかないと思うけどね」

「私が欲しいと思ったのだから落札するのは道理だと思うが」

「ははは、そりゃあそうだった」

 互いにニヤリと口角を上げる。

「ベルベキアで構わん。……お前は強そうだ」

「おー、怖いね。若い子は」

 なにぃ。
 なんかいつの間にか仲良くなってる?
 好戦的なのは相変わらずだけど互いの力量を認めあっているような友好的な雰囲気。

「……ベルベキア様のああいったところは本当にお変わりないな」

 懐かしそうに師匠が眺める中、オークションは激しい競り合いとなった。

 ジーエックスのうっとおしい煽りなど最早誰も聞いていない。
 オークション会場を包む熱い熱狂。

 武力を用いない白熱の争いは当然ながら片方にしか軍配は上がらない。
 この広い会場に落札者はたった一人。

 最終的な金額は金貨千八百枚。
 当初の予想を遥かに上回る金額で魔剣柄は『破軍』に落札された。
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