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第六章
Chapter.22 利蔵の疑念
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利蔵の疑念
幸来紗は月川に案内され総理公邸に入り、総理の部屋まで案内されると、月川はドアノックする。
「月川です。お嬢様をお連れ致しました」二人が部屋に入る。
「幸来紗、急な呼び出しですまなかったな。来てくれてありがとう。座ってくれ」
利蔵と幸来紗はソファーに腰を下ろす。
「月川、ご苦労だった。下がっていいぞ」
「かしこまりました」月川は部屋を後にする。
「幸来紗、例の資料だが、すべて確認させてもらったよ。疑う理由がなさそうだが、信じきることができない。九州が危ないから横浜に引っ越したのか?」
利蔵は、淡々と話しながらも、困惑している素振りも見せる。
「うん、念のためにね」
「そうか。とにかく、未来人やら、タイムマシンやら、そんなものはとうてい信じることができん。そのあたりのことをもう少し細かく話してくれないか」
「う、うん。その未来人は女性なんだけど、2065年から来たの。未来の歴史書、すべて読んだでしょ?」
「ああ」
「彼女は、あの歴史書通りの未来になるのを回避するために、総理の娘である私に会いに来たの」
「その未来人は、今、どこにいるんだ」
「……分からない。突然、姿を消しちゃった」
幸来紗は少し間をおいて答える。友杏のことを話したら、友杏に危険が及ぶと考えた。
「それで?」
「戦争を回避するためには、国防力を強化しなくてはいけないって。核を保有するべきだって。そうすれば、攻撃されないんじゃないかって」
利蔵の眉間にしわがよる。
「幸来紗はどう思う?」
「私は…… 以前は、お父さんと同じように、核なんか持ったら絶対いけないって思ってた。国防力の強化が相手国の敵対心を煽るんだと思ってた。でも、コンチャウのイデオロギーや歴史の本を読んだりして、そうゆう考えが通じる相手じゃないって、考えるようになった」
「それで、幸来紗は国防を強化して、核保有も認めるべきだと思うのか?」
利蔵の口調にお重みが増していく。
「うん、今はそう思ってる」幸来紗は遠慮がちに答える。
「……そうか。それじゃあ、その未来人や書籍に洗脳されたわけだな」
利蔵は、落胆の表情を浮かべる。
「まあ、分かった。国防力強化に関しては、専門の閣僚や大臣たちと精査し必要であれば、強化するように検討するようにする。だがひとつ条件がある」
「なに?」幸来紗は息を飲む。
「タイムマシンの発明が実際に可能なのか、証明して欲しい」
「えっ、でもタイムマシンが発明されるとしても、現時点で証明できるかは分からないじゃんない?」
幸来紗は当惑する。
「そうだが、現時点で分かる範囲でいい。その発明家は現代で存在しているわけだよな」
「存在しているはずだけど、どこにいるか分からないよ」
「その、未来人とやらに聞けば、分かるんじゃないのか?」
「だから、その未来人もどこにいるか分からないって」幸来紗は焦り始める。
「見つけて、現時点で、できあがってるタイムマシン発明の理論で、発明が可能であるか証明してほしい」
「科学の知識のない政治家が聞いたところで、理解できる問題じゃないんじゃない?」
「政府専属の科学者がいてな、私を含め官僚たちは彼に絶対的な信頼を置いている。表向きは東大の科学工学科の教授だが、彼を説得できれば、私も信じることにしよう。教授は金谷裕之さんだ」
「あのリストがすべて合致していたことで、タイムマシンの発明は証明できたでしょ?」
幸来紗は、気を落とすように訊く。
「個人的に国防力を強化することは反対だが、お前の頼みだ、協力してあげたいという気持ちはある。しかし、そこをしっかりと証明できないと、気持よく協力する気になれないんだ。ただ、それを証明できても、核保有に関しては断固反対だからな」利蔵の口調に、より重みが増す。
「……分かった。無理だと思うけど、できたらやってみる」
「じゃあ、頼んだ。……今日は帰っていいぞ。月川を送りにやるから」
利蔵は、電話で月川を呼んだ。
幸来紗は月川に案内され総理公邸に入り、総理の部屋まで案内されると、月川はドアノックする。
「月川です。お嬢様をお連れ致しました」二人が部屋に入る。
「幸来紗、急な呼び出しですまなかったな。来てくれてありがとう。座ってくれ」
利蔵と幸来紗はソファーに腰を下ろす。
「月川、ご苦労だった。下がっていいぞ」
「かしこまりました」月川は部屋を後にする。
「幸来紗、例の資料だが、すべて確認させてもらったよ。疑う理由がなさそうだが、信じきることができない。九州が危ないから横浜に引っ越したのか?」
利蔵は、淡々と話しながらも、困惑している素振りも見せる。
「うん、念のためにね」
「そうか。とにかく、未来人やら、タイムマシンやら、そんなものはとうてい信じることができん。そのあたりのことをもう少し細かく話してくれないか」
「う、うん。その未来人は女性なんだけど、2065年から来たの。未来の歴史書、すべて読んだでしょ?」
「ああ」
「彼女は、あの歴史書通りの未来になるのを回避するために、総理の娘である私に会いに来たの」
「その未来人は、今、どこにいるんだ」
「……分からない。突然、姿を消しちゃった」
幸来紗は少し間をおいて答える。友杏のことを話したら、友杏に危険が及ぶと考えた。
「それで?」
「戦争を回避するためには、国防力を強化しなくてはいけないって。核を保有するべきだって。そうすれば、攻撃されないんじゃないかって」
利蔵の眉間にしわがよる。
「幸来紗はどう思う?」
「私は…… 以前は、お父さんと同じように、核なんか持ったら絶対いけないって思ってた。国防力の強化が相手国の敵対心を煽るんだと思ってた。でも、コンチャウのイデオロギーや歴史の本を読んだりして、そうゆう考えが通じる相手じゃないって、考えるようになった」
「それで、幸来紗は国防を強化して、核保有も認めるべきだと思うのか?」
利蔵の口調にお重みが増していく。
「うん、今はそう思ってる」幸来紗は遠慮がちに答える。
「……そうか。それじゃあ、その未来人や書籍に洗脳されたわけだな」
利蔵は、落胆の表情を浮かべる。
「まあ、分かった。国防力強化に関しては、専門の閣僚や大臣たちと精査し必要であれば、強化するように検討するようにする。だがひとつ条件がある」
「なに?」幸来紗は息を飲む。
「タイムマシンの発明が実際に可能なのか、証明して欲しい」
「えっ、でもタイムマシンが発明されるとしても、現時点で証明できるかは分からないじゃんない?」
幸来紗は当惑する。
「そうだが、現時点で分かる範囲でいい。その発明家は現代で存在しているわけだよな」
「存在しているはずだけど、どこにいるか分からないよ」
「その、未来人とやらに聞けば、分かるんじゃないのか?」
「だから、その未来人もどこにいるか分からないって」幸来紗は焦り始める。
「見つけて、現時点で、できあがってるタイムマシン発明の理論で、発明が可能であるか証明してほしい」
「科学の知識のない政治家が聞いたところで、理解できる問題じゃないんじゃない?」
「政府専属の科学者がいてな、私を含め官僚たちは彼に絶対的な信頼を置いている。表向きは東大の科学工学科の教授だが、彼を説得できれば、私も信じることにしよう。教授は金谷裕之さんだ」
「あのリストがすべて合致していたことで、タイムマシンの発明は証明できたでしょ?」
幸来紗は、気を落とすように訊く。
「個人的に国防力を強化することは反対だが、お前の頼みだ、協力してあげたいという気持ちはある。しかし、そこをしっかりと証明できないと、気持よく協力する気になれないんだ。ただ、それを証明できても、核保有に関しては断固反対だからな」利蔵の口調に、より重みが増す。
「……分かった。無理だと思うけど、できたらやってみる」
「じゃあ、頼んだ。……今日は帰っていいぞ。月川を送りにやるから」
利蔵は、電話で月川を呼んだ。
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